スズキの漁獲が思わしくありません。
ここ数年、七月に風が吹き続けて漁に出られない日が多くなってきていて、今年も例にもれずかなり時化が多いのです。
そのうえ出てもスズキがあまり獲れません。
マサバやシンコといった魚がちらほら獲れはしますが、量がそれほどまとまっていないのでたいした稼ぎにはならないようです。
せいぜい10年くらい前までは、スズキは五月頃から獲れ始め、七月・八月は連日 型の良いスズキを大量に水揚げして良い稼ぎになっていたのですが、ここ数年はなんだかあまり振るいません。
まあ嘆いてばかりいてもしょうがないのでちょっと珍しい生き物の写真を載せます。
今月初め、強い南風が吹き続けていたある日の夜、船橋港の護岸の角、吹き溜まりのような場所で見つけたものです。
写真の真ん中あたりに白いものがポツポツと浮かんでいるのがわかるでしょうか。
白い花びらが水面に舞い落ちたようにも見えるこれは、トビウオの稚魚です。500円玉にちょうど収まるくらいの大きさです。
水面に浮いてユラユラと漂っています。捕まえようとすると、普通の魚のように泳いで逃げるのではなく、スイッスイッとアメンボのように水面を移動するのがおもしろいです。
こんなのがほんとにトビウオになるの?と思われる方もいるかもしれませんが、次の写真を見てください。
これは花びらサイズの群れの近くに一匹だけ泳いでいた、少し大きめの稚魚です。体長は5cmほどでした。もはや成魚と殆ど同じ形をしています。そしてこいつはもう泳ぎを覚えていました。
このトビウオの稚魚は、今くらいの時期に船橋港で昔から普通に見かけます。しかし成魚は東京湾内湾には殆どいません。
年に数匹、網に混じるくらいです。稚魚時代は湾内で過ごして、成長したらでてゆくのでしょう。
東京湾は多種の魚の稚魚のゆりかごなんだとしみじみと実感させられます。
いちおう成魚の写真も載せておきます。
この羽で、一説によると600m飛ぶらしいです。
生物の進化はおもしろいですね。

仕事の合間に急いで写真を撮ったので全長は測れませんでしたが、この魚が入っている小判型のカゴの下辺の長さが40センチなので、上の写真のイシダイは40センチ少々の大きさです。
一番大きかったこれはたぶん、60センチ近くあるでしょう。重さが3・4キロでした。
なんだろうと思い水産会社の人に聞いたところ、「ワカシだよ」とのことです。ワカシとはブリの幼魚のことです。
顔つき、縞模様、尾びれの形、どこをとっても似ても似つかぬ、という言葉がぴったりです。
ほんとうは出港予定でAM1時に集合したのですが、けっこう風が吹いていたうえ今月は海の様子がまったくもって悪いので、無理して出漁することはないと親方が判断しました。
新鮮なスズキを業務用のフライヤーでその場で揚げて販売するため、人気は上々でいつも行列ができます。
私はスズキはまあそこそこきれいに捌く自信はあったので余裕の気持ちで臨んだのですが、けっこう苦労しちゃいました。