巻網のやり方

私達の行っている漁法は巻き網漁で、中でも「二艘巻き(にそうまき)」と呼ばれるものです。
ひとつの大きな漁網を二艘の船に分けて積み、網を海中に投じながら魚群を囲み捕獲する漁法です。
イラストとともに巻き網漁の流れをご説明いたします。

網を積む船が2隻、魚の運搬船が1隻、漁のサポートをする伝馬船というボートが1隻、以上4隻の船団で出漁します。

簡単に書いた網の図です。
黄色い部分は「アバ」という浮力材で、海面に浮きます。
この網とワイヤーを両端から、2隻の網船に分けて積み込みます。

網船は船の前後をロープと網でつなげたまま航行し、運搬船は伝馬船を曳航します。

魚群を発見したら、船の後部から網を出しつつ魚群を囲むように走り、海中に網を投じます。

網で魚群を囲み終わったら、網の底部に張り巡らされているワイヤーを船に巻き取ります。


するとワイヤー巻き上げとともに網の底部がふさがれ、魚の逃げ道をなくします。

そして網を投じたのと逆向きに、また船に網を取り込んでゆきます。


網を挙げる時に、潮流や風の力で船の位置がずれるとやりづらいのですが、伝馬船がそれを修正してサポートします。

最終的にこれくらいまで網をしぼりこみます。

我々が「テブネ」と呼ぶ、運搬船をこのような位置取りで着け、魚を網からすくい運搬船に移します。


テブネは「カメ」と呼ばれる槽で区切られており、各槽には海水を張って魚を活かしたまま運搬できます。
船上ですぐに締めたい魚は、ダンベと呼ばれる箱に海水と氷とともにいれます。

非常に大雑把な説明ですが、以上の網を投じてから揚げ、運搬船に魚を移すまでが一回の作業で、我々はこれを「番」で数えます。
夏場などは一晩に10番ほど張ります。