投稿者「daiheimaru」のアーカイブ

2023.5.27 キアジとクロアジ

東京湾は相変わらずクラゲだらけです。

魚群を見つけ網を張るべく各員が配置につき、いざ網を投じる直前に巨大なクラゲの群れが見つかり、網を張れないことがしばしばあります。

それに加えギマも脅威になっています。
同じ海域で働く他船が最近、ギマの大群に当たってしまい、網を揚げるのにだいぶ苦労した話を聞きました。
過去にギマの脅威について書いた記事を張っておきます。
https://daiheimaru.com/daiheimaru/843/

そんなことから今回、いつもの漁場を離れて遠目の漁場に向かったところ、クラゲはいるもののアジの群れを捕らえることがことができました。

体高のある立派なマアジです。

マアジには瀬付き型と回遊型というタイプがあります。

瀬付き型は全長はさほど大きくならないものの太目で、回遊型は大型なれど細目の体型です。

上の写真は瀬付き型で、キアジと呼ばれることもあります。

これだけ大きなキアジの群れを漁獲できることは滅多にないので、嬉しい獲物でした。

ちなみにこちらが一緒の網に少しだけ混じってきた回遊型のマアジで、通称クロアジです。

42cmと大型で実際に目にするとその大きさに圧倒されますが、生物学的には先ほどの写真の(通称)キアジと同じ、マアジです。

通説では瀬付き型(キアジ)は回遊型(クロアジ)に比べて脂がのっていて

美味と言われており、実際に食べ比べてみて私もそう感じます。

ただ、クロアジの味がたいしたことがないのではありません。
クロアジとてたいそう美味なのですが、キアジはそれを上回るという話です。

キアジとクロアジのどちらかを1尾だけもらえるとしたら、大きくて身がたっぷりのクロアジか、身は少ないけれどより美味なキアジか、どちらを選ぶかしばらく悩みますなあ。

2023.5.13 クラゲの海

今月の初め頃、テレビで「東京でクラゲが大量発生」というニュースが複数の局で流れていました。

映像では川面いちめんが隙間なくクラゲで覆いつくされており、見た人は驚いていました。

過去に何回か記事にしていますが、海では、クラゲの大量発生や一面に広がっている光景などはずっと昔から普通のことで、珍しくもなんともありません。

ただ気になるのは、今年はそれ(水面を覆いつくすクラゲ)が、今まで起こらなかった川で見られたことです。

今月になって出漁して、その理由がわかりました。

今年はクラゲの量が例年に比べてだいぶ多いです。

漁場も漁場以外の海域も、とにかくクラゲだらけです。

クラゲの量なんぞ量りようがないので正確なデータなどはありませんが、船橋の漁師は皆、口をそろえて今年はクラゲが多いと言ってます。

大量に発生したがゆえに、今までは見られなかった場所にまで風で吹き流されていったのでしょう。

このミズクラゲは食用にならず使い道がないうえに、沿岸施設の海水取水口を塞いでしまうという害を及ぼします。

別に普段通りの量なら、まあ昔からのことだからしょうがない、と我慢できますが、大量発生は勘弁してほしいです。

ほんとにもう、「東京湾でクラゲが大量」ではなく、「東京湾で魚が大漁!」というニュースが流れることを期待しております。

網を締めこんだところ。
大量のクラゲの隙間をスズキやコハダが泳いでいます。

2023.4.29 整備期間終了 ハケ縫い

一か月かけて船の整備と網の補修を行ってきましたが、やっと終わり、来月から出漁となります。

下の写真は「縫い(ぬい)、ハケ縫い」という作業をしているところです。

我々が使う網は全長が750メートルほどですが、これは全長を9つに分割することができます。

750メートルもある網を一度に広げるスペースなどないので、分割してから一つずつ補修していき、最後にまた縫い合わせて一枚の大きな網にするのです。

ちなみにこのユニットを予備用として作っておくことで、トラブルで網が大きく破損してしまった時などにも、その部分を交換すればすぐに次の漁に出ることができます。

この縫いを終えて船に網を積みこみ、あとは出漁を待つばかりです。

一か月前と海の様子はどう変わっているのか、何が獲れるのか、期待と不安が半々の気分です。

今期も無事故を第一に心がけてやっていこうと思います。

2023.4.16 網の補修 入れ網

四月は一か月かけて船の整備と網の補修をします。

私は網チームなので網の話になります。

以前にも書いたことがありますが、我々の網は長さが750メートル、深さが100メートルほどの大きさです。

これは全体が一枚の網で出来ているのではなく、15メートル×3メートルの小さな網がいくつも組み合わさってできています。

網補修のやり方ですが、この15×3メートルの一枚のユニットを基準に進め、全体が切れてしまっているような場合はそっくり新品と交換します。

 

しかし切れや穴が一部だけの場合は、その場所のみを直します。
これが「入れ網(いれあみ)、きりはぎ」「きおり」という作業です。
入れ網は破損個所を切り取って補修用の網をあてがう作業で、キオリは網の目を一つ一つ作る作業です。

大きな破れは入れ網、小さな穴はキオリで補修します。

ここに、「無結節網」の1メートルくらいの大きな切れがあります。

そして下は網長が「入れ網」で補修した見本です。


ちょっと専門的な話になってしまいますが、網には有結節網(ゆうけっせつあみ)と無結節網(むけっせつあみ)という種類があります。
双方に利点と欠点がありますが、我々は無結節網を使っています。

この無結節網の欠点の一つが、適切な処理が施されていないと網の端の目がほつれることであり、それをふせぐためにセバにしろキオリにしろ、有結節よりひと手間多くかけねばなりません。

通常のやり方だと下の写真のように、網の端を折り返したうえで一目(3cm)ごとに固め止めの処理をするので、非常に手間と時間がかかります。

なので先ほどの写真の、無結節網の1メートルほどの切れを通常のやり方で補修しようとすると、そうとうな時間をくいます。

しかし網長は手間をかけない方法を編み出し、それを皆に教えてくれたので、私達は無結節網の補修を通常よりずっと速く仕上げられます。
破れが大きくて通常のやり方で直したら数時間かかるようなものでも、20分ほどで直せます。

網長がこの方法を考案したのが3年前で、その時の入れ網が今でもほつれずに使えており、強度に問題ないことは実証済みです。

こういった網を作る、組み立てる作業を網の仕立て(したて)と言いますが、これには教科書的なものはありません。

ユーチューブで、水産高校で網の仕立てを教える授業風景がありましたが、先生が生徒に囲まれた中で、網針と網をもって実践で「こうして、こうして、こうやるんだ!わかったね!」と見本を示していました。
つまり網の仕立てを学ぶ方法は人から教わるか自分で考えるしかありません。

大平丸の網長は常に色々と改善と改良を模索しており、良い方法を考えつくと皆に惜しみなく教えてくれます。

網のことでお悩みの方がいらしたら、網長に相談することをお勧めします。

2023.3.31 アカクラゲ発生

今月は出漁回数が少なかったうえにコノシロの大きな群れにあたることも無く、さほど実りのある月にはなりませんでした。

明日からの一か月間は「整備期間」となり、沖には出ずに船の整備と網の補修を行います。

3月の海の様子ですが、アカクラゲが発生しはじめました。

現在の大きさは直径7~8cmで、最盛期の夏と比べると半分ほどの大きさしかないうえに、毒が弱めに感じられます。

しかしコノシロに混じってきてしまうと、その量次第では選別せねばなりません。

今日は最終的にこの入れ物がいっぱいになるほどのアカクラゲが網に混じっていました。

廃棄するには業者を呼んで引き取ってもらうしかないのですが、毎度手間がかかります。
なんとか活用できないもんですかね。

このアカクラゲがひからびて粉末状態になったものが鼻に入ると、クシャミが止まらなくなります。
これを利用して天然由来の催涙材成分として需要がないかと考えたことがあります。

でもまあ、クラゲなんて95パーセントが水分だから、元の量から取れる粉末量が割に合わないだろうなあ。

と思い、では実際の催涙スプレーの原料にもなる唐辛子の水分量はどんなものかと調べたら、なんと唐辛子の水分量は90パーセントだそうです。

意外と唐辛子も水分量が多いのですね。
となると、乾燥・粉末にする手間は実はそれほど差がなかったりして?
これはもしや、アカクラゲスプレーにワンチャンあるかも?

2023.3.14 お魚ハッチ

先日の漁の最中、若者が毒魚に手を刺されました。

若いとはいえ船に乗って5年目で、毒魚を知らずに掴むといった愚を犯したわけではありません。
網にくるまっていた毒魚の毒背ビレが不可抗力で手にあたってしまったようです。

刺されたときに若者はこの魚を確保しましたが、それを見た私たちの誰も、この魚の名前すらわかりませんでした。

それがこちら。

ハチ という名の魚でした。
背びれに毒があります。

この魚を調べるにあたり「毒魚」「背びれ 毒 魚」で検索をかけましたが、かなりマイナーな魚のようで、5,6件のホームページを覗いてやっと1件に名前だけ出てくるといった具合でした。

マイナーではあれど、私の持っている「東京湾の魚類」という2011年初版の本にはちゃんと載っていたので、近年の温暖化で東京湾に紛れ込んできたというわけでもないようです。
単に、最大で15cmほどと小さいうえに群れないのでまとまった漁獲がなく、商用にならないので認知度が低いようです。

このハチですが、名の由来が「この魚に刺されると蜂(昆虫)に刺されたように痛いから」だそうで、この魚のハチにあてられた漢字も「蜂」だそうです。

今から百数十年前に名付けられたそうですが、なんともはや、おそろしく短絡的ですね。

それに漢字まで同じにしてしまったら、「蜂」と目にした時に昆虫か魚か区別がつかなくなってしまいます。

アホな名付けをするもんだなあ、と思っていましたところ、衝撃的なニュースを見つけました。

「2022年6月、アメリカの裁判所が、蜂(昆虫)を魚と認める」というものです。

細かい事情は書くと長くなるので「蜂 魚」で各自検索してご覧いただくとして、
「蜂(昆虫)は魚である」と、アメリカの裁判所が法的に認めたのです。

なんということでしょう。
アメリカが蜂は魚であると認める100年以上も前に、日本人は、ある種の魚は蜂であるとし、名付けていたのです。
おそるべき先見の明であるといえます。

ハチという名を馬鹿にしていた己の不明を恥じるばかりであります。

※関連させたのはただの冗談ですが、ハチ(魚)の命名と由来、アメリカにおける蜂(昆虫)は魚との判例はどちらも事実です。

2023.2.27 マダイとチダイ

同じ日に同じ網で獲れた2尾の魚です。

色も体型も殆ど同じにしか見えませんが、かたやマダイ、かたやチダイという魚で生物学上ちゃんと区別されており、値段も数倍の開きがあります。

どっちがどっちかおわかりでしょうか。

答えは上がチダイで下がマダイです。

見分けるポイントは3つあり、背びれ・エラの端の色、尾びれの縁です。

★背びれ
チダイは背びれの第3、第4棘が長い

★エラブタの端
チダイはエラブタの端が赤い

★尾びれの縁
チダイはピンク一色、マダイは縁が黒い

はっきり言って背びれ以外は個体差くらいにしか思えないような小さな違いですが、しかしこれらを知っていればまず間違えようがないほど、確実な見分け方です。
(例に挙げておいてなんですが、今回の個体は小さいせいかエラの縁の色がはっきりしません。いずれ、はっきりとした大きな個体の写真を載せます)

私たちの漁場で獲れるのはマダイ数百尾に対してチダイが一尾程度なのですが、先に書いたように値段が数倍も違うので、しっかり区別しなければなりません。

チダイというのは標準和名で正式なのですが、私たちを含め関東では「ハナダイ」と呼びます。

チダイの名の由来に「エラブタの赤さが血のようだから」という説があります。
市場で「血鯛」なんて名札を付けて売られていたら、なんか傷物っぽいというか、なんとなく購買欲がそそられないことでしょう。
冠婚葬祭にも敬遠されるような名です。

「ハナダイ」の由来は体色(花)や頭の形状(鼻)からきているらしいですが、まあこちらのほうが無難な名かと思います。

そして味ですが、世間の評価ではチダイはマダイに比べ多少水っぽいと言われていますが、食べても私には違いがわかりません。

卸会社からの報告をみるとチダイの相場は、マダイの三分の一から四分の一しかしません。

チダイが安いのは多く獲れるからだろうか?と思い全国の漁獲量を調べたところ、「食品データ館」というサイトを見つけ、それによると2019年の漁獲ですが
マダイ 16000トン
チダイ 2200トン
とのことでした。
希少価値でいえばチダイに軍配が上がります。

旬の違いによる価格の上下はあれど、それはどちらも同じことです。
結局のところチダイが安いのは、「マダイに似てるけどマダイじゃないから」という理由くらいしか思いつきません。

チダイが売っているのを見かけたら、ぜひ購入をお勧めいたします。
安くてもマダイと遜色ない味がお楽しみいただけます。

2023・2・14 大量のクロダイと痩せたコノシロの関係

先日、クロダイが大量に獲れました。

クロダイは普段は一日働いても数十尾、多くても二~三百尾程度しか網に入らないのですが、その日は一回の網で数千尾獲れました。

これだけ多くのクロダイがまとめて獲れたのは、私には初めてです。

ただ、これを獲った漁場は船橋港から数時間かかるので、普段は殆ど行くことはありません。
それゆえ、この漁場でクロダイが大量に獲れたのが珍しいことなのかどうか、私にはわかりません。

このブログで去年の暮れから書いていることですが、今冬は近場でのコノシロの成育が芳しくなく、仕方なくマダイや他の魚を狙って遠い漁場に赴いた結果として、大量のクロダイの漁獲となりました。

コノシロの発育不良とクロダイの漁獲には少し関連があります。
コノシロの発育が悪いのは餌の海苔が不足しているからであり、その海苔不足はクロダイが一因であるからです。

東京湾では江戸の昔から海苔の養殖が行われています。
海苔の養殖は、海面に網を浮かべて海苔の種をつけ、成長させるというものです。
この養殖網やそれがある場のことを私たちは「のりベタ」と呼びますが、このノリベタは海でむきだしなので、成長途中の海苔はコノシロの格好の餌になります。

養殖が現代まで続いていたからには、コノシロが海苔をつまみ食いする量はさほどのものではなかったのだと思われます。
クロダイは雑食性で様々なものを食べられるので、これまでは海苔に執着することはありませんでした。

ところが最近になって東京湾では、海水温の上昇で海苔を含め海藻類が減少しました。
クロダイは今まで餌にしていたワカメやコンブなどの海藻類がなくなってしまったため、海苔を狙って食べるようになってしまったのです。
ただでさえ不作のうえにクロダイの食害が重なり、多くの海苔漁師が辞めてしまい、のりベタが激減しました。

今まで冬に養殖海苔を食べて太っていたコノシロは餌場がなくなり、今冬のコノシロは全長に比して重量が軽くて釣り合わない、痩せたコノシロだらけになってしまったのでした。

痩せたコノシロは当然ながらたいして売れず、積極的に狙いたい獲物ではありません。
それで私たちは魚種が豊富な遠場の漁場に行った結果、クロダイが大量に獲れたのでした。

以上がコノシロの発育不足とクロダイ大量漁獲の関係になります。

長々と書いて何が言いたいかというと、今回私たちが漁獲したクロダイは、自分たちが海苔を食べたことが回りまわって私たちを呼び寄せ、漁獲されてしまったということです。

世界の因果って複雑だなあとしみじみ思うのであります。

2023.1.28 東京湾に珍しい生物

ここ2週間ほど、ニュースで東京湾がちょくちょく取り上げられていました。

羽田空港そばでトドが寝そべり、海ほたる近辺でクジラが泳ぎ回り、横須賀沖でイルカの大群が跳ね回るといったニュースが映像付きで出ていました。

イルカは昔から居るしクジラは2018年にも入ってきて記事にもしたくらいで、さほど珍しくもないと思いましたが、トドは初耳です。

いずれも続報はないのでその後どうなったのかは知りませんが、クジラもトドも、交通量が多くて危険な東京湾からは出ていったほうが安全でしょうね。

さて、こうした珍しい場所での生物出没ニュースがあると、よく、これは地震の前触れでは?という話題が上がってきます。

海底でなにか異変が起きているから、五感が鋭敏な生物は異常行動を取ってしまうのだ、と言われると、なんとももっともらしく聞こえます。
いわゆる「深海魚が打ち揚がると地震が起こる」といったような言い伝えや伝承の類ですが、これに関しては「関連がある」と科学的に検証されたデータはなく、逆にデータを揃えて「迷信である」とした論文が発表されています。

ちっぽけな話ですが私個人の体験では、私が東京湾で働いてきた22年間の間に、海ホタルのそばで1メートルあるマンボウが獲れたり、ユウレイイカという深海魚が生きたまま獲れたり、船橋漁港の中にイルカが迷い込んできたりと、とっさに思い出せるだけでまあまあ珍しいことは起きていますが、それらの出来事のあとに天災は起こりませんでした。

今回は東京湾を例にしましたが、ちょっと変わった生物が現れた時に、珍しいと話題にするのはよいが何かの前触れなどと恐れることはない、ということですね。

ちなみに私、
「地震の前兆だと?そんな訳あるか ばからしい」
と口で言いつつも、心の奥のほうで(いや、もしかしたらほんとうにデカイのがくるのかも、、、)  なんて、2日間くらいちょっぴりビビっているタイプです。

2023.1.14 イラッとするから

新年早々、穏やかでないタイトルをつけてしまいましたが、別に嫌なことがあったわけではありません。

嫌な事どころか逆に、今年は出漁二回にしてマダイ漁が好成績で、幸先が良いスタートをきっております。

では何がイラッとするかと言いますと。

まずマダイ漁のポイントなのですが、我々が普段漁をしている湾奥よりだいぶ南下した場所にあります。

東京湾では南に下がれば下がるほど外洋に近くなるせいか、湾奥より獲れる魚種が多くなります。

南に下がった場所で漁をすると、(我々には)珍しい魚がたくさん獲れるので面白いです。

そして今回獲れた珍しい魚がこちら。

「イラ」
スズキ目 ベラ科 イラ と、ちゃんとイラというのが和名です。

なんともカラフルで南国系に思える魚ですが、新潟あたりでも獲れるようです。

四角い頭も特徴的で、アマダイやブダイに似ています。


それでこのイラという名の由来が、
「捕まえようとすると逆に噛みついてくるから、イライラさせられる」
または「噛みついてくるくらいイライラしている魚」
という説が一般的らしいのです。

とにかく「イラッとする(している)」から、イラ。

たしかに、私がこの魚を活魚水槽に入れようと掴んだ時、軍手を嚙まれました。
釣りなどで生きているイラを触る場合は気を付けてください。


私達にとって珍しいだけでなく、あまり魚屋でも見かけないので味が気になるところです。

旬は晩秋から初夏らしく、いまはちょうど良い時期みたいなので、とりあえず刺身と塩焼きにしました。

身は柔らかく、加熱したらけっこう崩れてしまいました。

刺身は冷蔵庫で4日寝かせたのですが、たいして旨味は感じられず、塩焼きのほうが味がはっきりしておいしかったです。

今回私は切り身に塩を振ってすぐに焼いたのですが、次は塩を振って寝かせて水分をしっかりと抜けば、身は崩れず味もさらに凝縮しておいしくなると思いました。
刺身もクセはまったく感じなかったので、昆布締めなどで旨味を足せば化ける気がします。

扱いを知っていれば、かなりおいしく食べられる魚だと思います。

しかし、イラの名の由来。
ほんとなんですかね?イラッとするからイラだなんて。

そんな感じで名前をつけちゃうなら、
獲れたら嬉しくてニヤニヤしちゃうニヤとか、
獲れたら危なくてハラハラしちゃうハラとか、
獲れたら何となくムラムラしちゃうムラとか、

畳語(じょうご 同一の言葉を重ねてひとつの単語にしたもの)の数だけ魚の名が存在しちゃいそうなもんですが、現状ではそうはなっていません。
まあ普通に考えて、命名する人はそんな短絡的な名を和名にしようとは思わないでしょうね。

そう考えるとこの、「感情」を名に冠したイラって、面白いと思います。