2021.8.14 ヒラスズキ

スズキが旬を迎え、脂がのってとてもおいしいです。

先ほどキッチンのグリルでスズキのカマを焼いていたら、あまりの脂に火がついて燃え上ってしまいました。

私たちのメインターゲットのスズキですが、網に入ったものを海中から運搬船に上げた後、一尾ずつ手で拾いあげます。
そうして数多くのスズキを拾っていると、ごくまれに、ちょっと普通とは微妙に違うスズキに出会うことがあります。

それがヒラスズキです。
上がヒラスズキ、下がスズキです。
統計データは無いので私の感覚ですが、普通のスズキが数万尾に対してヒラスズキが一尾、といった程度で網に入ります。

ヒラスズキは生態に不明な点があり漁獲も少なく、スーパーなどでは見かけず、世間一般にはあまり知られていない魚だと思います。
しかしその味はスズキを上回るとされ、市場ではスズキの倍以上の値段で取引されています。
見た目はかなり似ていますが、区別するポイントをご紹介します。

①色。
今の時期のスズキは金色っぽくなりますが、ヒラスズキは全体が銀色です。

②体形。
尾っぽに近いほうの背びれ、そこから尾にかけて、スズキはなだらかですがヒラスズキは大きくクビレています。
③シタアゴ。
ヒラスズキにはシタアゴにウロコがあるが、スズキにはありません。
↑ヒラスズキ
↑スズキ
この三つのうち、③が生物学的な違いであり、ここを見るのが確実な見分け方のようです。
しかし捌いた時に包丁でこすってみましたが、普通のウロコのように剥がれるわけではなく、私にはちょっとわかりづらかったです。

さて。
お刺身にしました。
右がヒラスズキ、左がスズキです。
左のスズキはサク取りに失敗して変な形になってしまいました。人前に出すのは恥ずかしい代物ですがご容赦ください。

見たところ、身質に大きな差異は認められないと思います。
食べた感想ですが、どちらもおいしいです。

正直に言いますと私には、味にそれほどの違いは感じられませんでした。

値段が倍以上も違うのにはそれ相応の理由があるわけで、市場ではヒラスズキのほうがおいしいと評価されているのですから、私の感想には「味のわからねえ野郎だな!」と思われる向きもあることでしょう。

まあしかし、私はそう感じたので仕方ありません。
ヒラスズキの旬は晩秋から冬にかけてらしく、旬まっさかりのスズキと比較すべきではないのかもしれません。
魚って、旬とそれ以外の時期では味が大きく違いますものね。

ヒラスズキは今のところ、釣るか高値で買うかしか入手方法がありませんが、近年、養殖が始まっているようで、それが軌道にのれば身近な魚になるかもしれません。