2021.8.30 船上のサラリーマン

今月半ばは気温が低く、最高気温が20度なんて日もあったのに、ここ数日は35度前後の夏らしい暑さが戻ってきました。

私たちは今の時期は夜に出港して働きますが、やはり暑いです。
船にはエアコンなんてついていないので汗だくになりますが、少しでも暑さを和らげるには服の選択も大事です。
作業着屋を覗けば今は、冷感・吸汗・速乾の機能をもった服がたくさんありますから、ほとんど皆、それを着ています。

普通の服を着て汗をかくと、重くなった上に肌に張り付き、いつまでもジットリとして不快です。しかし上記の機能性衣料はその不快をだいぶ軽減してくれるのでありがたいです。

暑いのに長袖なのは、素肌だと魚の粘液やクラゲのせいでかぶれたり、網を挙げる時に前腕が擦れて傷だらけになるのが嫌、という理由があります。

しかしこういった機能を持った衣料って、手ごろな価格で手に入るようになったのは割と最近になってからのような気がします。

私が新人で船に入った20年前くらいは、若者は皆、夏はタンクトップで働いていました。
そして、その当時の年季の入ったベテラン漁師達は何を着ていたかというと、多くはワイシャツでした。
こちら、今も現役のワイシャツ装備のベテラン漁師です。

作業着にワイシャツ???
と、初めて見たときは驚きましたが、聞くと、ワイシャツは濡れてもすぐに乾くし、肌触りがサラサラで心地よいのだそうです。
それにブランドものでもなければ安価だし、しかもけっこう丈夫で長持ちするとのことです。一枚が余裕で一年以上もつそうです。
我々の職場では汚れやらホツレなどの見栄えは気にしなくてよいし、通常よりずっと長く使えます。


こちらのベテランはもう70歳で船団の最高齢ですが、若者と遜色なく働いています。
昔から漁師一筋で経験は豊富であり、多くの修羅場も潜り抜けてきた人です。
そんなベテランが選択し続けているという事実が、ワイシャツの有用性の証といえるでしょう。
こうしてみるとワイシャツは良いことづくめですね。

まあ、持ち上げておいてナンですが、自分で使う気にはならないのですが。
いやだって、いくら見栄えを気にしない職場だからって、自分が沖でワイシャツを着てるシーンを想像すると違和感があるんだもの。

しかしワイシャツメーカーの人も、まさか沖で作業着にされているとは思っていないでしょうな。