10日ほど前から東京湾でクジラの目撃情報が相次ぎ、最近はテレビで動画が紹介されるまでになりました。
物珍しさからかテレビでは、ほのぼのニュースといった分類で扱われているように感じます。
動画をみたコメンテーター達も「大きいですね!」とか、「おっ、ジャンプしてますねえ!」と、クジラの映像を微笑ましく見ている人が大半でした。
実際にクジラは賢いし人に危害を加えることはないから、そのような反応が普通でしょう。
しかし私ら東京湾漁師にとってはあまり笑ってはいられない事態です。
今回のクジラの大きさは報道によれば推定で全長12~13メートル、重さ25トンらしいです。
ぶつかったらただじゃすまない。
大平丸の網船は全長14メートル位で重さは5トン弱。網や装備を積んでいるから実際の排水量はもう少し重くなると思いますが、それでもクジラとの重量差は5倍近いです。
この重量差を人間で例えてみましょう。
横綱の稀勢の里の体重が約180kg、小学5~6年の男子の平均体重が34~38kgなので、ほぼ5倍です。
そして網船の最高速度がだいたい時速25kmほどで、秒速7mほど。これは小学6年生男子の100m走のタイムとほぼ一致します。
つまりですね。網船がクジラにぶつかるということは、小学生が加速をつけて全力で横綱に突進していくのと同じようなものです。ぶちあたったところで、横綱はビクともせずに小学生が弾き飛ばされる姿が容易に想像できます。
まあ本当に船と衝突したら、固いFRP(繊維強化プラスチック)の艦首でクジラも相当なダメージを受けるでしょうが、しかしその時には私達はクジラの心配をしている場合じゃないでしょうね。衝突部分の損傷は免れないだろうから、まずは自船の安全確保に大わらわになることでしょう。
オキエに聞いたところ、海上が穏やかであれば、水面に浮いていてもクジラほどの大きさであれば衝突前にソナーに映る可能性はあるとのことです。そしてクジラだって衝突なんぞしたくないだろうから、わざわざぶつかりにはこないとは思います。
しかし、クジラと船の衝突例は過去に何件もあるのが事実です。
数日前には海ほたるパーキングエリアの北5kmに現れたようですが、そこはモロに私達の漁場でもあります。
こんなデカイのに見えづらいやつにうろついてほしくないです。
ちなみに成体のクジラの食事量は一日に体重の4%だそうです。25トンのクジラだと、一日に1トンの食事が必要になるわけですね。
今回あらわれたクジラはザトウクジラのようです。
多くの人はクジラはプランクトンだけを食べているように思っているかもしれませんが、イカ、サンマ、鮭などの魚も普通に食べます。特にザトウクジラの好物はニシンです。
東京湾にニシンは居ませんが、湾内に大量に居るコノシロは、ニシン目ニシン科。。。
なんかヤバイ気がします。コノシロのおいしさに目覚めちゃって、居着いちゃったらどうしよう。
「海は人間だけのものじゃねえんだぞ!」という声も当然あるでしょうが、私としては早く東京湾から出て行ってほしいです。
ちなみに今回獲れたイワシですが、同じ群れなのに大きさがマチマチでした。上から100グラム、71グラム、47グラムです。
仕事の合間に急いで写真を撮ったので全長は測れませんでしたが、この魚が入っている小判型のカゴの下辺の長さが40センチなので、上の写真のイシダイは40センチ少々の大きさです。
一番大きかったこれはたぶん、60センチ近くあるでしょう。重さが3・4キロでした。
なんだろうと思い水産会社の人に聞いたところ、「ワカシだよ」とのことです。ワカシとはブリの幼魚のことです。
顔つき、縞模様、尾びれの形、どこをとっても似ても似つかぬ、という言葉がぴったりです。
ほんとうは出港予定でAM1時に集合したのですが、けっこう風が吹いていたうえ今月は海の様子がまったくもって悪いので、無理して出漁することはないと親方が判断しました。
新鮮なスズキを業務用のフライヤーでその場で揚げて販売するため、人気は上々でいつも行列ができます。
私はスズキはまあそこそこきれいに捌く自信はあったので余裕の気持ちで臨んだのですが、けっこう苦労しちゃいました。
