2022.8.30 ぎら ぜんめ ぎんだべら

タイトルは何のことかと思われる方も多いでしょう。

これは下の魚の私の周りでの呼ばれ方です。

この魚の標準和名は「ヒイラギ」で、「ぎら」「ぜんめ」「ぎんだべら」は地方名であり、私の知る船橋界隈での呼ばれ方です。

普通、同一種で呼び名が複数ある場合というと、その大きさで呼称が変化することが多いと思います。

いわゆる出世魚のことで身近な例では

セイゴ→フッコ→スズキ

シンコ→コハダ→コノシロ

ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
など、何cm~何cmはこの呼び方、となっています。

しかしヒイラギの場合は大きさによる区分はなく、単に呼ぶ人の好みで上記の名のいずれかが使われます。

私は「ぎら」という呼び方を好みます。
元の「ひいらぎ」の語感に近いうえに短くて言いやすいのが理由です。
「ぜんめ」だと元の「ひ」「い」「ら」「ぎ」の一文字も使われていないし、「ぎんだべら」だとヒイラギより一文字多くて長いし、なんだかしっくりこない気がするのです。

まあ通じればなんでもいいんですがね。

このヒイラギですが、十数年前は漁場にたくさん居たのに、いつの間にか姿を見なくなっていた魚です。
それが今年はちょくちょく現れるようになりました。

この魚は関西方面では好む地域もあるようですが、関東ではあまり売れません。

最大で15cm程度な上にそれほど大きな群れは作らないので、網に入ったとしても精々が数十kgといったところであり、関西まで運ぶ労力を考えると儲けになりません。

それゆえ好きなだけお持ち帰りできます。

100尾ほどもらって帰り、刺身、塩焼き、干物、から揚げ、南蛮漬け、ホットサンドメーカーはさみ焼き、にしました。

このヒイラギの特徴として、「ぬめりが強い」と「トゲが鋭い」というのがあります。
ぬめりは調理をする過程で塩や酢を使えば除去できるからよいとして、トゲがやっかいです。

小さく短く目立たないけれど、硬く鋭い。
しかもそれが上下に三か所もあり、避けづらいのです。

船上で網を揚げている時など、見逃してうっかり網とともに掴んでしまうことがあります。
たいへん、痛いです。

トゲが硬いだけあってか中骨も全般的に硬く、塩焼き、干物にしたものは私は中骨は食べられず、身をむしって食べました。

そして南蛮漬けを作る際には二度揚げをしたうえに二日も漬け込んだのに、食べると骨がいくばくか口内で当たり、気になりました。


なかなか骨のあるヤツです。

骨のあるヤツは人間だと誉め言葉ですが、魚の場合は好ましくありませんな。

丸ごと焼くホットサンドメーカーはさみ焼きですが、頭も中骨も硬いうえ、内臓はかなり苦く、これは私には無理でした。

身の味はとても良いので、この魚を食べるには刺身が向いていると私は感じました。


関東では全く売られていませんが、料理屋などで見かけたら食べてみる価値はある魚です。