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2019.4.30 さより 2

前回に引き続きサヨリの話を少々。
サヨリは大きいほど高値になります。
これは今月獲れたものの中でも最大級のサイズで、242グラム。全長は測り忘れましたが40センチ近くあります。(緑のタニタ製計量器は横幅12cm)

そしてこちら、同じ日に獲れたコノシロです。

249グラムで、上のサヨリとほぼ同じ重さです。
同じ重さだけどサヨリより体長は短く、その分、体高と厚みがあります。
同じ日に獲れた、同じ重さの魚です。
同じ日に獲れた、同じ重さの魚ですが、値段が100倍近くちがいました。
サヨリ1尾とコノシロ100尾が同じ価値です。
なんという格差社会(魚編)でしょう。

まあ正直に言うと、値段差を大きく感じてもらうためにちょっと恣意的な取り上げ方をしました。
4月のある日、1尾のサヨリとコノシロの価格比が100倍近くだったことは間違いありません。
実は「ただでさえ高いサヨリの最高値」と「ただでさえ安いコノシロの最安値」になる条件がたまたま重なったのです。
この日は市場(しじょう)に出ているサヨリが少なかったようで、4月の中では一番の高値でした。そのうえ獲れたのは最大サイズのカンヌキ。丁寧に氷とともに箱詰めして出荷しました。
一方、コノシロは鮮魚としての需要はほとんどなく、加工屋に出荷したのです。
加工屋とは文字通り、干物や缶詰、練り物などの水産加工品を作る会社です。鮮魚として売るのに比べて単価は安くなりますが、大量の魚を引き受けてくれます。
「加工屋」と呼び捨てにしていますが、「加工屋さん」と書くとなんだか幼稚な気がするので、あえて敬称をつけずに書いています。水産加工会社と書けばいいんでしょうが、長い。今後も「加工屋」でいきます。
上のコノシロが10トン獲れたとしたら、約4万尾。
そんな量を1尾ずつ売っていたら、売り切る前に腐っちゃいます。安いとはいえ、自分らでは到底さばききれない量の魚を引き受けてくれる、ありがたい存在です。

サヨリですが、私はカンヌキは食べたことがないので、味を語ることができません。
コノシロはおいしいです。魚に詳しい人なら、酢締めにしないと骨が当たるでしょ?と思うかもしれませんが、私は気にならないレベルです。普通に三枚におろすだけで、刺身でおいしく食べられます。
さてみなさん、同じ値段で買うとしたら、サヨリ1尾とコノシロ100尾、どちらを選びますか?

うん、私はサヨリをチョイスいたします。
コノシロをおいしいと言っておきながら、結局サヨリかい!と言われそうですが、、、
コノシロ100尾も捌いてられません。めんどくさい。

2019.4.15 さより

サヨリが旬です。
サヨリは姿や色合いが美しく、味もよいためケチのつけどころがなく、「海の貴婦人」と称されることもあります。
相場がとても高いので獲れると嬉しい魚です。
サヨリは基本的に海の表層、それも海面直下を泳ぐので、ソナーや魚群探知機では探知できません。
それゆえサヨリを狙う時は「あてばり」という手法を使います。
「あてばり」とは機械を使わず、狙う魚の好みそうな場所や過去に実績のあった場所などで網を張るという、要は「漁師の勘」に頼った手法です。
または肉眼で海面にサヨリの姿を探し、見つければ網を張るという、どちらにしても昔ながらのやり方で漁獲します。

サヨリは元々の相場が良いうえに大きいほど値段が高くなり、上の大きいものは下の倍ほどの単価になります。
私達が出荷する際には、「サヨリ」「大サヨリ」「特大サヨリ」「カンヌキ」と分けています。
カンヌキとは最大サイズのサヨリの別称です。
大きくて重くて単価が高く、スーパーなどでは見かけたことがありません。

カンヌキという言葉ですが、知らない人の為に解説いたします。
ネットで「カンヌキ」で画像検索したところ真っ先に出てきたのが、このような小さな金具でした。

 

全長10センチ未満です

この金具では「サヨリのカンヌキ」の意味は説明できません。
「かんぬき」とは、昔の家屋が木造の頃、城や大きな屋敷の門戸の施錠に使ったぶっとい木材のことです。

私は絵心がないので縮尺が変ですが、この扉は高さが人の背丈以上あると考えてください。

ちなみに小さくて細いサイズのサヨリを「エンピツ」と呼んだりもします。
エンピツとカンヌキ、極端な対比ではありますが、超特大サイズのサヨリが獲れた時のありがたみや喜びを表すのに、カンヌキはぴったりの例えだと思います。

そして「海の貴婦人」と「かんぬき」ですが、同じ魚を指すとは思えないほど印象が異なります。
漁師や釣り人など、色々なサイズのサヨリを見たことがある人が、大物が獲れた時に太さを強調して「かんぬき」と呼び、サヨリの平均サイズを知らない人は、スマートな全体像を見て「海の貴婦人」と名付けたのだと思います。



2019.3.30 ジェットフォイル 衝突

今月はじめ、日本海で高速船のジェットフォイルがクジラらしき海洋生物と衝突し、怪我人がでる事故がありました。
ジェットフォイルとは水中翼船という特殊な形状をした、海水を勢いよく噴射して進む船です。

去年は東京湾の、私達の働く海域でも大きなザトウクジラが出没したし、船乗りとして他人事ではないので、ニュースなどを注視していました。

事故の二日後の朝のニュースでちょっと長めに取り上げられていたのですが、その内容に事実と大きく異なる部分がありまして、それを指摘して訂正しておきたいと思います。
そのニュースでは海洋生物学の教授にインタビューをし、衝突の原因を推測していたのですが、教授いわく
「クジラは視力が0.1しかなく、水中翼船の小さな翼が見えなかったのでは」
「クジラの可聴域は低く、ジェットフォイルの高周波エンジン音は聞こえなかったのでは」
と述べていました。
つまりクジラはジェットフォイルの接近を感知できないので、逃げられなかった。クジラに罪はなくジェットフォイルの前方不注意が原因。と、遠回しに言ったに近いかと思います。
これは特に問題ありません。
クジラの種類によっては、エコロケーションといって音波を発して周囲を探る能力があるものもいる為、視力は関係ないと異論をはさむ余地もありますが、とにかくこの教授の見解は事実に基づいているので事故原因の一説として述べるにふさわしいです。
問題はこの後の、アナウンサーの締めの一言です。
「海中では音が伝わりづらく、魚群探知機のようなレーダーが有効(なので今後は活用し、衝突を防止する)」と述べ、このニュースは終わりました。
全体を正確に記憶していなかったので、上記の文中の(かっこ)内は私が勝手に加えましたが、
『海中では音が伝わりづらく、魚群探知機のようなレーダーが有効』
という部分は間違いなく言いました。

この発言ですが、何一つ合っていないのです。
「魚群探知機」や「レーダー」というのがどのような物かは、殆どの人がイメージできると思いますが、とりあえず事実を羅列しますと。
☆音は水中では大気中の約4倍の速度で伝わる
☆電波は水中では減衰が大きく役に立たない
☆魚群探知機は音波、レーダーは電波を使用する
☆魚群探知機は通常、自船の真下しか見えない
☆水中で周囲を探索する場合に使われるのはソナー

締めの一言を私なりにただしますと、
「海中では電波が伝わりづらいため、魚群探知機のように音波を使用するソナーが有効」ということになります。
まあ陸上生活の人ならばレーダーや魚探を使うことなどほとんどないだろうし、その作動方式が電波だろうが音波だろうが全くどうでもいいことでしょう。
ただこれは、娯楽番組などに比べ信頼性が一層重視されるであろうニュース番組での放送だったので、私には気になりました。
ソナーと魚探は近代漁師にとっては必須の利器なもんで、一言いわずにはいられませんでした

2019.3.12 結び

二月いっぱいかけて船の整備と網の補修をやり、三月初めから今期の漁がスタートしました。
今のところ漁獲は芳しくありませんが、この時期としてはそれは毎年のことです。底引き網漁船はスズキやクロダイが獲れているようなので、魚はちゃんと居てくれている、ということです。
ここ数年、漁獲がふるわない年が続いていますが、今年こそは!!魚種は問わないけど沢山獲って!喜びに溢れる記事を書きたい!!
そのように思っております。
さて。この時期の出漁で毎年感じるのが、寒暖差の大きさです。
晴天で太陽が出ている日中はTシャツで過ごせるほど暖かいのに、雲間で太陽が隠れると一瞬で震えるほど寒くなります。
日中の漁はポカポカして快適ですが、早朝や夜、曇りの日など、太陽が出ていない時はかなり寒いです。
今の時期に特にきついのが、指先の冷えです。
作業中は常に軍手をしていますが、軍手は濡れるとかなり冷たくなるので、指先がかじかんで動かなくなってしまうのです。
これで辛いのが、「結び」です。
海中に投じた網を船に揚げる作業には、大きく分けて「網たぐり」「アバたぐり」「イワたぐり」「結び」というポジションがあり、それの一つです。
小さな金具にロープの先端を通し、それをひねって結びをつくり金具に縛り付ける作業で、約6秒の間隔で1本ずつ渡されてくるロープを50本ほど結びます。

慣れれば6秒の間に2本結べるくらい時間の猶予がある簡単な作業なのですが、寒い時はこれがつらいのです。
指がかじかんで動かず、結びができないでアワアワしているうちに、次のロープが容赦なく手渡されてきます。
20本くらい必死に続けているとだんだん指先が温まってきて動くようになり、やっと普通に結べるようになります。
まあだいたい皆この事は経験済みなので、結びが遅くてもどやされることはありませんが、やはり「結び」ポジションについている者は大変です。
早く暖かくなってほしいです。

2019.2.13 クラムチャウダー選手権

来たる2月16日土曜日、船橋港にて、
「第一回 日本クラムチャウダー選手権 withパンフェスティバル」という催しが開かれます。

船橋はスズキのみならずホンビノス(貝)の水揚げも全国トップクラスであるらしいです。
ホンビノスは外来種で、東京湾における漁獲の歴史はまだ浅いものの、最近はメディアにもちょくちょく登場しており、お茶の間にもその名は浸透しつつあるように感じます。
船橋港で貝の仲買をしている水産会社の社長さんが精力的に宣伝活動を行っており、今回の催しもその一環のようです。

正直言って私達の船の仲間はあまり付き合いがなく、イベントの内容は新聞などの情報でしか知らないのですが、なんでも、そうそうたる飲食店13店舗が各々の腕によりをかけてクラムチャウダーを作り、それを販売するそうです。
カップ1杯、120cc、300~500円での販売が目安だそうです。

そこで私が気になることが一つあるんですが、カップ1杯120ccってどれくらいの量なんでしょう?
水だったら120cc=120グラムってのはわかるんですが、具の入っているスープだと具の分だけ重くなるんでしょうか?
なんというか、何杯くらい飲めるものなのか、お腹へのたまり具合が想像つかないのです。
そこで試しにカレーで120グラムを量ったところ、こんな感じでした。

少なめとはいえ、しかし全店まわって13杯も食べられるかというと、キツそうです。加えてパン屋さんもあることだし。
まあ当日、現地でどの店にしようか悩むのもこういう催しの楽しみ方の一つでありましょう。

ときに、先一昨日、10日のことです。日曜日でしたが私達は港で仕事をしていました。
サカアミ船長がカップルに選手権の会場を聞かれたそうです。
開催日はまだ先であると教えたら腰が砕けていたそうです。
開催は16日の土曜日、その人たちが来たのは10日の日曜日。日付どころか曜日も合ってないとは、なかなかのうっかりカップルです。

当日の好天を願います。

2019.1.31 時化

今月は強風の日が多く、出港できたのは4回のみでした。
今の時期は昔から時化が多いので、数年前までは1月、2月は出漁はせず、船の整備と網の補修をしていました。
それゆえ1月は時化が多いのは最初から織り込み済みであり、今月の時化の日は網仕事をしっかりとやり働きました。
一応書いておかないと、一か月に4日しか仕事をしていないと勘違いされてしまいそうなので、念のために。

出漁した日は全て、コノシロ狙いです。
結果は運搬船が満杯の日と、空っぽの日がそれぞれありましたが、トータルで考えると1月としては良い成果と言えると思います。

ちなみに運搬船が空っぽ、つまり魚が全く獲れないで帰港した日もある訳ですが、魚が居なかったのではありません。
今の時期でも東京湾に魚はたくさんいます。魚群探知機には度々、大きな反応が映ります。
しかしこの大きな反応を狙って網を張っても、網には何も入らない。なぜか。
魚群探知機の故障ではありません。

答えは、魚探(ギョタン、魚群探知機の略称)に映ったのはカタクチイワシの群れだからです。
魚探にはっきりと映るほど大量にいるけど、一匹一匹ははこのように小さく、網からすり抜けていくのです。

このカタクチイワシのことを、私達は「シコイワシ、ヒコイワシ」、
略して「シコ」「ヒコ」と呼びます。
味はおいしく、人間だけではなく養殖魚や釣りの餌としても需要は多くあります。
使う網を替えればこのシコも漁獲できて稼ぎになります。
やるのは簡単ですが、私達がカタクチイワシを狙うことはありません。
私達にとって獲れて嬉しい魚はやはり、スズキです。
そのスズキを育て、そして居つかせる為には、シコは大事なのです。

ちなみにこのシコの写真は二か月ほど前に撮ったものです。
ここ数年はこの程度の小さなシコなので良いのですが、年によっては湾内でシコが大きく育つこともあります。大きく育ってちょうど網の目と同じ大きさになり、網に大量のシコが刺さって苦労したこともあります。

ほんとに、自然は加減をしてくれませんね。

2019.1.16 虹

先月に引き続きコノシロ漁をやっています。
コノシロ漁は太陽が出ている間がやりやすいので、出港は朝になります。

一昨日の15時頃に撮った写真です。
コノシロの大群を捕らえ運搬船に目一杯まで積みこみ、帰港している時です。

虹が出ました。

私の乗っている網船から見るとこのように、虹の端と運搬船がほとんど重なりそうなくらいでした。
虹なんてただでさえめったに見られないのに、それが運搬船の直近に現れた。なんだか素敵です。
そして少し経つと、最初に見えた虹の外側に、うっすらともう一つ虹が現れました。

肉眼ではちゃんと、全員が認識できたくらいはっきりと見えたのですが、写真だとよくわからないのが残念です。

この時、ふと、逆網(サカアミ)船長が私に問いかけました。
船長 「ああいう、虹がふたつあるのを何て言うか知ってる?」
私  「???、、、虹がふたつ、、にじゅうニジとかダブルにじとか?、、、わかりません、、、」
船長 「よじっていうんだよ」
私 「ぎゃふん!」

まあね、わからない人はわからないままでよろしい。

2018.12.28 コノシロ

クリスマス明け。
今年の漁の最終日。コノシロが大漁でした。

海面に浮いているのは大量のコノシロです。
この魚達は浮いているけど、普通に元気に生きています。
コノシロは網に囲われると海面方向から逃げようとするので、このような状態になります。
ちなみにこの写真を撮った時点で、仮にこの網にコノシロではなくイワシが入っていたとしたら、魚の姿はこのようには見えません。

イワシは底に逃げようとするので、この時の網の絞り具合だとまだまだ底方向に余裕があり、そちらに逃げているからです。

さて、2018年の漁は終わりました。
正直に言って、今年の海はイレギュラーが多すぎて訳が分かりませんでした。
特に個人的に、7月にソウメが大量にきたので秋にイワシが獲れるのをを期待してましたが、それはなかったのが残念でした。

まあ自然は、地球は、人の思惑なんぞ関係なく回るんだなあ。

2018.12.17 わらさとさわら

先週獲れたわらさとさわらです。
わざと平仮名で書いたけど、ワラサとサワラ、紛らわしいですね。
写真の2尾、全長は測り忘れましたがどちらも3.5kgです。
(下の発泡スチロールは端から端まで79cm)
同じ重さでも体型がもともと細長いサワラと、ずんぐりしているワラサとでは全長にこれだけの差があります。
この写真のワラサですが、ワラサとしてはちょっと小さめです。しかしイナダと呼ぶには大き過ぎる。
今までこのブログ内でブリの成長順の呼び名として、ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと書いてきました。
実はイナダとワラサの中間を指す呼び方として、「サンパク」というものがあります。あまり一般に知られていない呼称だし、「小さめのワラサ」とか「大きめのイナダ」と言った方が世間には通じやすいので、あえて書いていませんでした。
今回の写真のものはワラサ寄りのサンパクと私は思います。
今年の五月に、ブリの稚魚をモジャコと呼ぶとの記事を書いたので、これで当ブログ内におけるブリのサイズ別呼称は モジャコ→ワカシ→イナダ→サンパク→ワラサ→ブリ となりました。
まあ明確で正式なサイズ規定がある訳ではないので、あまり細かく分けても意味はないんですがね。

私はこのワラサを食べましたが、ひと月ほど前のものよりずっと脂がのっていました。捌いた時に胃袋の中を見たら、半分消化されたカタクチイワシでパンパンに膨らんでました。絶賛成長中のようです。
サワラは食べてないので食レポできません。
なぜならワラサの4倍近いお値段なので、おいそれと手が出せません。
サワラは夏場でもかなり脂のある魚です。「寒ざわら」といわれ栄養を蓄えている今は、さぞかし美味なることでしょう。
こういう脂が強い魚には、サクの表面をバーナーで焼く「炙り(あぶり)」がよく合います。炬燵に入って「寒鰆の炙り」で熱燗を一杯、なんてこたえられないでしょうねえ。

まあサワラは手に入らずとも、今回のワラサは脂が充分にあるので、私は炙りました。
「鰤(ブリ)の炙り」。とてもおいしかったです。

ところで良い子のみんな。「鰤の炙り」の語順を逆にして、「炙り鰤」って言っちゃダメだぞ。
お食事中に発音するとパパとママに怒られちゃうからな。
「あ ぶりぶり」って言わない。おじさんとの約束だぜ。

2018.11.30 サバとワラサ

これは11月初旬のある日に獲れた魚です。
3.8キロのワラサと550グラムのマサバで、一回の網で一緒に獲れたものです。鮮度は抜群なうえにどちらも丸くておいしそうです。
皆さん、この二尾のうち一尾を無料で貰えるとしたら、どちらを選びますか?
私は迷わずワラサを選びます。
サバとブリ、どちらが好きかと聞けば意見は半々に分かれると思うけど、だいたいの人はどちらもそれなりにおいしく食べられることでしょう。そうなるとこの二択では、身の量が圧倒的に多いワラサを選ぶ人が多いのではなかろうかと思います。
量のみならず、ワラサの方が大きくて立派だし、高そうだから貰う!という人もいるかもしれません。

なんでいきなりそんな問いを発したかといいますと。
実はこの写真の2尾、ほぼ同じ値段なのです。
ぶっちゃけると、どちらも750円くらい。
信じられます?
私はこの値段を聞いた時、あまりのサバの高値とワラサの安値に耳を疑いました。
世間的にはサバは大衆魚でブリは高級魚という扱いなのに、逆転しちゃってます。

魚の値段は旬や漁獲量によって刻々と変化します。
このころは市場でサバが不足しており、マサバは特にかなりの高値で取引されたようです。
ワラサに関しては、もともとブリ系は全国で獲れるうえに養殖も盛んなので、以前から私達が獲ったイナダなどは天然物とはいえたいした値段はしてません。それゆえ、今回のワラサもさほど高値がつくとは期待してませんでした。
が、しかし、両手で抱えられるほどの立派な魚が、まさか1尾1000円もしないとは思いもよりませんでした。

値段の差は味の差?
このワラサを食べてみたら、外食で食べるブリに比べるといくらか脂が少なく、あっさりとしていました。しかし物足りないということではなく、脂が強すぎるものより飽きずにたくさん食べられるおいしさでした。
一方のサバは、私は食べていないので味はわかりません。
末端価格では数千円になるのだから、それほど払っても食べたい人がいるほどのおいしさなのでしょう。
数千円のサバを食べるって、どんな人なんだろう?
赤坂の料亭で政治家たちが密談しながら、「おぬしもワルよのう。ぬふふふふ、、、」とか言いながら〆サバをつまんだりしてるのかな。

ちなみに今回のワラサ750円というのは、卸会社から漁師に入ってくるものです。市場に出るまでには流通過程で価格はだいぶあがっていきます。いま調べたら、ワラサは豊洲でキロ800円程で取引されてるようです。
キロですぞ。3.8キロなら3040円。まあそれなりと思える値段になっていますね。
そんな訳だから、そこらの市場に行って千円札を差し出して、ワラサをくれ!と言っても相手にされません。ご注意を。