2019.8.30 コショウダイ

今年の夏はコショウダイがよく網に入ります。

コショウダイは鯛と名がつくだけあって、マダイとかなり似ています。

色柄の他に目立つ違いは胸ビレでしょうか。マダイはシュッと鋭く長いのに対し、コショウダイのは短く幅広ですね。

しかし顔つきはかなり似ているかと思います。
コショウダイを赤く塗ったら、マダイとして通用するんじゃないかと思うほどです。

ちなみにマダイは「スズキ目タイ科」ですが、コショウダイは「スズキ目イサキ科」に属します。
コショウダイ、顔はマダイにそっくりなのに、生物学的にはイサキ寄りってのがおもしろいです。

この魚は昔からまあ獲れるには獲れていましたが、せいぜい月に1尾程度という頻度でした。
それが今年は一日に数尾獲れる日が連続しました。
毎年、なにがしか、一つの魚種が多く「湧く(獲れる)」ことはあります。一昨年の夏は小さなトラフグが大量に獲れました。
だから、なにかがちょっと多く獲れた程度では私は最近は驚かなくなりました。
「まあ、そういうこともあるんだろうな」という感じです。

このコショウダイ、私の回りでは今まで誰も食べたことがありませんでした。
なのでどんな味か知らなかったのですが、最近、テレビで「おいしい魚である」と紹介されたみたいです。

そこで私も食べてみました。
写真の50cm、1.6㎏のものをいただきました。
刺身と塩焼きで食べましたが、とてもうまかったです。

この魚、味はとても良いのに、かなり安いのです。写真の50センチのものなど、まあまあ立派なサイズですが、これで600円程です。
安すぎます。
なんでこんなに安いのか。
今回、この記事を書くにあたりコショウダイについて調べたところ、この魚には寄生虫が付きやすいのだそうです。
私が今回食べた個体には居なかったので気づきませんでした。

魚につく寄生虫といえば有名なのはアニサキスです。
よく、イカやカツオについている、細長く、人間の体内に入ると激しい腹痛を起こすというヤツです。
しかしこのコショウダイにつくのはアニサキスではなく、
ディディモゾイド という寄生虫です。
「ディディモゾイド」
もうね、悪逆非道の限りを尽くしそうな感じですね。名前と語感からして。
ところが意外にも人体には全く無害だそうです。
私が捌いた個体には居なかったので、このディディモゾイドの画像はありませんが、興味のある方はネットで画像検索してください。
キモイです。

コショウダイの相場が安い理由は、この寄生虫が理由なのかもしれません。
味は非常に良いのです。
しかし、かなりの確率で寄生虫がいるとなると、やはり敬遠されてしまうでしょうね。

こんなことを書いてしまって購買意欲がそがれてしまうかもしれませんが、知らずにコショウダイを買って捌いて虫を見つけてしまったら、相当なショックを受けることでしょう。
最初から「居る」と思っていた方がダメージは小さいはずです。
「虫がいてもその部分さえ取り除けば問題ないじゃん」
というタイプの方は、コショウダイを見かけたらぜひ買ってください。大変おいしい魚です。