大平丸ブログ」カテゴリーアーカイブ

2020.10.28 ボラ

先日、ボラが大量に網に入りました。

正確な量はわかりませんが、おそらく30トンほど、数にすると3万尾ほどです。
ボラが網に入ると、海面がとても賑やかになります。
ボラはジャンプが得意で、網を乗り越えようと海面でジャンプを繰り返します。
網に入っている量が多いと、あたり一面でバシャバシャと水しぶきをあげて跳ね回り、それは壮観です。

網を最終的に絞り込んだあたりになると、私たちの目前で飛び跳ねまくります。
人の顔くらいの高さまで飛んでくるので、運が悪いと顔面に当たります。
バシュッ!と、ロケットみたいな勢いがあることに加え、ボラの頭はかなり固いので、これを食らうとたいへん痛いです。

このような、漁師しか見られない光景を撮影したいと私は前から思っていて、先週、アクションカメラを購入しました。
そしてこのボラの飛び跳ねている光景を撮影しました。
撮影した、つもりでしたが、、、カメラのスイッチがオフという痛恨のミスをしでかしてました。
「オフぅ」と思わず声がでました。

今回の機会を逃したのは本当に残念です。
ボラは需要が少なく、私たちは狙って獲ることがないので、ボラ大漁の風景というのは滅多にないことなのです。
今回、網に入った正確な量がわからないのも、少しだけ確保して後は海に逃がしたからです。

これを教訓に、カメラのスイッチ確認はしっかりせねばと心に刻みました。

このボラ大漁は、日曜日の昼間でした。
周囲には釣りをしている小型のプレジャーボートが多くいましたが、中にはこちらに近寄ってきて動画を撮っている人もいました。

撮影した人、その動画はレア物ですぞ。

2020.10.17 モッコ

「モッコ」って、ご存じでしょうか?

物の運搬に適した網で、私たちはこれに氷を入れて運搬船に積みこみます。
このモッコには氷が500kgほど入り、季節や捕獲魚種により増減しますが、だいたい5個から十数個、運搬船に積んでいます。
氷を積まずに出港することはあり得ません。

私たちが使っているモッコは既製品ではなく、昔の乗組員が作ったものです。
それほど負荷のかかる使い方はしないので、今のものは20年以上使っていると思います。

しかしさすがにあちこち摺り切れて穴が開いてきました。
今までは穴を補修して使っていましたが、この度、網長(あみちょう)の号令一下、新しいモッコを作ることになりました。

網長とは、網関係の仕事の統率を取る役職で、網の造詣が一番深い人が務めます。現在の大平丸網長は運搬船の船長です。

これがモッコの材料です。

16mmのロープ、主体となる網、ロープと網をうまくつなぐ細い網、縫うための紐(16打ち糸 2mm、3mm、4mm、平糸)。
この素材でモッコが作れます。

※マヨネーズ(350グラム)はサイズ比較用です。

既存のモッコの設計図などは無いですが、網長が改良を加えつつ新規に設計し見本を作ってくれたので、私たちはそれに従って作るだけなので楽なもんです。

このモッコを作るのにはいくつかの技術が必要です。

さつま(スプライス 綱の端に輪を作る)

折り返し(網の目がはじけないように端を折って縫う)

せる(動詞) (綱を保護するための補強 白紐が規則正しく巻いてあるのが
せった部分)

ちょうちょ(綱と綱を隣り合わせにしばる)

などです。

技術と言っても、一見ややこしく見えるでしょうが、実際はどれも簡単な手順の一つの工程を繰り返しているだけなので、誰でもできる作業です。
私は通算8時間ほどで完成しました。

今回、私を含め8人がモッコ作りを命じられましたが、網長は
「期限は定めないからいつでもいいよ」
と皆に言いました。

実はこの宿題が出されたのはひと月以上も前なのですが、完成させたのは4人だけ。
出来ていない4人のうち3人は、入社1~2年の若者たちです。

先ほど言ったように作業内容自体は簡単だし、先月も今月も時化だらけなので、時間は有り余っています。
あとはヤル気があるかどうかという話ですね。

網長は期限を定めませんでしたが、私はこういう宿題を出されたら、皆より先に作って優越感に浸りたいタイプです。
しかるに若い衆の場合、期限がないからどうでもいいや、という程度にしか思ってないのだろうなあ。
まあ私が彼らをせっついたりするのは筋違いなので、何も言いませんがね。

ところで、世間一般のモッコはどんな形なのかと思い、グーグルで画像検索をしてみました。
その時、ひらがなで「もっこ」と検索したところ、、、
なんだか、私の思うモッコと全く違う画像がチラホラ出てきて、驚きました。
何と言いますか、未知なる世界の扉が唐突に現れた感じ。
私は回れ右で引き返しましたが、
それが何か気になる人は、まぁ、自分で調べるがよろしい。

2020.9.29 気温

めっきり涼しくなってきました。
雨模様の天気が続き、日中でも肌寒いですね。

それでも最高気温も最低気温も、今月初旬からすると、せいぜい10度ちょい下がった程度なんですよね。

アメリカのデンバーでは今月、7日に33度だった気温が、翌日は1度にまで下がったとのニュースがありました。

砂漠のような極端な環境では1日の気温差が50度ちかくあるという話は聞いたことがありますが、普通の都市部の日常でこんな気温差があるなんて、冗談ではないですね。 

「暑い!!」と言いながらタンクトップでカキ氷を食べていた翌日には、セーターの上にダウンジャケットを着込んで熱々の煮込みうどんを食べるような状況です。

衣替えが間に合いません。
こたつを出す間もありません。
こんなことはしょっちゅうあることではなく、特殊な気象条件が揃ったからなのでしょうが、まあ身近では起こってほしくないですね。

さて、我々の話をしますと、今月半ばほどから、ジンタが網に混じるようになりました。

ジンタとは、マアジの特に小さいやつで、スーパーなどで「豆アジ」として売られているようなサイズを指します。
「昔はこんな場所にアジなんて居なかったんだがなあ」
というような場所で入ります。
たいした量も獲れず値段も安いですが、これがおつまみにすると最高なんです。
小さいから調理をするのは大変なので、エラと内蔵だけ取って揚げるのが楽です。

揚げれば頭ごと食べられます。
私は南蛮漬けにするのが好きです。

南蛮漬けって、野菜は生で栄養があるし、お酢はけっこう使うし、小魚を頭ごと食べられるし、なんだかとても体に良さそうな感じがします。

ひとつ留意点として、頭ごと全部食べられるということは、骨などのカルシウムはお酢によって漬け汁のほうに溶け出しているということです。
なので、カルシウムを取りたければ汁も共に摂取するのが良いようです。
その場合はやはり、汁の味付けは薄味にして醤油の使用は控えめにすべきでしょうね。

まあ私は、栄養摂取のみのために食べるのではないので、汁は濃いめの味付けですが。

2020.9.12 二重虹

9月7日午前6時。
漁を終えて帰港し、魚を水揚げしていた時のことです。

上空に美しい虹が現れました。
この写真ではかなり見づらく、スマホではたぶん見えないかもしれませんが、虹が二本かかっています。

二重虹
(ふたえにじ、ダブルレインボー)というらしいです。

以前も見たことがあり、記事にしたことがありました。

この二重虹はなかなか珍しい現象なので、見たならば吉兆、もしくは今まで頑張ったことに対する祝福、ととらえる考え方があるようです。

ちなみにこの日の水揚げですが、今年ナンバー1のスズキの漁獲量でした。
具体的に言うと、普段は1回の出漁でスズキが2トンも獲れれば御の字なのに、この日は4トン獲れました。

前回記事の2019年1月16日は、コノシロを大量に獲った日だったし、今回はスズキが大漁でした。
私は人生で二重虹を見たのはこの2回のみです。
今のところ私にとってこの二重虹は、確かに豊漁の祝福と言えます。

皆でこの虹を見ていた時、ふと、逆網(サカアミ)船長が真顔で私に問いかけました。

船長 「ああいう虹ってどうやったら出来るか知ってる?」
私  「(虹のできる条件?ええと、雨が降った後に太陽がどうのこうのだけど、、、しかも二重って、、、) わかりません。」

船長 「スズキを4トン獲ればいいんだよ」
私  「ぎゃっふぅん!!」

まあね。
仕事中にこういう冗談をサラッといえる、
サウイフモノニ ワタシハナリタイ

2020.8.29 危険な暑さ

暑さが衰えませんね。
夏がくる前の長期予報では、気象庁は猛暑を予想しましたが、どこかの地方の農民の観天望気では冷夏と予想しているというニュースを見ました。
これは気象庁に軍配があがりましたな。

今月の半ば辺りは本当に暑かったですね。

お盆明けの8月16日、仕事が終わった後、仲間が一人倒れてしまいました。
彼は船の上で仕事をしている時は頑張ってなんとか耐えていたようですが、陸に上がったところで一気にダメージが押し寄せてきたようです。
船から陸にあがり、目の前の駐車場に行ったあたりでつらくなり、ちょっと横になったら、そのまま起き上がれなくなってしまったのです。
体のあちこちが強張り、ちょっとでも動かそうとすると全身がツッたような状態になり苦しみ、救急車を呼びました。

結果は、脱水症状もしくは熱中症の疑いとの診断で、点滴を打ちながら安静にし、3時間ほどたったら動けるようになりました。
その後は順調に回復したのでよかったですが、病院で落ち着くまでに相当苦しんでいるのを目の当たりにし、暑さ対策や水分補給の大事さを改めて思い知らされました。

後日、会長とこの話をしていた時のことです。
会長に、「自分が若い時には漁は昼間に働いていた。今の、夜に働いているお前たちは楽なもんだ」
と言われました。

このセリフにはわたくし、ちょいとカチンときました。
「おうおう、温暖化が進んでいる今と昔じゃ、気温が違うにきまってるぜ!会長が現役時代の昔は、今よりずっと涼しかったはずだぜ!」
と啖呵を切りました。
もちろん心の中で。

そこで実際はどうなのか、過去の同日の気温を調べてみました。

今回、2020年の8月16日は最高35・4度、最低28・8度です。

ではデータで一番古い、今から59年前、1961年の気温は!
最高32・2度、最低24・8度でした。

あれ?思っていたよりもずっと暑い。

では50年前、1970年8月16日は?会長が30歳で現役バリバリの時代です。
最高34・4度、最低26・6度。
今年とほとんど変わりませんな。

ではでは1980年は?
最高22・1度、最低21度。
おお!めちゃくちゃ涼しいじゃないですか!
と思いきや、この日は雨でした。

では30年前の同日は?
最高34・5度、最低26・9度。
これまた今年と変わらんですな。

これが20年前になると、最高31・6度、最低25・2度ですが、もはや遠い昔とは言えないですね。

温暖化が叫ばれ始めたのがいつからだったかはともかく。
会長が今と変わらない気温の中、キツい昼間に働いていたのは事実でした。
しかも昔は今よりずっと手作業、力仕事が多かったのですから、それは汗をかいたことでしょう。
船には水を満たした大きなカメを積んでおき、ひしゃくを使ってゴクゴク飲み、梅干しもしっかり食べていたそうです。

和食は塩分が多く、日本人は塩分摂取量が多いと言われますが、今よりずっと汗をかく生活だった昔の人にとっては、それでちょうどよかったのだろうと思います。
ちなみに私は一回の出漁で麦茶を3リットル飲みます。
そのことを会長に話したら、「飲みすぎだ!!」と言われました。

なぜ?!
げせぬ。

2020.8.14 さかなクン

最近テレビで「さかなクン」をけっこう見かける気がします。

この方を芸能人と言っていいのかどうかわかりませんが、なかなかの個性と膨大な知識量で、相当な知名度があると思います。
私はテレビで初めて見たとき、魚を見るたびに叫び声をあげる変な人と思いました。
しかし人気が出てテレビ出演が増え、そのプロフィールが紹介されるにつけ、若くして多くの功績を挙げている立派な人物だと知りました。

そんなさかなクンが以前、何かの撮影で船に乗ってきました。
その番組の内容はさっぱり覚えていませんが、実際にさかなクンに接して、その人柄を素晴らしいと感じました。

一例を挙げますと、カメラがなくまわりにスタッフもいないような隙間時間に、仲間が色紙を出してサインを求めたところ、とても快く引き受けていました。
見ていて驚いたのが、芸能人のサインは普通、自分の名をディフォルメしたものを一筆書きで書いただけのものが多いと思うのですが、さかなクンは色紙に魚のイラストを描いていました。
それもしっかり丁寧な書き込みで、実にクオリティの高いものです。書きあげるのにはそれなりに時間がかかっていましたが、仲間と色々会話しながらスラスラと書いていました。
彼の座右の銘は、一期一会をもじった「一魚一会」というものらしいですが、ほんとうにその心がけを実践しているようで、サインのみならずその他の行動一つ一つにも誠意が感じられ、私はすっかりファンになってしまいました。

これは帰り際にもらったお礼カードですが、左上のもの以外、メッセージは全部手書きです。
こんなもんはマネージャーかスタッフが書いているに決まっているだろう、と言われそうですが、私はこれはさかなクンが実際に手書きしたものだと思っています。
(なんで手書きのカードを私が3枚も持っているのか、覚えていません)

それと呼び方ですが、さかなクンさん!とか、さかなクンくん!ではなく、そのまま普通に「さかなクン」と呼んでもらえればいいそうです。

しかし、例えば手紙などを書くとき、「拝啓 さかなクン」じゃ失礼にあたらないかな?
やはり「拝啓 さかなクン様」と書かないといけないかな?
また、喧嘩してムカついて呼び捨てにしたい時には、「おい!さかな!」と言うことになってしまうのか?
なんにしても、この「さかなクン」というのは実に絶妙な名前だと思います。

さかなクンの今後のさらなる活躍を期待します。

2020.7.28 梅雨が明けない

昨日、今年初めてセミの声を聞きました。
セミが鳴くと梅雨明けと昔から言い習わされていますが、そういえば、もう7月も終わりだってのに関東はまだ梅雨が明けてません。
梅雨明けってこんなに遅いもんだっけ?と思い気象庁の関東の梅雨明けの資料を見たら、1951年から始まって、早くは2018年の6月29日(次点で2001年7月1日、1978年7月4日)、遅いのは1982年の8月4日(次点で1998年と2003年8月2日)でした。
年によって梅雨明けは一か月近くも差があるんですね。
わざわざ次点の日付を書いたのは、過去の梅雨明けが極端に早い年と遅い年に、ちょっとした関連があるように思えたからです。
(早い)1978年7月4日 → (遅い)1982年8月4日
(早い)2001年7月1日 → (遅い)2003年8月2日
70年ほどの気象観測史のなかで、梅雨明けが早い年の数年後は梅雨明けが遅くなるのですね。
それを踏まえると、2018年は観測史上最速の梅雨明けであり、その2年後の今年、梅雨明けが遅いのは過去のパターンを踏襲しているともいえます。

というようなことを私は今回初めて気づいたので書いたのですが、実は教科書に載っているレベルの常識だったらどうしよう。
 

しかし、今年は台風が来ませんね。
各地で恐ろしいほどの豪雨が降っていますが、この雨を降らせている前線と台風は全く別物ですし。
このまま今月中に台風がこないとなると、観測史上初の出来事だとニュースになっています。台風の発生から到達までのタイムラグを考えたら、もう7月中に来ることはなさそうですね。

私としては台風なんて別に来てほしくないので今のところありがたいのですが、しかし、来るべき時期に来るものが来ないとなると、後になってしわ寄せがくるのではと不安になります。

9月あたりに「遅くなってごめん!今まで溜めてた分、一度に持ってきたから!遅くなったから、利息をつけて多く持ってきたから!」
という感じでやってきそうな気がして恐いです。

前回の記事で7月前半は、時化続きで出漁できなかったことを書きました。
その後、数回ナギの日があり出漁したところ、マサバが獲れました。
旬にはまだ少々早く、価格は低めですが、今の時世でも売れるうれしい獲物です。

マサバが網の中でグルグルと泳いでいるところを写真に撮りました。
サバが多く網に入っていると、緑と黒の模様の魚群が水面直下を走り回るのが見えます。
私たちとしては非常にうれしい場面です。


しかし、残念ながらこの写真では全く伝わりませんね。
そのうちに動画でアップできるようにしたいと思います。

2020.7.13 時化続き

七月になってから強風が続き、2週間出漁していません。
ここ最近、海の荒れる日が昔に比べ多くなっています。

去年の10月には台風とその余波の影響で、実に3週間連続で時化たことがありました。

こんなに時化ばかりで会社はやっていけるのか、と疑問に思われるかもしれませんが、私には内情は全くわかりませんが、今までちゃんと存続してきたのだから、なんとかなっていたのだろうと思います。

スズキを獲り、年によって魚種に変化はあるものの回遊魚を獲り、混じりの魚もしっかりと獲り、と、それを一年を通してトータルでならせば、ちゃんと採算はとれているのでしょう。
去年の10月以降を例に挙げれば、11月から翌年にかけてコノシロが前例のないほど獲れ、時化や不漁をいくらか補ってくれました。

ただやはり、私たちの漁獲のなかで一番の稼ぎ頭はスズキであり、トータル水揚げの中で大きな割合を占めています。
そのスズキの相場が、今年は全く振るいません。
もちろんコロナのせいで売れないのが理由です。

これは非常に由々しき事態であるといえます。

まあ、もうわかりきっているし愚痴ってもしょうがないし、なんとかスズキを売るうまいアイデアを出すしかありません。
思ってはいますが、なかなか浮かびません。
まあね、コロナなんて関係なく、昔から私よりはるかに頭の良い人たちがずっと考え続けてきた結果が今現在のやり方なわけだし、そんな簡単に良いアイデアが浮かんだら苦労はないですな。

というわけで思考から逃避してとりあえず目の前のできる仕事をやっておこうと、漁に使う道具の手入れをし、いたんでいたワイヤーを直しました。

途中からですが、ワイヤーの端に輪を作る作業です
ワイヤーは6本の鋼線と1本の繊維綱からできており、それをばらしてから編み込みます
編み込みは完了し、残すは6本の鋼線の端の処理 
端をワイヤー本体の中に入れ込み、これで完成
だいぶ使い込んだワイヤーなので固くなっており、あまりきれいにできてません
拡大なんかして見ちゃイヤですよ!

ちなみにワイヤーの編み込みは国家検定がありますが、このやり方は昔のベテランに教わったもので国家検定のやり方とは違います。
充分に実用に値するし、このやり方は網にひっかからないので私たちには適しています。
またいずれワイヤーについては書こうと思います。

2020.6.29 赤い海とアヤ

アカクラゲがすごいです。
まあ、もうここ数年、発生量が大幅に増えているのはわかっているので驚きはしませんが、やはり困りものです。

網の中が真っ赤です。

網から魚をすくうためにクレーンで大きなタモを使いますが、入るのはアカクラゲがほとんどです。


この大量のアカクラゲの中から、ビチビチはねるスズキを急いで拾って活魚水槽に入れねばなりません。
毎度のことですが大変です。
ここひと月ほどは出漁する度にそんな漁模様だったのですが、先日、大雨が降った次の日に出漁したとき、海の様子が一変していました。

アカクラゲがほとんどいなかったうえに、サバがなかなかの量、獲れたのです。

魚を網から船に揚げる作業は、スズキに比べるとサバはかなり楽です。
スズキの場合はオオダマから運搬船の甲板に一度おろし、クラゲや混じりをよけながら人力で一匹ずつ拾わねばなりませんが、サバの場合はカメという大きな入れ物に一気に入れてしまえるからです。

楽といっても、氷の量、魚と氷と水の撹拌、さらに氷水の温度をさらに下げる塩の使用など、難しい判断箇所はたくさんあるのですが、それでもスズキと比べるとサバは楽なのです。

そしておもしろかったのが、この日、船にお客さんが乗っていたことです。趣味のカメラマンのようでした。
これが「アヤ」です。

アヤとは以前に書きましたが、縁起担ぎみたいな概念に近いものです。

船に知らない人が乗ってきたときに、その日の漁の様子が良ければその人はアヤがいいと喜ばれ、不漁だったらアヤが悪いと嫌われてしまいます。
今回のお客さんはかなりアヤがいい、ということになります。

「アヤ」なんて私からすると非科学的で迷信にしか思えない概念なのですが、しかし、話をしていると現役で腕のいい漁師でも結構本気でアヤを気にする人がいます。

しかしやはり、今回の例みたいに海の様子が一変するような状況を実際に経験し、それが毎回とはいわずとも客が乗った2、3回に1回の頻度で起こると、なにかしら超自然的な力というか、そういうオカルト的なもの信じる人の気持ちもわからんでもない、という気分になります。

歳をとるってこういうことかも。

2020.6.15 東京湾アラート

アカクラゲの季節です。
どこで網を張っても必ずアカクラゲが入ります。
網の中は真っ赤です。

私たちがアカクラゲから受ける被害については過去に書いていますので、そちらをご覧ください。

今の時期はフェイスシールドが必需品です。

以前は自作したりネットで注文していましたが、コロナ対策に有効と認知されたことで近所のホームセンターなどでも売られるようになりました。
大量生産の恩恵を受けて安く入手できるようになればありがたいです。

そういえば東京のほうでは、夜に橋を赤くライトアップするショーが行われていたらしいですね。
え、ショーではない?
アラートですって?
アラートで橋を赤くするって、なんの意味があるの?
赤は危険っぽい色だから?

そんなこと言ったら、完成時から真っ赤っ赤な東京タワーさんの立場はどうなるの?
ねえ、東京タワーさんの立場は!?

まあ冗談はさておき。

アカクラゲの毒は痛いけど、まあ対処のしようはあります。
今の私達には、コロナに起因する経済の低迷がまさに死活問題です。
一刻も早い終息を望むばかりです。