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2026.3.31 今の時期のコノシロのパワー

三月の漁が終了しました。

四月は整備期間で、船の整備と修理、網全体の補修を一気に仕上げる為、沖には出ません。

五月からまた漁に出ますがその頃にはスズキ漁に切り替えるので、冬まではコノシロを狙うことはありません。

三月最後のコノシロ漁の一幕です。

今の時期のコノシロはかなりのパワーがあります。

私達は常に、網の中の魚の重量を気にしています。
魚を運搬船に積み込むために網を締めこみながら、手ごたえからどれだけのトン数のコノシロが入っているのかを予測します。

その予測が、去年の冬と今の時期ではかなりズレるのです。

冬の時期の予測はほぼ当たるのですが、今の時期、去年の冬と同じ感覚で網の中の魚の重量を計ろうとすると、実際の漁獲は予測の三分の二、下手すると半分しかないということが起こります。

網を締めこみながら「この重さなら20トンくらいは居るな」と思っていたら、実際に運搬船に積んだら12トンくらいしかなかった、ということがしばしば起こります。

冬場に比べてコノシロの量が少ないのに網が引き込まれるということは、コノシロ自体のパワーが増しているのでしょう。

産卵期が近くなってきて餌をたくさん食べ、体も大きくなることで個体ごとのパワーが上がっていると私は考えています。

しかしこの理屈が正しいならば釣りをする人の間で、コノシロに限らず「産卵期が近い魚はパワーが強いから引きが強くて楽しい」という話がありそうなものですが、旬によって魚の引きが変わるという話は私は聞いたことがありません。

まあ私が釣りにあまり詳しくないだけかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうね。

2026.3.19 アカクラゲ出現

アカクラゲが漁場に増えてきました。

先月までは全然いなかったのに、今はもう直径が15cmはある成体に近い大きさのものが網に入ってきます。

今の時期は夏に比べるとまだ毒を強く感じないので、我々への被害は大したことがありませんが、コノシロと一緒の網に入ってきてしまうのがやっかいです。

コノシロの群れの中のクラゲを手作業で取り除かねばならないからです。

時間も手間も、余計な苦労がかかります。

また運搬船にコノシロを積み込む際にクラゲが混じっていると、なぜか氷の効きが悪くなってしまうので、鮮度落ちが早くなってしまいます。

なのでクラゲが混じった魚を持っている場合は、普段より帰港を急がねばなりません。

クラゲはこのように鮮度を悪くする上に取り除く手間暇がかかり、我々にはなんのメリットもありません。

なにか、クラゲだけ退治してくれる特効薬みたいなものが開発されませんかねえ。

なんて妄想をすることがありますが、もし仮にそんなものができたとして、いざ使用して東京湾からクラゲが消え去ってしまってしまったら、それはそれで生態系のバランスが狂ってどこか予想もつかないところからしっぺ返しがきそうな気がします。

 

2026.2.28 転落

今月始めくらい、港での作業中に仲間が1人、海に落ちました。


ちょっと重い物を肩に抱えて陸から船に乗り移ろうとした時に、足を滑らせたようで海にスポンと落ちました。


私の目前のうえ周りに仲間が多くいたのですぐに手助けして引き揚げましたが、彼は落ちたときにはけっこうな恐怖を感じたそうです。


水泳が得意な人であっても、着衣で水に入るとなると勝手はまるで違うものです。


水を吸った衣服は想像以上に重く、手足にまといつき、動きの妨げになります。


また港で働く人たちはだいたい長靴を履いていますが、長靴はいったん水が入ると相当な重さになります。


なのでうちの船に新人が入った時は、海に落ちたときにすぐに脱げるように、長靴は大きめの物を買うように教えています。

私らのように水辺が仕事場だと海に落ちることは珍しくもなく、私の周りでは50%は転落経験があります。

我々は集団で漁をする為、常に周りには誰かしら人がいます。

なので誰かが海に落ちてもすぐに気付いて助けられるのですが、1人で沖に出ればそうはいきません。

海に落ちた状態から船にあがるのはとても大変です。

転落防止には注意深くなるしかありませんが、注意をしていても落ちる時は落ちるものです。

落ちた時に焦らない心構えと装備が大事だと思います。

日本は素晴らしいことに義務教育で水泳がありますが、その授業の中でたった一度でも着衣で水泳してみれば、安全意識の更なる向上に繋がるのではと思います。

2026.2.17 ボラ

近場の漁場からコノシロの大きな群れが居なくなりました。

前々回の漁ではコノシロの群れを探しつつも見当らなかったので、手ぶらで帰るわけにもいかないのでボラを獲りました。

今の時期はプランクトンが少ないので海水も澄んでおり、夏場には強くなることもあるボラの臭みがありません。

今回漁獲できたのは平均で1kg少しの型が揃ったボラでした。

ボラは単価が安いので親方に言えばオカズとしてもらえます。

入社3か月目の若者が自分で捌いて食べてみたいと言い、魚捌きに挑戦していました。

彼は魚を捌くのは初めてとのことでしたが、包丁の扱いのスジが良く、うまく捌けていました。
そして刺身で食べておいしいと感動していました。
(屋外のあまり衛生状態のよくない場所ですが、ここでやっているのはウロコ落としと内臓の処理までで、あとは家に持ち帰ってキッチンで捌いてます)

魚を捌くのがかなりおもしろかったらしく、今後もやっていきたいと言っていました。

この魚捌きを楽しいと思える感性はとてもお得です。

冬のボラや秋のイナダなど、おいしいのに価格が安い魚が大量に獲れた時、親方は好きにオカズにしてよいと言ってくれます。

しかしわが船団の大半は、捌くのが面倒だからと貰わないのです。

そこでこの新人君のように捌くのを楽しいと思えれば、それこそ獲れたての新鮮な魚をタダでおいしくいただけるのです。

趣味が実益を兼ねるのはお得だと思います。

2026.1.31 走りモヤ製作

今までの漁場からコノシロが居なくなりました。

直近の漁では網を5回張ってようやく20トン程獲れました。
ほんの2か月前は1回の網で50トンは獲れていたのが、年末年始の休みを挟んだら漁獲がこれだけになってしまいました。

何が原因でコノシロの群れが急に居場所を変えたのかは、私にはわかりません。
コノシロが今の漁場に戻ってくるか、それとも我々が漁場をかえるか、また結果は追って報告します。

コノシロが居ないので時化率が高くなっており、時化仕事で私は今、走りモヤを作っています。

走りモヤとは航行時に網船の船首を繋いでいるモヤのことです。
網船は航行時は船首を走りモヤ、船体後部を網で繋いで走ります。

走りモヤにはかなりの負荷がかかるので、太い綱と金属製のチェーンを用いて製作します。

チェーンを通す部分には「コース」と言うロープ保護具をつけます。
私が指さしているものがコースです。
ただこのコース自体も金属なので、ロープを更に保護する為にコースが当たる部分に細いロープを巻きます。

航行時にこの走りモヤが切れてしまうと2艘は急激にコントロール不能になり、転覆の危険性がかなりあります。

転覆は絶対に嫌なので、丁寧にしっかりと作ります。
このあと更に、細かい目の網を使って擦れ対策をするのですが、その作業はまたいずれご紹介したいと思います。

 

 

海が荒れていると走りモヤへのダメージはかなりのものです。

四年近く使用した現在の走りモヤです。かなり痛んでいます。
早く交換せねば。

2026.1.18 2026年 初漁

今年は5日が仕事始めで初漁に出たのは8日でした。

漁獲はコノシロが運搬船の9割くらい獲れ、幸先のよいスタートをきることができました。

今年もコノシロが居てくれることに感謝です。

しかしそれからしばらく強風が続き、次に出港できたのは一週間後の15日でした。

そしてこの日がまさかの漁獲ゼロでした。

コノシロの群れが全くおらず、漁場をめぐっても網を一回も張りませんでした。

私達を含め船橋には巻き網船団が3つありますが、そのすべてが出港したけれどコノシロを見つけられず、網を張ることなく帰港したのです。

三船団が出漁して、海が荒れてきたわけでもないのに網を張らずに帰港するなんて過去にあったかどうか、私の記憶ではありません。

もちろん、東京湾から魚が消えたわけではありません。

カタクチイワシやマイワシ(小)のような反応は魚群探知機にいっぱい映りました。
スズキやボラの反応もしかりです。
旬や需要に関係なくなんでもいいから魚を獲れというなら、いくらでも獲れます。

ただ私達は今はコノシロしか狙っておらず、そしてこの日、私たちの漁場にコノシロが居なかったというだけです。

今の時期の我々の稼ぎはコノシロにかかっているので、それが居ないとなると非常に困ります。
しかし親方は、「また強風や雨が降ったりして海の様子が変わればコノシロは出てくるさ」と言い、それほど悲観はしていません。

私もそう思います。
そう思えるのは一週間前の初漁でちゃんと漁獲があったからです。

こういう時に会長と話すとよく言われるのが、
「海は良い時もあれば悪い時もある」
という台詞です。

漁をしていると一日ごとの水揚げに一喜一憂して喜んだり不安になってしまいがちです。

自然相手の商売なので、当たり外れの波も大きいですが、漁獲が奮わないときでも上がどっしりと構えていてくれると、我々乗組員は助かります。

サムネの写真が何もないので大量の鵜(う)の写真を貼っておきます。

2025.12.29 2025年終了 ロープフェンダー

今年の漁は21日の出漁で終了となりました。

コノシロは居ますが、11月にけっこうな量を漁獲できたので例年より早めの終了となりました。

今年は夏はスズキとコハダ、寒くなってからはコノシロが漁獲でき、去年には及ばなかったものの悪くない成績でした。

東京湾の恵みに感謝です。
また大きな怪我などが無かったことも何より良かったと思います。

来年も無事故で豊漁を願うばかりです。

来年の仕事開始は5日からですが、それまで長めの休暇です。

私はYOUTUBEでロープの動画など見ますが、暇にあかせてフェンダーを作ったりしました。

こんなロープを切ってから編み込むと

このようなフェンダー(防舷材)ができます。

まあ実用というよりは民芸品のようなものですが、作り始めるとなかなかに楽しいものです。

興味があるかたは「ROPE FENDER」で動画検索すればメイキング動画が出てきます。
私はフィンランドの方の動画を手本にしています。
言葉がわからなくても画面を見るだけで真似できるのでとても便利です。
百聞は一見に如かずとはよくいったものです。

2025.12.16 小イワシの群れ

コノシロ漁を継続しています。
出漁ごとに良い漁獲量があり、順調といえば順調です。
ただ、コノシロと同じ漁場に小さなマイワシの群れがいるのが困りものです。
小さなマイワシの群れが網に入ってしまうと、イワシが網の目に刺さり、網が重くて揚がらなくなってしまうのです。
先月の出漁の時に、小イワシが網に入ってしまいとても苦労したことがありました。
通常なら網を海に入れてから船に揚げ終わるまでせいぜい20分ほどなのですが、小イワシが入った時は網を揚げて次の網を張れるようになるまで、4時間近くもの時間と手間がかかりました。
やっとの思いで網をきれいに積み終え、また小イワシが網に入ったら嫌なので早くその海域を離れたいと思っていたら、その小イワシが入った網からたった300メートルほどの場所で親方はまた網を投じました。
親方はおかしくなってしまったのかと思ったら、結果はその網に入ったのはコノシロの群れで稼ぎになりました。
海の広さからすれば300メートルの距離など誤差みたいなものですが、そのたった300メートルで結果に大きな違いが出るものです。

2025.11.29 コノシロ漁 依然好調

コノシロが相変わらず獲れており、ありがたいことです。
この写真は網を揚げる最後の段階で、長さ700メートル、幅100メートルの網をどんどん絞り込み、最後に魚を一か所に集めた状態です。
一か所に集めたと言いましたが、実は網の画像の真ん中あたり(赤線)で網を区切っています。
船の船尾方向の網はタモで魚をすくえるように魚の逃げ場なく締めこんでいますが、船首方向の網では魚がまだ泳げるスペースを残しています。
網に大量に魚が入った時にはこのようにします。
理由は、大量に入った網を一度に全部締めこんでしまうと、その魚を網から運搬船に移す前に網の中で死んでしまうからです。
鮮度が落ちるのはもちろんのこと、網の中で死んでしまうと網がとても重くなり、揚げるのに非常に苦労するからなのです。
それにこうしておくと、水産会社のキャパオーバーだった場合にすぐに逃がすこともできます。
コノシロ漁は単調なために毎回似たような写真ばかりあげておりますが、ご容赦ください。
今年もあと一か月、無事故で働きたいと思います。

2025.11.15 コノシロ漁 好調

今年のコノシロ漁は好調で、今のところ出漁すれば毎回、運搬船を満船にする量が獲れています。
満船どころか、普段使っている一隻の運搬船に一度には全てを積み切れず、予備の運搬船を出動させることもしばしばあります。
それどころか予備の運搬船にも積み切れず、結局二隻の運搬船が港で魚を降ろしてからまた沖に魚を積みに戻るという、我々は「ピストン」と呼ぶことも数回やりました。
毎年思いますが、これだけ多くのコノシロが居てくれることはありがたいです。
魚が居て獲れるのはありがたいですが、このような大量の漁獲の時は出漁してから網を張り、大量の魚で重い網を絞り上げ、運搬船に積み込み水揚げを終えるまでに十数時間も力を使って働くのが殆どで、なかなかに疲れます。
重い網を揚げ続けた翌日は指と腕と腰が痛くなります。
まあ今の時期は時化も多いので、二日連続の出漁というのが今のところ無いことが救いです。
今後も安全第一でコノシロ漁を続けていきたいと思います。