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2019.6.28 ミズクラゲ

赤クラゲが猛威を振るい続けております。
相変わらず私達の漁場に大量におり、人と魚にダメージを与えてきて嫌になります。

加えてミズクラゲも増えてきました。

ミズクラゲについて書くのは初めてですが、東京湾には昔から存在し、暑くなってくると大量発生します。
私達は通常、このミズクラゲのことを「クラゲ」と呼んでいるので、文中でもそのように書きます。

直径は大人が手のひらを広げたくらいの大きさで、体の95%は水分から成り、全体的に透き通っています。ちょっと硬めのゼリーくらいの固さで、毒は少しばかりもっているようですが、触っても全く何ともありません。

しかしかなりのやっかいものです。
なにがやっかいかと言うと、非常に密集した、そして数の多い群れをつくるのです。正確に量る術はないので感覚でしか言えませんが、大きな群れは数十~100トン単位で集まっています。
いま、私達の漁場にはこの大量密集ミズクラゲ群が散在しています。
大量のクラゲのことを私達は「大クラゲ(おおくらげ)」」と言います。
大クラゲの入った網は、重さのあまり揚げるのに苦労します。
このクラゲは手で握れば崩すことはできるくらい柔らかいけど、網の目を抜けるほどではなく、目を全部ふさいでしまうのです。

大量に入ってしまうと、その重さのせいで網と機械に負担がかかるので、機械の速度を落とさねばならないし、最後の人力で網を締めこむ作業に時間がかかってしまいます。
更に、大量のクラゲの中から魚だけをコダマですくうのにも時間がかかります。

今の時期のスズキ漁は、網を張る回数が勝負です。
夏のスズキは大きな魚群を作ることはないので、網数を重ねることで漁獲量を稼ぎます。
大クラゲが入った網は、普通に網を張る3回分くらい時間をロスしてしまいます。手間と時間だけかかって良いことは一つもありません。

このクラゲは海面から海底付近まで広範囲に生息します。
そこで、「オモテマワリ」といって船の前部の仕事を担当する者が、海面を注視してクラゲの発見に努めます。
魚群探知機にも大クラゲの群れは映るので、ある程度は避けて網を張ることはできます。
しかしとにかく、あちこちに大クラゲが存在するので、避けてばかりでは網を張ることができなくなってしまう、というジレンマに陥ってしまいます。

社長とクラゲの話をするとよく、「うまく売る方法を考えれば億万長者になれるぞ!」と言われます。
確かに。
どなたかお知恵のある方、湾内のクラゲを獲りつくしてお金儲けしてください。
このクラゲは東京湾のみならず、日本全国で大クラゲ群を作って、漁師だけでなく海辺の施設の取水口に詰まったりして迷惑をかけまくっています。
有効利用法を考え付けばほんとに稼げますぞ。
ちなみに「中華クラゲ」といって売られているものとは種類が違うので、食用にはなりません。

大クラゲが魚群探知機に映ると書きましたが、その映り方が面白いので、いずれ記事にしようと思います。

2019.6.14 イシモチ シログチ ニベ

イシモチが旬です。
ここ数年あまり獲れなかったのですが、今年はちょっと網に入ります。しかも全体的に大きめのものが多く、混じりとしてありがたいです。
私の回りでは皆この魚をイシモチと呼んでいるし、近所のスーパーでもそのように表記され売られていますが、実はこれは正確な呼び方ではありません。
イシモチというのは「シログチ」と「ニベ」という、形が非常に似ていて紛らわしい魚の総称のようなものなのです。

(どちらの写真も上がニベ、下がシログチです。)
見分け方としては、ニベは全体的に黒い小さな点のような模様があります。それとニベの方が大型化します。私達の網に主に入るのはシログチの方で、ニベはたまに混じってくる程度です。
私の回りというか船橋港全体の漁師や水産会社の人たちは殆ど、シログチのことをイシモチと呼びます。
シログチは内湾、ニベは外洋でまとまって獲れるようです。
なので、外洋では多く獲れるニベをイシモチと呼び、シログチのことは「グチ」と呼んで区別するらしいです。
ややこしいですね。
実はさらに、ニベにそっくりの「コイチ」という魚もいるのですが、そいつまで取り上げると収拾がつかなくなるので今回はスルーします。

シログチとは「白い」と「愚痴」という意味があるようです。
この魚は網に入ったり釣られたりすると、「グゥ、、、グゥ、、、」と音を出します。その音が漁獲されたことに不満、愚痴をこぼしているように聞こえるから、グチと名付けられた、という説があるのです。
この魚は船にあげられてもあまり跳ね回りません。
そっと静かに横たわり、そして低い声で「グゥ、、、グゥ、、、」と鳴きます。
私はいつも、なんというか、捕まえてごめんなさい、という気分にさせられます。
実際は鳴き声ではなく浮袋を振動させている音だそうですが、他の魚ではそんな声(?)というか音は聞きません。いったいなんの意味があるのか、不思議に思います。


海で漁獲したばかりのシログチは、ピンクがかった銀色に輝き、宝石みたいでとても美しい色をしています。
しかし死んでしまうとこの輝きは時間経過でどんどん失われてゆくので、売られる頃にはくすんだ色になってしまいます。
沖で見る元気なシログチを華やかな鎧武者に例えるならば、数日たったものはさながら刀折れ矢尽きた落武者。それぐらい見た目が違います。
ひどい例えをしましたが、しかし見た目はくすんでしまっても味は非常に良い魚です。
刺身でうまいのはもちろんですが、塩焼きや煮付けなど、火を通すのがおすすめです。
柔らかいながらしっかりと身に味があり、とてもおいしいです。
皮にうまみが強いので、皮付きのサクの皮だけを炙って刺身にする、焼霜作りもおいしいです。
シログチとニベでは、ニベの方が身に締まりがあります。味は私には大差は感じられません。どちらもおいしい!です。
旬のイシモチは鯛に勝るとも劣らない、などとも言われます。
みかけたら是非ご賞味を。

アカクラゲの対処 2019.5.29

相変わらずアカクラゲが多いです。
ここ最近、全国的に異常に暑くなりました。
暑くなると、アカクラゲが皮膚に付いた時の痛みが増します。
理由はよくわかりません。
私は、暑くなるとアカクラゲも元気になって毒が強くなるのだと思っていたのですが、ある時、仲間に「暑いと汗をかくときに毛穴が開くから、毒がよく染み込むのだ」と聞いて、かなり納得しました。

大量のアカクラゲの中から魚を拾う時に、一番ダメージを受けるのが顔です。
特に目。目にアカクラゲが入ったら痛くて仕事になりません。
そこでみんな、防御手段を考えます。

右側がメガネ。これだと、口や頬がノーガードなので痛いうえ、上下の隙間から目にアカクラゲ汁が侵入してきます。
左は顔面シールド。黒い部分はベルクロのバンドになっており、おでこあたりに巻きます。
これは顔の防御は問題ないですが、呼吸のせいで曇りやすく、視界が悪くなりやすい。

色々と試行錯誤の過程で、こんないかついシールドも検討しました。

シールド付きヘルメット

どれもこれも一長一短あります。
防御力と利便性は反比例の関係にあると申しましょうか。
やはりこういったものはすぐに曇ってしまいます。
温度差で曇るし、クラゲの触手や魚体のヌメリ、魚のウロコなどが張り付き、視界が悪くなります。
曇りや汚れを取るには水洗いが最適ですが、それにはサッと外せる眼鏡タイプが一番早くて楽です。運搬船で魚を拾い終えた後、付けたまま網船の作業にも戻れます。

眼鏡タイプは楽だけど、前述の通り隙が多く、けっこうなダメージをこうむります。
反面、いかついシールドは防御は万全です。しかし、手早く洗えないし網船で作業をするには邪魔になるので、いちいち脱いでどこかに置かねばなりません。 手間がかかります。

結局、色々と試したものの、これだ!というアイテムは今のところありません。皆、痛みか不便さと戦いながらアカクラゲに対処しています。

もうね、赤クラゲが消え去るように神頼みするしかありません。
でもね。もし神様が願いを叶えてくれて、赤クラゲが全て消えたとしてもですね。
、、、いるんですよ、他にも。迷惑なクラゲが。
その名はミズクラゲ。 近いうちに書くことになると思います。

最後に。アカクラゲが顔についてしまってヒリヒリしている時に、水で洗っても、あまり効果は感じられません。逆に、ヒリヒリの範囲を水で広げる感じになってしまいます。
そこは温かいお湯を使って洗ってみましょう。水より簡単にヒリヒリが治ります。
普通の方はあまりフレッシュな赤クラゲに遭遇する機会はないでしょうが、参考までに。

赤クラゲ2019 2019.5.19

五月に入って、赤クラゲが大量に網に入るようになりました。
赤クラゲは毎年必ず今くらいの時期から発生するのはわかっているのですが、ここ数年、どうも発生量が増加しているように感じます。
特に今年は今までで最大の発生量と感じます。これは私だけでなく、同じ海域で働いている他の漁師達と話しても、やはり今年は過去最高じゃないか、と言っています。
過去にアカクラゲについて書いたことがあったので記事を探したら、2年前の4月と5月にありました。

http://daiheimaru.com/category/daiheimaru/page/5/

その2年前の文中でも、「毎年増加しているが、今年は今までで一番多い」と、今回と同じことを書いていました。
なんだか、具体的なデータも出さずに毎年毎年「過去最高の量!」と言っていると、「去年も同じこと言っていたじゃないか。大げさに騒ぎすぎなんだろ」と思われるかもしれません。
赤クラゲの量なんて把握するすべがないので、自分の感覚で言うしかないので仕方がありませんが、まあとにかく、ほんとうに今年も「過去最大量」の赤クラゲです。

その量を見てもらおうと写真を撮りましたが、今回はなんだかあまりうまくいきませんでした。以前の記事の写真の方がよく良く撮れています。

そろそろスズキが旬にむけて脂がついてきているので、今までは船上で氷締めにしていたのを活かして持って帰るようになりました。
「アカクラゲ 魚編」の記事で書いたように、赤クラゲと一緒に網に入ったスズキを活かして持って帰るのは大変です。
運搬船の船長と、運搬船に曳航されて走る伝馬船の船長が2人で、数百~1000尾のスズキの面倒をみます。

網船が網を絞り込み、運搬船に魚を移す際に、
「活けの魚は野締め(氷締め)の魚より価値が高い」
「生きているのを締めるのはいつでもできる。逆は無理」
という理由から、網に入ったスズキは赤クラゲを吸って弱っていようとも、とりあえず活魚水槽に入れられます。
この魚を運搬船に揚げる作業は乗組員全員でやりますが、積み終えれば網船の乗員は次の網の為に運搬船を離れます、。
そうすると、アガリを氷締めにしたり、クラゲや魚の吐き出しで汚れた水槽の水を綺麗にしたり等、スズキの面倒をみるのは基本的に運搬船の船長と伝馬船の乗員の二人きりになります。
しかも、網船が次の網を張ると伝馬船はそのサポートの為に運搬船を離れるので、運搬船船長は一人で魚の面倒を見つつ、他の仕事もしなければなりません。
大変な仕事で、沖にいる間は休む間がありません。
これは普段からこのような作業体制ではありますが、赤クラゲがいると苦労の度合いが一層増してしまうのです。

ほんとにもう、赤クラゲは迷惑な生物です。
かといって発生を阻止するような対策なんてありそうもないし、どうしたらいいものか。
なんなら有効活用に道を見いだすしかないか?と考えたこともありますが、その話はまたいずれ。

2019.4.30 さより 2

前回に引き続きサヨリの話を少々。
サヨリは大きいほど高値になります。
これは今月獲れたものの中でも最大級のサイズで、242グラム。全長は測り忘れましたが40センチ近くあります。(緑のタニタ製計量器は横幅12cm)

そしてこちら、同じ日に獲れたコノシロです。

249グラムで、上のサヨリとほぼ同じ重さです。
同じ重さだけどサヨリより体長は短く、その分、体高と厚みがあります。
同じ日に獲れた、同じ重さの魚です。
同じ日に獲れた、同じ重さの魚ですが、値段が100倍近くちがいました。
サヨリ1尾とコノシロ100尾が同じ価値です。
なんという格差社会(魚編)でしょう。

まあ正直に言うと、値段差を大きく感じてもらうためにちょっと恣意的な取り上げ方をしました。
4月のある日、1尾のサヨリとコノシロの価格比が100倍近くだったことは間違いありません。
実は「ただでさえ高いサヨリの最高値」と「ただでさえ安いコノシロの最安値」になる条件がたまたま重なったのです。
この日は市場(しじょう)に出ているサヨリが少なかったようで、4月の中では一番の高値でした。そのうえ獲れたのは最大サイズのカンヌキ。丁寧に氷とともに箱詰めして出荷しました。
一方、コノシロは鮮魚としての需要はほとんどなく、加工屋に出荷したのです。
加工屋とは文字通り、干物や缶詰、練り物などの水産加工品を作る会社です。鮮魚として売るのに比べて単価は安くなりますが、大量の魚を引き受けてくれます。
「加工屋」と呼び捨てにしていますが、「加工屋さん」と書くとなんだか幼稚な気がするので、あえて敬称をつけずに書いています。水産加工会社と書けばいいんでしょうが、長い。今後も「加工屋」でいきます。
上のコノシロが10トン獲れたとしたら、約4万尾。
そんな量を1尾ずつ売っていたら、売り切る前に腐っちゃいます。安いとはいえ、自分らでは到底さばききれない量の魚を引き受けてくれる、ありがたい存在です。

サヨリですが、私はカンヌキは食べたことがないので、味を語ることができません。
コノシロはおいしいです。魚に詳しい人なら、酢締めにしないと骨が当たるでしょ?と思うかもしれませんが、私は気にならないレベルです。普通に三枚におろすだけで、刺身でおいしく食べられます。
さてみなさん、同じ値段で買うとしたら、サヨリ1尾とコノシロ100尾、どちらを選びますか?

うん、私はサヨリをチョイスいたします。
コノシロをおいしいと言っておきながら、結局サヨリかい!と言われそうですが、、、
コノシロ100尾も捌いてられません。めんどくさい。

2019.4.15 さより

サヨリが旬です。
サヨリは姿や色合いが美しく、味もよいためケチのつけどころがなく、「海の貴婦人」と称されることもあります。
相場がとても高いので獲れると嬉しい魚です。
サヨリは基本的に海の表層、それも海面直下を泳ぐので、ソナーや魚群探知機では探知できません。
それゆえサヨリを狙う時は「あてばり」という手法を使います。
「あてばり」とは機械を使わず、狙う魚の好みそうな場所や過去に実績のあった場所などで網を張るという、要は「漁師の勘」に頼った手法です。
または肉眼で海面にサヨリの姿を探し、見つければ網を張るという、どちらにしても昔ながらのやり方で漁獲します。

サヨリは元々の相場が良いうえに大きいほど値段が高くなり、上の大きいものは下の倍ほどの単価になります。
私達が出荷する際には、「サヨリ」「大サヨリ」「特大サヨリ」「カンヌキ」と分けています。
カンヌキとは最大サイズのサヨリの別称です。
大きくて重くて単価が高く、スーパーなどでは見かけたことがありません。

カンヌキという言葉ですが、知らない人の為に解説いたします。
ネットで「カンヌキ」で画像検索したところ真っ先に出てきたのが、このような小さな金具でした。

 

全長10センチ未満です

この金具では「サヨリのカンヌキ」の意味は説明できません。
「かんぬき」とは、昔の家屋が木造の頃、城や大きな屋敷の門戸の施錠に使ったぶっとい木材のことです。

私は絵心がないので縮尺が変ですが、この扉は高さが人の背丈以上あると考えてください。

ちなみに小さくて細いサイズのサヨリを「エンピツ」と呼んだりもします。
エンピツとカンヌキ、極端な対比ではありますが、超特大サイズのサヨリが獲れた時のありがたみや喜びを表すのに、カンヌキはぴったりの例えだと思います。

そして「海の貴婦人」と「かんぬき」ですが、同じ魚を指すとは思えないほど印象が異なります。
漁師や釣り人など、色々なサイズのサヨリを見たことがある人が、大物が獲れた時に太さを強調して「かんぬき」と呼び、サヨリの平均サイズを知らない人は、スマートな全体像を見て「海の貴婦人」と名付けたのだと思います。



2019.3.30 ジェットフォイル 衝突

今月はじめ、日本海で高速船のジェットフォイルがクジラらしき海洋生物と衝突し、怪我人がでる事故がありました。
ジェットフォイルとは水中翼船という特殊な形状をした、海水を勢いよく噴射して進む船です。

去年は東京湾の、私達の働く海域でも大きなザトウクジラが出没したし、船乗りとして他人事ではないので、ニュースなどを注視していました。

事故の二日後の朝のニュースでちょっと長めに取り上げられていたのですが、その内容に事実と大きく異なる部分がありまして、それを指摘して訂正しておきたいと思います。
そのニュースでは海洋生物学の教授にインタビューをし、衝突の原因を推測していたのですが、教授いわく
「クジラは視力が0.1しかなく、水中翼船の小さな翼が見えなかったのでは」
「クジラの可聴域は低く、ジェットフォイルの高周波エンジン音は聞こえなかったのでは」
と述べていました。
つまりクジラはジェットフォイルの接近を感知できないので、逃げられなかった。クジラに罪はなくジェットフォイルの前方不注意が原因。と、遠回しに言ったに近いかと思います。
これは特に問題ありません。
クジラの種類によっては、エコロケーションといって音波を発して周囲を探る能力があるものもいる為、視力は関係ないと異論をはさむ余地もありますが、とにかくこの教授の見解は事実に基づいているので事故原因の一説として述べるにふさわしいです。
問題はこの後の、アナウンサーの締めの一言です。
「海中では音が伝わりづらく、魚群探知機のようなレーダーが有効(なので今後は活用し、衝突を防止する)」と述べ、このニュースは終わりました。
全体を正確に記憶していなかったので、上記の文中の(かっこ)内は私が勝手に加えましたが、
『海中では音が伝わりづらく、魚群探知機のようなレーダーが有効』
という部分は間違いなく言いました。

この発言ですが、何一つ合っていないのです。
「魚群探知機」や「レーダー」というのがどのような物かは、殆どの人がイメージできると思いますが、とりあえず事実を羅列しますと。
☆音は水中では大気中の約4倍の速度で伝わる
☆電波は水中では減衰が大きく役に立たない
☆魚群探知機は音波、レーダーは電波を使用する
☆魚群探知機は通常、自船の真下しか見えない
☆水中で周囲を探索する場合に使われるのはソナー

締めの一言を私なりにただしますと、
「海中では電波が伝わりづらいため、魚群探知機のように音波を使用するソナーが有効」ということになります。
まあ陸上生活の人ならばレーダーや魚探を使うことなどほとんどないだろうし、その作動方式が電波だろうが音波だろうが全くどうでもいいことでしょう。
ただこれは、娯楽番組などに比べ信頼性が一層重視されるであろうニュース番組での放送だったので、私には気になりました。
ソナーと魚探は近代漁師にとっては必須の利器なもんで、一言いわずにはいられませんでした

2019.3.12 結び

二月いっぱいかけて船の整備と網の補修をやり、三月初めから今期の漁がスタートしました。
今のところ漁獲は芳しくありませんが、この時期としてはそれは毎年のことです。底引き網漁船はスズキやクロダイが獲れているようなので、魚はちゃんと居てくれている、ということです。
ここ数年、漁獲がふるわない年が続いていますが、今年こそは!!魚種は問わないけど沢山獲って!喜びに溢れる記事を書きたい!!
そのように思っております。
さて。この時期の出漁で毎年感じるのが、寒暖差の大きさです。
晴天で太陽が出ている日中はTシャツで過ごせるほど暖かいのに、雲間で太陽が隠れると一瞬で震えるほど寒くなります。
日中の漁はポカポカして快適ですが、早朝や夜、曇りの日など、太陽が出ていない時はかなり寒いです。
今の時期に特にきついのが、指先の冷えです。
作業中は常に軍手をしていますが、軍手は濡れるとかなり冷たくなるので、指先がかじかんで動かなくなってしまうのです。
これで辛いのが、「結び」です。
海中に投じた網を船に揚げる作業には、大きく分けて「網たぐり」「アバたぐり」「イワたぐり」「結び」というポジションがあり、それの一つです。
小さな金具にロープの先端を通し、それをひねって結びをつくり金具に縛り付ける作業で、約6秒の間隔で1本ずつ渡されてくるロープを50本ほど結びます。

慣れれば6秒の間に2本結べるくらい時間の猶予がある簡単な作業なのですが、寒い時はこれがつらいのです。
指がかじかんで動かず、結びができないでアワアワしているうちに、次のロープが容赦なく手渡されてきます。
20本くらい必死に続けているとだんだん指先が温まってきて動くようになり、やっと普通に結べるようになります。
まあだいたい皆この事は経験済みなので、結びが遅くてもどやされることはありませんが、やはり「結び」ポジションについている者は大変です。
早く暖かくなってほしいです。

2019.2.13 クラムチャウダー選手権

来たる2月16日土曜日、船橋港にて、
「第一回 日本クラムチャウダー選手権 withパンフェスティバル」という催しが開かれます。

船橋はスズキのみならずホンビノス(貝)の水揚げも全国トップクラスであるらしいです。
ホンビノスは外来種で、東京湾における漁獲の歴史はまだ浅いものの、最近はメディアにもちょくちょく登場しており、お茶の間にもその名は浸透しつつあるように感じます。
船橋港で貝の仲買をしている水産会社の社長さんが精力的に宣伝活動を行っており、今回の催しもその一環のようです。

正直言って私達の船の仲間はあまり付き合いがなく、イベントの内容は新聞などの情報でしか知らないのですが、なんでも、そうそうたる飲食店13店舗が各々の腕によりをかけてクラムチャウダーを作り、それを販売するそうです。
カップ1杯、120cc、300~500円での販売が目安だそうです。

そこで私が気になることが一つあるんですが、カップ1杯120ccってどれくらいの量なんでしょう?
水だったら120cc=120グラムってのはわかるんですが、具の入っているスープだと具の分だけ重くなるんでしょうか?
なんというか、何杯くらい飲めるものなのか、お腹へのたまり具合が想像つかないのです。
そこで試しにカレーで120グラムを量ったところ、こんな感じでした。

少なめとはいえ、しかし全店まわって13杯も食べられるかというと、キツそうです。加えてパン屋さんもあることだし。
まあ当日、現地でどの店にしようか悩むのもこういう催しの楽しみ方の一つでありましょう。

ときに、先一昨日、10日のことです。日曜日でしたが私達は港で仕事をしていました。
サカアミ船長がカップルに選手権の会場を聞かれたそうです。
開催日はまだ先であると教えたら腰が砕けていたそうです。
開催は16日の土曜日、その人たちが来たのは10日の日曜日。日付どころか曜日も合ってないとは、なかなかのうっかりカップルです。

当日の好天を願います。

2019.1.31 時化

今月は強風の日が多く、出港できたのは4回のみでした。
今の時期は昔から時化が多いので、数年前までは1月、2月は出漁はせず、船の整備と網の補修をしていました。
それゆえ1月は時化が多いのは最初から織り込み済みであり、今月の時化の日は網仕事をしっかりとやり働きました。
一応書いておかないと、一か月に4日しか仕事をしていないと勘違いされてしまいそうなので、念のために。

出漁した日は全て、コノシロ狙いです。
結果は運搬船が満杯の日と、空っぽの日がそれぞれありましたが、トータルで考えると1月としては良い成果と言えると思います。

ちなみに運搬船が空っぽ、つまり魚が全く獲れないで帰港した日もある訳ですが、魚が居なかったのではありません。
今の時期でも東京湾に魚はたくさんいます。魚群探知機には度々、大きな反応が映ります。
しかしこの大きな反応を狙って網を張っても、網には何も入らない。なぜか。
魚群探知機の故障ではありません。

答えは、魚探(ギョタン、魚群探知機の略称)に映ったのはカタクチイワシの群れだからです。
魚探にはっきりと映るほど大量にいるけど、一匹一匹ははこのように小さく、網からすり抜けていくのです。

このカタクチイワシのことを、私達は「シコイワシ、ヒコイワシ」、
略して「シコ」「ヒコ」と呼びます。
味はおいしく、人間だけではなく養殖魚や釣りの餌としても需要は多くあります。
使う網を替えればこのシコも漁獲できて稼ぎになります。
やるのは簡単ですが、私達がカタクチイワシを狙うことはありません。
私達にとって獲れて嬉しい魚はやはり、スズキです。
そのスズキを育て、そして居つかせる為には、シコは大事なのです。

ちなみにこのシコの写真は二か月ほど前に撮ったものです。
ここ数年はこの程度の小さなシコなので良いのですが、年によっては湾内でシコが大きく育つこともあります。大きく育ってちょうど網の目と同じ大きさになり、網に大量のシコが刺さって苦労したこともあります。

ほんとに、自然は加減をしてくれませんね。