投稿者「daiheimaru」のアーカイブ

2023.7.28 クロダイとキビレ

今月はスズキ漁とコハダ漁が好調だったうえ、相場が良かったこともあり、久し振りに良いボーナスが期待できそうです。

私が大平丸に入った二十数年前は、夏はスズキ漁、秋はサバ漁が好調で、年に数回は月給が倍くらいになる月があるのが普通でした。

それがいつしかスズキもそれほどは獲れなくなり、サバも回遊が殆どなくなってしまい、大きなボーナスにはだいぶご無沙汰でした。

今月のボーナスはコハダの恩恵によるところが大きいですが、そろそろコハダのシーズンは終わりです。
これからは何が獲れるのかはわかりませんが、このまま良い漁が継続できれば嬉しいところです。

さて、前回の記事で書きましたが、今はタカ(沿岸沿いの浅い場所)で働くことが多いです。

タカではクロダイがよく獲れますが、その中に、姿はクロダイにそっくりなのに色がちょっと白っぽい魚が混じります。

それがキビレという魚です。

上がキビレ、下がクロダイです。

私達はキビレと呼んでいますが、標準和名はキチヌと言います。
クロダイは標準和名がクロダイで別称がチヌなのに、キビレは和名にチヌが使われているのがややこしいですね。

ご覧の通り、腹ビレ、シリビレ、尾びれ下部が黄色です。

このキビレですが昔は滅多に見かけなかったのに、最近はちょくちょく網に入るようになりました。
どうやらもともとは西に生息していたけれど、最近の気候の変化で東京湾にも進出してきたようです。

今、全国各地でクロダイによる海苔や貝の食害が報告され、クロダイは駆除対象魚という嫌われ者になってしまっていますが、このキビレも食性はクロダイとほぼ同じらしく、食害に拍車がかかってしまったら困りものですね。

まあ私にできることは食べて駆除に貢献、というところなので、おいしく頂こうと思います。

捌く際に気付いたのですが、キビレは骨が硬く感じました。

私は大きな魚を捌く際に、全てのヒレを前もってハサミで切り落とします。
ハサミといっても切断力の高い万能ハサミですが、キビレの尻ビレは硬すぎて切れませんでした。


全長は同じなのに、クロダイのシリビレは簡単に切れたのにキビレの尻ビレはゴツ過ぎて切れませんでした。

また、肛門からあご下まで包丁を入れて切り開く際、カマの部分が恐ろしく固く、切るのに難儀しました。

自惚れではありませんが、魚を捌き慣れている私が出刃包丁を使っても苦労したのだから、普通の方が薄い万能包丁などで捌こうとするのは危ないかもしれません。

旬はクロダイが秋から春、キビレは春から初夏とのことです。
クロダイは産卵後らしく痩せていますが、しかし身の味はよく、相場も安い魚なので、魚好きの仲間はよく親方にもらって食べています。
仲間内ではいま、クロダイの天ぷらがブームです。

うまそうではありますが、このク〇暑いなかで揚げ物をする元気は私にはありませんや。

キビレの味ですが、正直に申し上げて私にはクロダイとの違いがわかりませんでした。

どちらもおいしい。

語彙力がなくてスミマセン。

ちなみに今年の2月に獲れたクロダイがこちら

丸々と太っています。
上の写真の痩せたクロダイとはまるで別物です。

魚の旬と味について、いずれ記事にしたいと思います。

2023.7.15 タカのスズキとコハダ

暑さも本格的になりいよいよスズキ漁に熱が入る夏がきました。

今年のスズキ漁ですが、例年とはだいぶ勝手が違います。

例年であれば今の時期は夜に出港し、水深のある沖に向かいます。
一回で百~数百kgずつ獲れる網の回数をこなして魚を貯め、そして夜が明けると魚の入りが悪くなるので帰港する、というのが通常の流れでした。

しかし今年は今のところ、今までの場所では夜にスズキの漁獲が思わしくないのです。
逆に、夜が明けた後のタカ(陸に近い水深の浅めの場所)で、一気にトン単位のスズキが獲れる日が連発しているのです。

面白いことに、いまタカで獲れるスズキは大きなサイズが多く、例年の沖だったら一日に数尾しか獲れないような大物がドカンとまとまって獲れます。

こんな大物がまとまって網に入ります。沖でこんな大物が入ることはあまり無いです。

ちなみに夜が明けてからタカで網を張るのは、スズキを狙う為ばかりが理由ではありません。

今年はコハダの相場がとても良いのですが、コノシロ、コハダは日の出ている時間が漁がやり易く、夜が明けてから狙うのがセオリーで、そしてこの魚はタカを好みます。

それでコハダを狙ってタカで網を張ると、コハダの群れの中にけっこうな量のスズキも混じって獲れるという、いわば一石二鳥の状態なのです。

スズキ、コハダ共に相場が良いおかげで、今月の今のところの漁獲高は久し振りにコロナ前を思わせる具合になっています。

ただ燃料代をはじめ機械部品などが大きく値上がりしており、手放しで喜べる状況ではありませんが、今月後半も頑張って活気を取り戻したいものです。

2023.6.28 マツダイ (及び信じ難い異名)

マツダイが獲れました。

網に入るのは年に数尾程度で、けっこう珍しい部類です。

この魚は流木や流れ藻の塊など、水面に浮かぶ物体の下に付くのを好み、獲れるのはきまって海面に浮遊物が多い時です。

厳つい体型と色合いから、なんとなく古代の魚といった趣が感じられます。

実は今回の個体は大量のミズクラゲにもまれたせいでだいぶ白くなってしまっていますが、本来は全体がもっと濃く、どす黒い色をしています。

このマツダイですが、私の周りで食べたことがある人はいません。
漁獲が少ないから高級で手が出せないというわけではなく、また毒もなく、まずいという評判なのでもありません。

理由は後で述べるとして、今回私は食べてみます。

捌いたら古代魚風の外観の下から美しい白身が現れました。
腹のカマなどじつに分厚いです。

半身を刺身、半身は塩焼きにして6人の仲間で試食しました。
皆、マツダイを食べるのは初めてです。

結果は満場一致でマツダイはおいしいとの評価になりました。
刺身も良かったですが、塩焼きのほうが人気でした。

さて。
それではなぜ、今まで私の周りで誰も食べてなかったかの話をします。

先に注意しますと、この先は尾籠(びろう)な話になりますので、苦手な方は端末を閉じることをお勧めします。

 

私が大平丸で働き始めた二十数年前の話ですが、当時の大平丸には技術、知識、経験すべてが豊富な凄腕のベテランが何人もいました。
そのベテラン勢がこぞってマツダイのことを「クソダイ」と呼んでいたのです。

なぜそんな名称で呼ぶのか尋ねると、「こいつぁな、クソ食ってるんだよ!」と力強く言われ、なんのことかよくわからないまま深く追求もせずに今まできました。

今回記事にするにあたり当時から居る七十代のベテランに詳しく聞いたところ、
「ありゃあな、おわい船についてんだよ!」と力強く教えてくれました。

「おわい船」なんて、中年以上で、しかも海沿いに住んでいる人でなければ聞いたこともないでしょうね。

昭和初期から平成初期まで東京湾周辺地域では、屎尿(しにょう 人の排泄物)を船に積み、東京湾を出て大島までの中間あたりに行きそれを海に投棄していました。
その屎尿処理船を通称おわい船と言います。

ベテラン曰く、マツダイはその船にいつも付いている。

だからマツダイは屎尿を食うクソダイだ!そんな汚い魚、食わねえよ!
というのが、大平丸先達の共通認識だったのです。

信じがたいので調べると、マツダイは肉食で小魚や甲殻類を捕食するようです。

私の考えでは、マツダイの中にたまたま流木の代わりにおわい船の下に付くことを選んだ個体がいただけのように思います。
そもそも昭和初期から始まった屎尿海洋投棄が餌場だというなら、それ以前はマツダイは何を糧に生きてきたのか、という話です。

し尿を餌にするなどというのはベテランの勘違いに過ぎないと私は思います。

しかし私が言うのもナンですが、漁師って、いちど思い込んだらどんなに理を尽くして説いても頑として受け付けない人が多いです。

うちのベテラン達にとってはマツダイは今後もクソダイのままで、食べることはないでしょう。

そういえばマツダイって、面白い泳ぎ方をすることがあるのですが、今回は長くなってしまったのでその話はまたいずれ。

2023.6.10 ひっかけの作り方

船で使う道具に「ひっかけ」というものがあります。

4~5メートルほどの竹の先にフックをつけたもので、文字通り遠くのものを引っ掛けて取るような使い方をします。

作りは金具を紐で縛り付けるだけの簡素なものです。

このひっかけの作り方に関して少々、思うところがあるので今回のネタにします。

この4本はそれぞれ別人が作りました。
左端が私、他は若者たちが作ったものです。

私は紐を単に巻き付けただけですが、若者たちは巻き結びを交互にやって縛り付けています。

この若者たちのやり方が私には理解できないのです。

交互に巻き結びをするやり方だと、ひと巻き毎に力を入れてしめ、その都度紐を持ち替えねばならず、手を動かす回数がだいぶ多いのです。

それに比べて私のやり方は、紐の端を固定したら後は竹をグルグルと回していくだけで、とても簡単です。

紐の締まり具合ですが、巻き結びでは手の力しか使えませんが、グルグル巻きは全身の力を使うことができ、下手をすると紐の圧で竹が割れてしまうほど強く締められます。

制作時間を計ってみたところ、グルグル巻きは約5分、交互巻き結びは約10分かかりました。

グルグル巻きが意外と時間を食ってしまいましたが、今回使用したのが「ひらいと」という、きし麺みたいな平たい紐だったので、よじれを直してきれいに巻くのに手間取りました。
普通の円形の紐ならば半分もかからずにできるでしょう。

楽なうえに強力に締まるグルグル巻きのデメリットは、一か所が切れると全体がほどけてしまうことです。

両方とも真ん中の一本を切った後、5回ほど素振りをした結果です。

このほどけ方は大きなデメリットといえますが、しかし、私たちの船上でのひっかけの使い方では紐が切れることはないので、グルグル巻きにはメリットしかありません。

と、以上のことをもれなく教えたのに若者達はなぜか、皆、交互巻き結びで作るのです。

何故わざわざ手間も時間もかかる巻き結びで作るのか?と問うたところ、
「グルグル巻きだと竹が割れちゃうから、、、」
というマッチョな返答がありました。

いやいや、そこは力加減をすればよいだけじゃない!
と言ったら、
「ええ、まあ、でも、、、こっち(交互まき結び)がいいんです」

という要領を得ない答えが返ってきただけでした。

う~む。
若いモンの考えることはよくわからんです。

まあ私なりに考えたところ、グルグル巻きだと手抜きみたいに見えるとか、交互巻き結びはなんか仕事をした達成感があるとか、ちょっとした見栄の張り合いのような感情が若者グループにはあるのかな?

そうだとしたら、仲間内で技術を競い合って高めあうのは良い関係ですな。

2023.5.27 キアジとクロアジ

東京湾は相変わらずクラゲだらけです。

魚群を見つけ網を張るべく各員が配置につき、いざ網を投じる直前に巨大なクラゲの群れが見つかり、網を張れないことがしばしばあります。

それに加えギマも脅威になっています。
同じ海域で働く他船が最近、ギマの大群に当たってしまい、網を揚げるのにだいぶ苦労した話を聞きました。
過去にギマの脅威について書いた記事を張っておきます。
https://daiheimaru.com/daiheimaru/843/

そんなことから今回、いつもの漁場を離れて遠目の漁場に向かったところ、クラゲはいるもののアジの群れを捕らえることがことができました。

体高のある立派なマアジです。

マアジには瀬付き型と回遊型というタイプがあります。

瀬付き型は全長はさほど大きくならないものの太目で、回遊型は大型なれど細目の体型です。

上の写真は瀬付き型で、キアジと呼ばれることもあります。

これだけ大きなキアジの群れを漁獲できることは滅多にないので、嬉しい獲物でした。

ちなみにこちらが一緒の網に少しだけ混じってきた回遊型のマアジで、通称クロアジです。

42cmと大型で実際に目にするとその大きさに圧倒されますが、生物学的には先ほどの写真の(通称)キアジと同じ、マアジです。

通説では瀬付き型(キアジ)は回遊型(クロアジ)に比べて脂がのっていて

美味と言われており、実際に食べ比べてみて私もそう感じます。

ただ、クロアジの味がたいしたことがないのではありません。
クロアジとてたいそう美味なのですが、キアジはそれを上回るという話です。

キアジとクロアジのどちらかを1尾だけもらえるとしたら、大きくて身がたっぷりのクロアジか、身は少ないけれどより美味なキアジか、どちらを選ぶかしばらく悩みますなあ。

2023.5.13 クラゲの海

今月の初め頃、テレビで「東京でクラゲが大量発生」というニュースが複数の局で流れていました。

映像では川面いちめんが隙間なくクラゲで覆いつくされており、見た人は驚いていました。

過去に何回か記事にしていますが、海では、クラゲの大量発生や一面に広がっている光景などはずっと昔から普通のことで、珍しくもなんともありません。

ただ気になるのは、今年はそれ(水面を覆いつくすクラゲ)が、今まで起こらなかった川で見られたことです。

今月になって出漁して、その理由がわかりました。

今年はクラゲの量が例年に比べてだいぶ多いです。

漁場も漁場以外の海域も、とにかくクラゲだらけです。

クラゲの量なんぞ量りようがないので正確なデータなどはありませんが、船橋の漁師は皆、口をそろえて今年はクラゲが多いと言ってます。

大量に発生したがゆえに、今までは見られなかった場所にまで風で吹き流されていったのでしょう。

このミズクラゲは食用にならず使い道がないうえに、沿岸施設の海水取水口を塞いでしまうという害を及ぼします。

別に普段通りの量なら、まあ昔からのことだからしょうがない、と我慢できますが、大量発生は勘弁してほしいです。

ほんとにもう、「東京湾でクラゲが大量」ではなく、「東京湾で魚が大漁!」というニュースが流れることを期待しております。

網を締めこんだところ。
大量のクラゲの隙間をスズキやコハダが泳いでいます。

2023.4.29 整備期間終了 ハケ縫い

一か月かけて船の整備と網の補修を行ってきましたが、やっと終わり、来月から出漁となります。

下の写真は「縫い(ぬい)、ハケ縫い」という作業をしているところです。

我々が使う網は全長が750メートルほどですが、これは全長を9つに分割することができます。

750メートルもある網を一度に広げるスペースなどないので、分割してから一つずつ補修していき、最後にまた縫い合わせて一枚の大きな網にするのです。

ちなみにこのユニットを予備用として作っておくことで、トラブルで網が大きく破損してしまった時などにも、その部分を交換すればすぐに次の漁に出ることができます。

この縫いを終えて船に網を積みこみ、あとは出漁を待つばかりです。

一か月前と海の様子はどう変わっているのか、何が獲れるのか、期待と不安が半々の気分です。

今期も無事故を第一に心がけてやっていこうと思います。

2023.4.16 網の補修 入れ網

四月は一か月かけて船の整備と網の補修をします。

私は網チームなので網の話になります。

以前にも書いたことがありますが、我々の網は長さが750メートル、深さが100メートルほどの大きさです。

これは全体が一枚の網で出来ているのではなく、15メートル×3メートルの小さな網がいくつも組み合わさってできています。

網補修のやり方ですが、この15×3メートルの一枚のユニットを基準に進め、全体が切れてしまっているような場合はそっくり新品と交換します。

 

しかし切れや穴が一部だけの場合は、その場所のみを直します。
これが「入れ網(いれあみ)、きりはぎ」「きおり」という作業です。
入れ網は破損個所を切り取って補修用の網をあてがう作業で、キオリは網の目を一つ一つ作る作業です。

大きな破れは入れ網、小さな穴はキオリで補修します。

ここに、「無結節網」の1メートルくらいの大きな切れがあります。

そして下は網長が「入れ網」で補修した見本です。


ちょっと専門的な話になってしまいますが、網には有結節網(ゆうけっせつあみ)と無結節網(むけっせつあみ)という種類があります。
双方に利点と欠点がありますが、我々は無結節網を使っています。

この無結節網の欠点の一つが、適切な処理が施されていないと網の端の目がほつれることであり、それをふせぐためにセバにしろキオリにしろ、有結節よりひと手間多くかけねばなりません。

通常のやり方だと下の写真のように、網の端を折り返したうえで一目(3cm)ごとに固め止めの処理をするので、非常に手間と時間がかかります。

なので先ほどの写真の、無結節網の1メートルほどの切れを通常のやり方で補修しようとすると、そうとうな時間をくいます。

しかし網長は手間をかけない方法を編み出し、それを皆に教えてくれたので、私達は無結節網の補修を通常よりずっと速く仕上げられます。
破れが大きくて通常のやり方で直したら数時間かかるようなものでも、20分ほどで直せます。

網長がこの方法を考案したのが3年前で、その時の入れ網が今でもほつれずに使えており、強度に問題ないことは実証済みです。

こういった網を作る、組み立てる作業を網の仕立て(したて)と言いますが、これには教科書的なものはありません。

ユーチューブで、水産高校で網の仕立てを教える授業風景がありましたが、先生が生徒に囲まれた中で、網針と網をもって実践で「こうして、こうして、こうやるんだ!わかったね!」と見本を示していました。
つまり網の仕立てを学ぶ方法は人から教わるか自分で考えるしかありません。

大平丸の網長は常に色々と改善と改良を模索しており、良い方法を考えつくと皆に惜しみなく教えてくれます。

網のことでお悩みの方がいらしたら、網長に相談することをお勧めします。

2023.3.31 アカクラゲ発生

今月は出漁回数が少なかったうえにコノシロの大きな群れにあたることも無く、さほど実りのある月にはなりませんでした。

明日からの一か月間は「整備期間」となり、沖には出ずに船の整備と網の補修を行います。

3月の海の様子ですが、アカクラゲが発生しはじめました。

現在の大きさは直径7~8cmで、最盛期の夏と比べると半分ほどの大きさしかないうえに、毒が弱めに感じられます。

しかしコノシロに混じってきてしまうと、その量次第では選別せねばなりません。

今日は最終的にこの入れ物がいっぱいになるほどのアカクラゲが網に混じっていました。

廃棄するには業者を呼んで引き取ってもらうしかないのですが、毎度手間がかかります。
なんとか活用できないもんですかね。

このアカクラゲがひからびて粉末状態になったものが鼻に入ると、クシャミが止まらなくなります。
これを利用して天然由来の催涙材成分として需要がないかと考えたことがあります。

でもまあ、クラゲなんて95パーセントが水分だから、元の量から取れる粉末量が割に合わないだろうなあ。

と思い、では実際の催涙スプレーの原料にもなる唐辛子の水分量はどんなものかと調べたら、なんと唐辛子の水分量は90パーセントだそうです。

意外と唐辛子も水分量が多いのですね。
となると、乾燥・粉末にする手間は実はそれほど差がなかったりして?
これはもしや、アカクラゲスプレーにワンチャンあるかも?

2023.3.14 お魚ハッチ

先日の漁の最中、若者が毒魚に手を刺されました。

若いとはいえ船に乗って5年目で、毒魚を知らずに掴むといった愚を犯したわけではありません。
網にくるまっていた毒魚の毒背ビレが不可抗力で手にあたってしまったようです。

刺されたときに若者はこの魚を確保しましたが、それを見た私たちの誰も、この魚の名前すらわかりませんでした。

それがこちら。

ハチ という名の魚でした。
背びれに毒があります。

この魚を調べるにあたり「毒魚」「背びれ 毒 魚」で検索をかけましたが、かなりマイナーな魚のようで、5,6件のホームページを覗いてやっと1件に名前だけ出てくるといった具合でした。

マイナーではあれど、私の持っている「東京湾の魚類」という2011年初版の本にはちゃんと載っていたので、近年の温暖化で東京湾に紛れ込んできたというわけでもないようです。
単に、最大で15cmほどと小さいうえに群れないのでまとまった漁獲がなく、商用にならないので認知度が低いようです。

このハチですが、名の由来が「この魚に刺されると蜂(昆虫)に刺されたように痛いから」だそうで、この魚のハチにあてられた漢字も「蜂」だそうです。

今から百数十年前に名付けられたそうですが、なんともはや、おそろしく短絡的ですね。

それに漢字まで同じにしてしまったら、「蜂」と目にした時に昆虫か魚か区別がつかなくなってしまいます。

アホな名付けをするもんだなあ、と思っていましたところ、衝撃的なニュースを見つけました。

「2022年6月、アメリカの裁判所が、蜂(昆虫)を魚と認める」というものです。

細かい事情は書くと長くなるので「蜂 魚」で各自検索してご覧いただくとして、
「蜂(昆虫)は魚である」と、アメリカの裁判所が法的に認めたのです。

なんということでしょう。
アメリカが蜂は魚であると認める100年以上も前に、日本人は、ある種の魚は蜂であるとし、名付けていたのです。
おそるべき先見の明であるといえます。

ハチという名を馬鹿にしていた己の不明を恥じるばかりであります。

※関連させたのはただの冗談ですが、ハチ(魚)の命名と由来、アメリカにおける蜂(昆虫)は魚との判例はどちらも事実です。