暑い夏になりました。
夏になると人も魚も活発になります。
フジツボも活発になります。
フジツボは暑くなると元気になり、船の水面下のあらゆる箇所に取り付きます。
それは漁師のみならず、全ての船乗りに忌避されます。
フジツボが船乗りに嫌われるのはなぜかといいますと、フジツボが船底に大量に張り付いてしまうと、航走時の抵抗がとても大きくなるからです。
船の速力は大幅に落ち、燃費は悪くなり、船体に嫌な振動が発生します。
船乗りにはデメリットしかありません。
フジツボがどのようにして船底に付き、育つのか、細かいプロセスは私は知りません。
私の経験上から言えるのは、動かしていない船にはみるみる付着していくということです。
これは3か月の間、動かさなかった船の舵とプロペラです。
一面にフジツボが付着しています。
(プロペラシャフトの下半分はすでに軽くこすってしまっています)
(プロペラシャフトの下半分はすでに軽くこすってしまっています)
ちなみに私たちが普段、漁に使っている網船はこの船の隣に係留していますが、舵や他の場所にもフジツボは殆ど付着していません。
ですから恒常的に強い水流を受ける場所にはフジツボは付着、もしくは成長できないのだと思います。
大雑把にザッと剥がしても、フジツボ上部の殻は落ちますが、基部というか底部というか、張り付いていた基礎の部分はなかなかスクレイパーでは取れません。
しかし取れないまま放置するわけにはいかないので、高圧水流を当てたり、ディスクグラインダーという回転ヤスリで磨いて綺麗にします。
なかなか手間暇がかかります。
今回の船の事例で言うと、これだけフジツボがついていると、通常の半分ほどの性能しか発揮できません。
動かさなければフジツボが付いてしまうけど、かといって用もないのに動かして油を無駄遣いするわけにもいきません。
フジツボの付着は船乗りにとっては本当にやっかいな問題で、いまだに世界共通の悩みです。
今回はフジツボの事しか書いていないのに、タイトルは「カキ落とし」です。
カキ(牡蛎、オイスター)も付くには付くんですが、私の体感では付着している99パーセントはフジツボです。
しかし、私の周りでは「フジツボ落とし」という人は一人もいません。
まあ、語感的に「かき落とし」のほうが言いやすいからなのだろうと思います。
まあ、語感的に「かき落とし」のほうが言いやすいからなのだろうと思います。
もしくは、「カキ(牡蛎)を落とす」のではなく、「掻き落とす」という行為のことなのかな?
まあどちらが正しいのかはともかく、安価で安全なフジツボ除去の方法を考えれば、世界中から賞賛されること間違いなしでしょう。 (意: もうかりまっせ)