2019.6.28 ミズクラゲ

赤クラゲが猛威を振るい続けております。
相変わらず私達の漁場に大量におり、人と魚にダメージを与えてきて嫌になります。

加えてミズクラゲも増えてきました。

ミズクラゲについて書くのは初めてですが、東京湾には昔から存在し、暑くなってくると大量発生します。
私達は通常、このミズクラゲのことを「クラゲ」と呼んでいるので、文中でもそのように書きます。

直径は大人が手のひらを広げたくらいの大きさで、体の95%は水分から成り、全体的に透き通っています。ちょっと硬めのゼリーくらいの固さで、毒は少しばかりもっているようですが、触っても全く何ともありません。

しかしかなりのやっかいものです。
なにがやっかいかと言うと、非常に密集した、そして数の多い群れをつくるのです。正確に量る術はないので感覚でしか言えませんが、大きな群れは数十~100トン単位で集まっています。
いま、私達の漁場にはこの大量密集ミズクラゲ群が散在しています。
大量のクラゲのことを私達は「大クラゲ(おおくらげ)」」と言います。
大クラゲの入った網は、重さのあまり揚げるのに苦労します。
このクラゲは手で握れば崩すことはできるくらい柔らかいけど、網の目を抜けるほどではなく、目を全部ふさいでしまうのです。

大量に入ってしまうと、その重さのせいで網と機械に負担がかかるので、機械の速度を落とさねばならないし、最後の人力で網を締めこむ作業に時間がかかってしまいます。
更に、大量のクラゲの中から魚だけをコダマですくうのにも時間がかかります。

今の時期のスズキ漁は、網を張る回数が勝負です。
夏のスズキは大きな魚群を作ることはないので、網数を重ねることで漁獲量を稼ぎます。
大クラゲが入った網は、普通に網を張る3回分くらい時間をロスしてしまいます。手間と時間だけかかって良いことは一つもありません。

このクラゲは海面から海底付近まで広範囲に生息します。
そこで、「オモテマワリ」といって船の前部の仕事を担当する者が、海面を注視してクラゲの発見に努めます。
魚群探知機にも大クラゲの群れは映るので、ある程度は避けて網を張ることはできます。
しかしとにかく、あちこちに大クラゲが存在するので、避けてばかりでは網を張ることができなくなってしまう、というジレンマに陥ってしまいます。

社長とクラゲの話をするとよく、「うまく売る方法を考えれば億万長者になれるぞ!」と言われます。
確かに。
どなたかお知恵のある方、湾内のクラゲを獲りつくしてお金儲けしてください。
このクラゲは東京湾のみならず、日本全国で大クラゲ群を作って、漁師だけでなく海辺の施設の取水口に詰まったりして迷惑をかけまくっています。
有効利用法を考え付けばほんとに稼げますぞ。
ちなみに「中華クラゲ」といって売られているものとは種類が違うので、食用にはなりません。

大クラゲが魚群探知機に映ると書きましたが、その映り方が面白いので、いずれ記事にしようと思います。