2018.4.23 イナダ

今年の四月は例年に比べて陽気が激しい気がします。台風並みの風が吹く日が何日かあったし、ここ数日は真夏みたいな暑さだったり。四月って、こんな感じでしたっけ?

陽気に関係あるのかはわかりませんが、先週、変わったことがありました。
イナダがまとまって獲れたのです。(まな板は幅47センチ)
イナダ(ブリの幼魚)は日本中で獲れるし養殖も盛んなので年中スーパーなどで見かけることと思います。
通常だと、私達の働いている東京湾の湾奥には、夏の終わり頃に回遊してきて網に入ります。
しかし四月にまとまって獲れたことは、私の17年間の経験ではありません。漁師歴60年以上の社長も、こんな時期に入るのは記憶にないと言っていました。
去年からタチウオやサワラなどが、湾奥の今まで獲れなかった場所で獲れるようになりました。ベテラン漁師は「海の様子が変わっているなあ」と言います。
海水温や潮流や天候など様々な要因が複雑に絡んで漁獲種に変化がでてくるのでしょうが、今回のイナダの回遊もその一環なのでしょう。

ところで今回獲れた魚についてですが、通常秋に回遊してくるイナダに比べてかなり痩せていました。
卸会社や他の船の人達は殆どワカシと呼んでいます。
この魚はワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと呼称が変わりますが、各段階に統一された明確な基準はありません。体長35~40センチ以上がイナダ、それ以下はワカシ、と、大雑把に区別されています。
今回のものは40センチ以上あるので私はイナダに区分しましたが、周りでは、身が痩せていて軽いからこいつはワカシだ!という意見が多かったです。
食べてみたところ、やはり身には脂がなくあっさりした味だったので、私は切り身を醤油漬けにしました。漬けてしまえば味は調味料で補えるし日持ちするし、お茶漬けにしてもおいしいし、良いこと尽くめです。仲間はこのイナダでナメロウを作って、うまかったとのことです。

このまま東京湾に群れが居着いてくれれば、豊富な餌で脂がノリノリになって更においしいくなること間違いなしなんですが、まあそううまくはいかないのが世の常ですよね。
今年はどんな海になるのかなぁ。