大平丸ブログ」カテゴリーアーカイブ

2019.3.12 結び

二月いっぱいかけて船の整備と網の補修をやり、三月初めから今期の漁がスタートしました。
今のところ漁獲は芳しくありませんが、この時期としてはそれは毎年のことです。底引き網漁船はスズキやクロダイが獲れているようなので、魚はちゃんと居てくれている、ということです。
ここ数年、漁獲がふるわない年が続いていますが、今年こそは!!魚種は問わないけど沢山獲って!喜びに溢れる記事を書きたい!!
そのように思っております。
さて。この時期の出漁で毎年感じるのが、寒暖差の大きさです。
晴天で太陽が出ている日中はTシャツで過ごせるほど暖かいのに、雲間で太陽が隠れると一瞬で震えるほど寒くなります。
日中の漁はポカポカして快適ですが、早朝や夜、曇りの日など、太陽が出ていない時はかなり寒いです。
今の時期に特にきついのが、指先の冷えです。
作業中は常に軍手をしていますが、軍手は濡れるとかなり冷たくなるので、指先がかじかんで動かなくなってしまうのです。
これで辛いのが、「結び」です。
海中に投じた網を船に揚げる作業には、大きく分けて「網たぐり」「アバたぐり」「イワたぐり」「結び」というポジションがあり、それの一つです。
小さな金具にロープの先端を通し、それをひねって結びをつくり金具に縛り付ける作業で、約6秒の間隔で1本ずつ渡されてくるロープを50本ほど結びます。

慣れれば6秒の間に2本結べるくらい時間の猶予がある簡単な作業なのですが、寒い時はこれがつらいのです。
指がかじかんで動かず、結びができないでアワアワしているうちに、次のロープが容赦なく手渡されてきます。
20本くらい必死に続けているとだんだん指先が温まってきて動くようになり、やっと普通に結べるようになります。
まあだいたい皆この事は経験済みなので、結びが遅くてもどやされることはありませんが、やはり「結び」ポジションについている者は大変です。
早く暖かくなってほしいです。

2019.2.13 クラムチャウダー選手権

来たる2月16日土曜日、船橋港にて、
「第一回 日本クラムチャウダー選手権 withパンフェスティバル」という催しが開かれます。

船橋はスズキのみならずホンビノス(貝)の水揚げも全国トップクラスであるらしいです。
ホンビノスは外来種で、東京湾における漁獲の歴史はまだ浅いものの、最近はメディアにもちょくちょく登場しており、お茶の間にもその名は浸透しつつあるように感じます。
船橋港で貝の仲買をしている水産会社の社長さんが精力的に宣伝活動を行っており、今回の催しもその一環のようです。

正直言って私達の船の仲間はあまり付き合いがなく、イベントの内容は新聞などの情報でしか知らないのですが、なんでも、そうそうたる飲食店13店舗が各々の腕によりをかけてクラムチャウダーを作り、それを販売するそうです。
カップ1杯、120cc、300~500円での販売が目安だそうです。

そこで私が気になることが一つあるんですが、カップ1杯120ccってどれくらいの量なんでしょう?
水だったら120cc=120グラムってのはわかるんですが、具の入っているスープだと具の分だけ重くなるんでしょうか?
なんというか、何杯くらい飲めるものなのか、お腹へのたまり具合が想像つかないのです。
そこで試しにカレーで120グラムを量ったところ、こんな感じでした。

少なめとはいえ、しかし全店まわって13杯も食べられるかというと、キツそうです。加えてパン屋さんもあることだし。
まあ当日、現地でどの店にしようか悩むのもこういう催しの楽しみ方の一つでありましょう。

ときに、先一昨日、10日のことです。日曜日でしたが私達は港で仕事をしていました。
サカアミ船長がカップルに選手権の会場を聞かれたそうです。
開催日はまだ先であると教えたら腰が砕けていたそうです。
開催は16日の土曜日、その人たちが来たのは10日の日曜日。日付どころか曜日も合ってないとは、なかなかのうっかりカップルです。

当日の好天を願います。

2019.1.31 時化

今月は強風の日が多く、出港できたのは4回のみでした。
今の時期は昔から時化が多いので、数年前までは1月、2月は出漁はせず、船の整備と網の補修をしていました。
それゆえ1月は時化が多いのは最初から織り込み済みであり、今月の時化の日は網仕事をしっかりとやり働きました。
一応書いておかないと、一か月に4日しか仕事をしていないと勘違いされてしまいそうなので、念のために。

出漁した日は全て、コノシロ狙いです。
結果は運搬船が満杯の日と、空っぽの日がそれぞれありましたが、トータルで考えると1月としては良い成果と言えると思います。

ちなみに運搬船が空っぽ、つまり魚が全く獲れないで帰港した日もある訳ですが、魚が居なかったのではありません。
今の時期でも東京湾に魚はたくさんいます。魚群探知機には度々、大きな反応が映ります。
しかしこの大きな反応を狙って網を張っても、網には何も入らない。なぜか。
魚群探知機の故障ではありません。

答えは、魚探(ギョタン、魚群探知機の略称)に映ったのはカタクチイワシの群れだからです。
魚探にはっきりと映るほど大量にいるけど、一匹一匹ははこのように小さく、網からすり抜けていくのです。

このカタクチイワシのことを、私達は「シコイワシ、ヒコイワシ」、
略して「シコ」「ヒコ」と呼びます。
味はおいしく、人間だけではなく養殖魚や釣りの餌としても需要は多くあります。
使う網を替えればこのシコも漁獲できて稼ぎになります。
やるのは簡単ですが、私達がカタクチイワシを狙うことはありません。
私達にとって獲れて嬉しい魚はやはり、スズキです。
そのスズキを育て、そして居つかせる為には、シコは大事なのです。

ちなみにこのシコの写真は二か月ほど前に撮ったものです。
ここ数年はこの程度の小さなシコなので良いのですが、年によっては湾内でシコが大きく育つこともあります。大きく育ってちょうど網の目と同じ大きさになり、網に大量のシコが刺さって苦労したこともあります。

ほんとに、自然は加減をしてくれませんね。

2019.1.16 虹

先月に引き続きコノシロ漁をやっています。
コノシロ漁は太陽が出ている間がやりやすいので、出港は朝になります。

一昨日の15時頃に撮った写真です。
コノシロの大群を捕らえ運搬船に目一杯まで積みこみ、帰港している時です。

虹が出ました。

私の乗っている網船から見るとこのように、虹の端と運搬船がほとんど重なりそうなくらいでした。
虹なんてただでさえめったに見られないのに、それが運搬船の直近に現れた。なんだか素敵です。
そして少し経つと、最初に見えた虹の外側に、うっすらともう一つ虹が現れました。

肉眼ではちゃんと、全員が認識できたくらいはっきりと見えたのですが、写真だとよくわからないのが残念です。

この時、ふと、逆網(サカアミ)船長が私に問いかけました。
船長 「ああいう、虹がふたつあるのを何て言うか知ってる?」
私  「???、、、虹がふたつ、、にじゅうニジとかダブルにじとか?、、、わかりません、、、」
船長 「よじっていうんだよ」
私 「ぎゃふん!」

まあね、わからない人はわからないままでよろしい。

2018.12.28 コノシロ

クリスマス明け。
今年の漁の最終日。コノシロが大漁でした。

海面に浮いているのは大量のコノシロです。
この魚達は浮いているけど、普通に元気に生きています。
コノシロは網に囲われると海面方向から逃げようとするので、このような状態になります。
ちなみにこの写真を撮った時点で、仮にこの網にコノシロではなくイワシが入っていたとしたら、魚の姿はこのようには見えません。

イワシは底に逃げようとするので、この時の網の絞り具合だとまだまだ底方向に余裕があり、そちらに逃げているからです。

さて、2018年の漁は終わりました。
正直に言って、今年の海はイレギュラーが多すぎて訳が分かりませんでした。
特に個人的に、7月にソウメが大量にきたので秋にイワシが獲れるのをを期待してましたが、それはなかったのが残念でした。

まあ自然は、地球は、人の思惑なんぞ関係なく回るんだなあ。

2018.12.17 わらさとさわら

先週獲れたわらさとさわらです。
わざと平仮名で書いたけど、ワラサとサワラ、紛らわしいですね。
写真の2尾、全長は測り忘れましたがどちらも3.5kgです。
(下の発泡スチロールは端から端まで79cm)
同じ重さでも体型がもともと細長いサワラと、ずんぐりしているワラサとでは全長にこれだけの差があります。
この写真のワラサですが、ワラサとしてはちょっと小さめです。しかしイナダと呼ぶには大き過ぎる。
今までこのブログ内でブリの成長順の呼び名として、ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと書いてきました。
実はイナダとワラサの中間を指す呼び方として、「サンパク」というものがあります。あまり一般に知られていない呼称だし、「小さめのワラサ」とか「大きめのイナダ」と言った方が世間には通じやすいので、あえて書いていませんでした。
今回の写真のものはワラサ寄りのサンパクと私は思います。
今年の五月に、ブリの稚魚をモジャコと呼ぶとの記事を書いたので、これで当ブログ内におけるブリのサイズ別呼称は モジャコ→ワカシ→イナダ→サンパク→ワラサ→ブリ となりました。
まあ明確で正式なサイズ規定がある訳ではないので、あまり細かく分けても意味はないんですがね。

私はこのワラサを食べましたが、ひと月ほど前のものよりずっと脂がのっていました。捌いた時に胃袋の中を見たら、半分消化されたカタクチイワシでパンパンに膨らんでました。絶賛成長中のようです。
サワラは食べてないので食レポできません。
なぜならワラサの4倍近いお値段なので、おいそれと手が出せません。
サワラは夏場でもかなり脂のある魚です。「寒ざわら」といわれ栄養を蓄えている今は、さぞかし美味なることでしょう。
こういう脂が強い魚には、サクの表面をバーナーで焼く「炙り(あぶり)」がよく合います。炬燵に入って「寒鰆の炙り」で熱燗を一杯、なんてこたえられないでしょうねえ。

まあサワラは手に入らずとも、今回のワラサは脂が充分にあるので、私は炙りました。
「鰤(ブリ)の炙り」。とてもおいしかったです。

ところで良い子のみんな。「鰤の炙り」の語順を逆にして、「炙り鰤」って言っちゃダメだぞ。
お食事中に発音するとパパとママに怒られちゃうからな。
「あ ぶりぶり」って言わない。おじさんとの約束だぜ。

2018.11.30 サバとワラサ

これは11月初旬のある日に獲れた魚です。
3.8キロのワラサと550グラムのマサバで、一回の網で一緒に獲れたものです。鮮度は抜群なうえにどちらも丸くておいしそうです。
皆さん、この二尾のうち一尾を無料で貰えるとしたら、どちらを選びますか?
私は迷わずワラサを選びます。
サバとブリ、どちらが好きかと聞けば意見は半々に分かれると思うけど、だいたいの人はどちらもそれなりにおいしく食べられることでしょう。そうなるとこの二択では、身の量が圧倒的に多いワラサを選ぶ人が多いのではなかろうかと思います。
量のみならず、ワラサの方が大きくて立派だし、高そうだから貰う!という人もいるかもしれません。

なんでいきなりそんな問いを発したかといいますと。
実はこの写真の2尾、ほぼ同じ値段なのです。
ぶっちゃけると、どちらも750円くらい。
信じられます?
私はこの値段を聞いた時、あまりのサバの高値とワラサの安値に耳を疑いました。
世間的にはサバは大衆魚でブリは高級魚という扱いなのに、逆転しちゃってます。

魚の値段は旬や漁獲量によって刻々と変化します。
このころは市場でサバが不足しており、マサバは特にかなりの高値で取引されたようです。
ワラサに関しては、もともとブリ系は全国で獲れるうえに養殖も盛んなので、以前から私達が獲ったイナダなどは天然物とはいえたいした値段はしてません。それゆえ、今回のワラサもさほど高値がつくとは期待してませんでした。
が、しかし、両手で抱えられるほどの立派な魚が、まさか1尾1000円もしないとは思いもよりませんでした。

値段の差は味の差?
このワラサを食べてみたら、外食で食べるブリに比べるといくらか脂が少なく、あっさりとしていました。しかし物足りないということではなく、脂が強すぎるものより飽きずにたくさん食べられるおいしさでした。
一方のサバは、私は食べていないので味はわかりません。
末端価格では数千円になるのだから、それほど払っても食べたい人がいるほどのおいしさなのでしょう。
数千円のサバを食べるって、どんな人なんだろう?
赤坂の料亭で政治家たちが密談しながら、「おぬしもワルよのう。ぬふふふふ、、、」とか言いながら〆サバをつまんだりしてるのかな。

ちなみに今回のワラサ750円というのは、卸会社から漁師に入ってくるものです。市場に出るまでには流通過程で価格はだいぶあがっていきます。いま調べたら、ワラサは豊洲でキロ800円程で取引されてるようです。
キロですぞ。3.8キロなら3040円。まあそれなりと思える値段になっていますね。
そんな訳だから、そこらの市場に行って千円札を差し出して、ワラサをくれ!と言っても相手にされません。ご注意を。

2018.11.17 ワラサ

海の様子がおかしいです。
私がこのブログを受け持ったのは三年前ですが、その頃あたりから、この言葉を使うことが多くなってきた気がします。

今回は何がおかしいのかというと、最近ワラサがちょいちょい網に入るのです。

これは65センチ、3.8キロあります
ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
ブリの一歩手前の大きさで、このワラサクラスになるともはやスーパーなどでは一匹丸ごとでは売りに出さないかと思います。普通の家庭では持てあましちゃう大きさですね。
このワラサのさらに一歩前のイナダは昔から秋に多く獲れていましたが、ワラサは年に数匹しか取れませんでした。
それが今年はイナダは春に獲れ秋には来ず、初冬になってワラサが獲れるのです。
もうメチャクチャです。何が獲れて何が獲れなくなるのか、私の今までの経験からはさっぱり予測がつきません。
まあ難しいことはあまり深く考えずにワラサに目を向けます。
日頃、スズキを見慣れている私からすると、ワラサは全長に対しての体の丸みが大きく、いかにも脂があっておいしそうです。
実際に食いましたが、とてもおいしかったです。

ブリの味は誰もが知るところだろうし、今回はちょっと変わった部位を取り上げます。

まな板の右上の、なんだかシワシワしたやつ。
これは胃袋です。

よく洗って焼き、

塩を振っていただきます。これで1匹分です。

胃袋の食感はおもしろいです。
クニャクニャだけどコリコリ。
柔らかいけど噛み応えがあります。
味はやはり内臓だけあって、焼き肉屋の牛ホルモンなどに似ています。もちろん、味の濃さは及ぶべくもないですが。
そして飲み込んだ後はさっぱりしていて、後味はスッと消えます。不思議な感覚です。
まさに珍味といえるでしょう。
ただ上の写真の通り、ワラサほどの大きな魚からでもほんのちょっとしか取れないし、そもそも丸ごと一匹入手しなければならない。普通の家庭ではなかなか難しいとは思いますが、機会があれば食べてみてください。

一つだけ注意点をあげると、もし丸ごとの魚を入手して胃袋を調理する場合には、切り開いて内容物を出した後、よく洗ってください。
私は塩を大量にまぶして揉み洗いをし、水で流すのを数回繰り返した後、さらに酒でよく洗います。
ちょっと神経質なくらいに洗ったほうがよいでしょう。胃の内容物や状態にもよりますが、見た目には綺麗に洗ったつもりでも匂いが残っていることがままあります。そうすると臭くて食えたもんじゃありません。

「めんどくせえ!」「たいしてうまくもない物にそんな手間かけてられるか!」という方もおられるでしょう。
ごもっとも。
でもまあ、珍味ってこういうものですよね。

ちなみにワラサ以外でも、スズキでもサワラでも食べられます。機会があればお試し下さい。

2018.10.29 もやい結び

もやい結び 英名ボーラインノット。

数多あるロープの結び方の中でも代表的なものの一つで、「キング オブ ノット」、「結びの王」との別称を冠されるほど実用的な結びです。
ロープワークに縁のない人でも一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
え?知らない?
そんな人はこの機会に是非とも覚えておくといいでしょう。
覚えておいて損は絶対にありません。

もやい結びの特徴は、
「大きな力が加わっても」
・作った輪の大きさが変わらない
・ほどけづらい
・簡単にほどける
といったところです。
ほどけづらい けど ほどきやすい、と矛盾してますが、これは「自分の意図したとおりに」ということです。
結びの中には大きな力がかかると結び目が滑って勝手にほどけてしまうものがあるし、逆に締まってほどけなくなってしまうものもあります。
「早く楽に結べて」「頑丈なうえに」「解くのも簡単」という、良いことづくめのわがままな要望に対する最適解に、かなり近いのがもやい結びです。

実例をあげますと。
先日、漁の最中に網船の一隻にトラブルがあり、自力航行が不能になってしまいました。そこでもう一隻の網船でロープで引っ張り、曳航した際にもやい結びを使いました。
これが引っ張っているときの写真です。

船首にある「ボウズ」と呼ばれる係船用の突起に、緩衝材として古タイヤをかませ、そこに綱をもやい結びで結んであります。
抵抗の少ない水上とはいえ、5トン以上ある重量の船を二時間ほど引っ張り帰港。
パッと見た感じではタイヤが今にもちぎれそうに見えるかもしれませんが、これは内部に頑丈な丸いゴムが幾重にも重ねられているサカアミ船長作の頑健スペシャルタイヤで、切れる心配はありません。
ロープの結び目というものは、濡れると通常よりずっと固く締まります。それに加えてこの日は少々風が吹いており、船はけっこう揺れたため、ロープはたわんでは突っ張ることを繰り返し、結び目には何度も強い力がかかりました。

さて前振りが長くなりましたが、帰港してこのもやい結びをほどいた際には、何も道具を使わず素手で、しかもほんの一瞬でほどけました。
いい加減な結びでは絶対にこのようにはいきません。
キングオブノットの面目躍如といったところです。

で、もやい結びの結び方ですが。
自分で調べて覚えてください。
「もやい結び」で検索すれば画像も動画もいくらでも出てきますから。ほんとに大量に。
ひと昔前ならこういう技術は本を買うか教室でお金を払うか、または人に頭を下げて教えてもらうなど、なにがしかの労力や対価を支払わねば手に入れられないものでした。
しかしいまや、片手にスマホさえもっていればどこでもなんでも、しかもほぼ無料で情報は手に入る。楽になったもんです。
けどまあ教科書がいくらたくさんあったところで、覚えるのは本人次第。
こういう結び方や網仕事の技術など、他人がやっているのを眺めているとけっこう簡単そうに見えて、自分でもすぐにできるような気になっちゃうもんなんですよね。
だけど実際に自分でロープを手にすると、「あれ?」「あらら?違うな、こうでもないし、ああでもないし、おかしいな??」
という風になってしまう人が殆どです。
私の知る範囲では、目で見ただけで理解して即座に実践できるのは十数人に一人くらいの割合でしかいません。
当然ながら私もできない男ですので、反復練習したり新しい結びを覚えるため、ロープを部屋においてあります。ロープワークの本もたくさん持っています。
新人達の手本となるべく、私は十数年の年季があっても勉強し続けていく姿勢を保ち続けているのです!

うん。ちゃんとロープおいてあります。
しばらく触ってないからホコリかぶっちゃってるけど、やる気はあります。ロープワークの本も、ちょろっと読んだだけで放置しちゃってるけど、、、新しい結び、覚えます!ちゃんとやるつもりだから!
明日、明日から本気だすから!

2018.10.13 バウ

今回は船の話です。
船の部分を指すカタカナでスクリューやブリッジ(船橋・せんきょう)などは耳にすることが多いかと思います。

バルバス・バウという言葉をご存じでしょうか。
英語で「Bulbous(球根状の)」 「Bow(船首)」と書き、日本語では「球状船首」となります。
この写真では船体下側の黒く塗られた部分、喫水線の下の丸い出っ張りのことです。

「船首(せんしゅ)」とは「船の先端部」という意味です。

船首は船が前進する際に波をかき分け、最も水の抵抗を受ける場所です。この部分の抵抗を減らせば減らすほど、船の速度はあがり燃費もよくなるので、昔から形状に様々な工夫が凝らされてきました。その結果、船首の下方、船底部分に丸い出っ張りがある「球状船首」が効果的ということが20世紀初めに発見され、それから現在まで多くの船でこの形状が採用されています。
船の形状に少しでも興味がある方なら「バルバス・バウ」「球状船首」と聞けば、この船底下部の膨らみをイメージするでしょう。

しかし最近このバルバスバウ界に、既存の概念を根底から覆す新星が現れました。
それがこの船です。

今年の五月頃に東京湾に停泊していたものですが、見たこともない船だったので思わず写真を撮ってしまいました。
「なとり」という名のコンテナ船で画像右側が船首です。
通常の船では平坦であるべきところの船首甲板部に、丸く大きな構造物があります。これは操舵室と居住区を備えたブリッジだそうです。
今までのコンテナ船やタンカーのブリッジは、角状でだいたい船体の最後尾に位置するのが普通でしたが、この「なとり」はその真逆をいっています。
なんでもこの船体形状だと、正面からの風圧抵抗を30%ほども減らすことができるそうです。
私は船の形なんて今以上にはたいして進化しないだろうと思っていましたが、まだまだ改善の余地はあるんですね。

ところで「なとり」のこの前部形状を、「球状船首」と呼ぶそうです。この船を作った造船所のホームページにそう書かれているので間違いありません。

はて?
たしかに語句としては全く間違っていないけど、それでは今までの船底下部の出っ張りと区別がつきませんぞ??
私がちょろっと調べた限りでは、区別の仕方について触れている記事などはありませんでした。
ちなみにこの「なとり」は船底下部の球状船首も備えています。
航海中に「バウが損傷した!!」という事態になった時、「え、バウ?上の?下の?」とアタフタしちゃいませんかね?

しかしこの船、太ったネッシーが海面から顔を出してノンビリしているみたいで、なんだかかわいいですな。