先月はアジが多少獲れました。
並べた2匹、似ていますが種類が違い、私達は上を黒アジ、下を青アジと呼びます。
正式名称は上がマアジ、下がマルアジです。
知名度の高いマアジをなぜわざわざ黒アジと呼ぶのかというと、マアジには回遊型と居着き型というものがあり、今回獲れたものは回遊型なのです。
回遊型の特徴は大型でスマートであり、居着き型はやや小さめでふっくらとしています。
居着き型のほうが脂がのっていて相場が高いため、マアジでも区別が必要になるのです。
そして青アジ(マルアジ)ですが、相場はマアジよりだいぶ安い魚です。
旬の時期の脂がのったものはマアジに勝るとも劣らないうまさなのですが、それ以外の時期では独特のクセがあるうえ、身が水っぽいのであまり刺身に向かないのです。
この黒アジと青アジですが、海ではそれぞれの魚群を形成して別に泳いでいるので、一緒になることはありません。
しかし私達が獲って運搬船に積む際に、ごっちゃ混ぜになってしまう場合があります。
そんな時は陸に帰ってから選別します。
しかし上の画像でおわかりのように、見た目はけっこう似ています。
そして魚は同じ群れでも個体によって成長具合は色々と違い、大きさや太り具合などはまちまちです。
痩せている黒アジと太っている青アジなんかだと咄嗟に見分けはつけづらいです。
ですが魚の選別は時間との勝負。
手作業で一匹づつ、数千匹の魚を鮮度の良いうちに箱詰めしなければならないので、迷っている暇はありません。しかも選別がいい加減では信用を失ってしまうから、間違いは許されません。
実はこの黒アジと青アジの選別には1つ必勝法があります。
目の色です。
黒アジの目は普通の魚と同じですが、青アジの目は赤っぽいのです。
画像ではなんとなく色が違うな、という程度に思われるかもしれませんが、実物の青アジの目は赤っぽいうえに奥まで澄んでいて、ハッキリと区別できます。
それゆえ体型に惑わされることなく、とにかく目さえ見れば間違えることはありません。
私はスーパーの鮮魚売り場をよく覗きますが、たまにマサバとゴマサバが間違って売られているのを見かけます。わざととは思いませんが、プロでも間違いはあるということです。
マアジといって売っているものの中にも青アジが混ざってしまうこともあり得ます。
購入する側にも知識があれば間違いを防げますから、知っておいて損はないと思います。
いや、旬の青アジはほんとにうまいんですけどね。