前回、コノシロが20トンほど獲れました。
しかしその網にはミズクラゲもそこそこ混じってしまい、そのままでは加工会社が引き受けてくれないため、帰港してから魚とクラゲの選別をしました。
私達は選別機を持っていないため、全て手作業で選別します。
クラゲなど無い普段なら、数百キロ入る大きなタモ網で船倉から魚をすくい、加工会社の用意した「ダンベ」と呼ばれる1トンくらい入る箱に直接魚を入れられます。
しかし今回の選別は、大きな台の上にクラゲ混じりの魚を少しずつ載せ、クラゲを一つずつ手で取り除いてから魚を手でダンベにいれていくという作業になります。
非常に大雑把な計算ですが、コノシロ1尾を200グラムとすると20トンは10万尾です。
10万尾のコノシロを手作業でダンベに流し込んでいくというなかなか痺れる作業です。
今は寒いから鮮度は落ちないのでいいですが、夏にこんなことはとてもできません。
さて、この10万尾の中に、30尾だけカタボシイワシが混じっていました。
上がカタボシイワシです。
https://daiheimaru.com/daiheimaru/1713/
↑以前に記事にしたことがあるので、このブログをご覧の方ならご存知でしょう。
しかし世間的にあまり知名度は高くないと思われます。
それを証明するかのようなニュースがあったのでご紹介します。
今から三か月ほど前です。
三重県のとある漁港に大量の小魚が入ってきて、大量がゆえに酸欠で全部死んでしまい、処理が大変というニュースがありました。
この大量の小魚の群れというのが、当初はサッパと言われていましたが、数日後の続報ではカタボシイワシとなっていたのです。
これはおそらく、取材にいった記者が地元民にこの魚は何かと問うて、聞かれた地元民はカタボシイワシのことを知らず、サッパと答えたのでしょう。
それで記者は「サッパ 大量打ち上げ」という記事をかいて報道したら、画像を見た視聴者からこれはカタボシイワシとの指摘を受け、訂正したという流れではないかと思います。
まあ数年前までは私もカタボシイワシのことを「大きなサッパ」と思っていたので、地元民と記者の勘違いも理解できます。
ただ、私がカタボシイワシという魚の存在を知ったのは数年前だし、ネットでカタボシイワシを検索すると出てくる記事はここ十年くらいの記事ばかりでした。
このことから、カタボシイワシはここ十年くらいから急に獲れるようになってきた魚なのかも、と思います。
ただまあ、知名度が低いうえに調理法も確立されていないのが現状なので、うちの網に入っても値段もつかず、私のオカズになるのが関の山です。
カタボシイワシがヤル気をだして、東京湾に大量に入ってきたら怖いなあ、と思う今日この頃です。