前回の記事の続きになります。
前回、漁獲三日目のオナガザメを食べたら無味無臭であり、サメ肉の特徴とされるアンモニア臭が発生するのはいつ頃なのか、経過を追って報告すると書きました。
驚いたことに漁獲から三週間経過した現在、未だに無臭です。
保存方法は、捌いた肉の塊をキッチンペーパーでくるみ、それをビニール袋で包んだうえで冷蔵庫に入れておく、ただそれだけです。
しかもキッチンペーパーは10日目頃に一度交換しただけです。
普通の魚なら不気味な色とともに異臭を発していることでしょう。
なのにサメ肉は匂いどころか、血合い部分の色が少々くすんだだけで、全体的な色に変化は見られません。
とても三週間も前の肉には見えず、訳がわかりません。
サメ肉が保存性に優れている理由は、体内にため込んである尿素が死後はアンモニアに変化して腐敗を遅らせるから、という理屈らしいです。
ということは、漁獲後に日にちが経過するほどアンモニア臭は強くなる。そしてそれを裏返すと、アンモニア臭がしないということは腐敗が進むということ、と私は考えていました。
しかし事実は三週間たってもアンモニア臭も腐敗臭もしないうえに、見た目にも変化がないのです。
やはり訳がわかりません。
でもまあせっかくの機会なので食べてみることにしました。
やはり生はコワいのでフライにします。加熱は正義。
軽く塩コショウして衣をつけ、揚げたてを食べたらサックサクでとてもおいしい。
まあ揚げたてのおいしさの半分は衣の力だと思うので剥がして食べてみたところ、前回ソテーにした時と同じ、身は無味でかすかに酸味がある、という感想でした。
そして食後30時間たっても自身に食あたりの症状はなんら現れなかったので、保存したフライを若者たちに味見してもらったところ、おいしいとの評価でした。
今回の生サメ肉長期保存は、私には予想外の結果でした。
私は前回の記事を書いた後、数日もすれば冷蔵庫内のサメ肉は相当なアンモニア臭を発し、廃棄せざるをえなくなるのではと予想していたのです。
それが日々スメルチェックをすれども無臭のまま三週間も経ち、食べても問題ありませんでした。
もしやサメ肉にとって三週間は、まだカウントに入らない程度の期間なのでしょうか。
まだ身は残っているので、生サメ肉の長期冷蔵保存実験は継続しようと思います。