前回の記事でコノシロ漁は単調でネタに困ると書きましたが、先日、コノシロに混じって変わった獲物が網に入りました。
このサメは今までにも年に1,2回は網に入っており、そこまで珍しいわけではありません。
しかし過去に獲れたのは全て湾の真ん中あたりで、ある程度水深の深い場所でした。
それが今回は、東京湾のほぼ最奥部で、陸から100メートルも離れていない浅い場所で獲れました。
陸と目と鼻の先で獲れたのも、コノシロの群れに混じってきたのも初めてのことで驚きました。
なんでこんな湾奥部に入ってきたのか不思議に思いましたが、捌いてみたら胃から半分消化されたコノシロが出てきたので、コノシロの群れに付いていたのでしょうね。
なんでも、この長い尾をムチのように使い、小魚をひっぱたいて気絶させて捕食するそうです。
尾の始点がどこで、どのように計測すればいいのかわかりませんが、2メートルの全長のほぼ半分が尾です。
この尾は薄いけれど硬質ゴムのような質感でなかなかに硬く、これで引っぱたかれたら人間でも相当なダメージを被りそうですが、オナガザメは人を襲うことはほぼ無いそうです。
そんな無害なオナガザメですが、網に入ってきたからには頂いちゃいましょう。
ヒレを落としてから二枚おろしにしました。
肉質はぷるぷるした感じです。
世間一般に「サメはアンモニア臭い」というイメージを持たれていますが、この捌いている時は全くの無臭でした。
そして漁獲から三日目に塩コショウのみで焼いて食べましたが、この時も完全に無臭でした。
なんなら味も殆どありません。
箸でつかもうとするとちぎれてしまうほど柔らかい身を口に入れ、舌で押しつぶすようにして味わおうと試みても、何の味も感じられず、かすかな酸味のみが舌に残る。
そんなことあるかいな?ともう一口じっくり味わうも、やはり無味。
それが私の感想でした。
漁獲から6日が経過した現在、冷蔵保存してある塊を嗅いでみましたが未だに無臭です。
サメは体の構造的に体内に尿素というものを貯めこむそうで、死んでしまうとこの尿素がアンモニアに変化してニオイを発するそうです。
なので他の魚のように、鮮度の良いうちに内臓を抜いたり処理をしたからといって、ニオイが発生しないとはならないわけです。
ではいつ頃からアンモニア臭を発するようになるのか?
これより毎日、匂いを嗅いで変化があればいずれご報告します。