先日の漁の最中、若者が毒魚に手を刺されました。
若いとはいえ船に乗って5年目で、毒魚を知らずに掴むといった愚を犯したわけではありません。
網にくるまっていた毒魚の毒背ビレが不可抗力で手にあたってしまったようです。
刺されたときに若者はこの魚を確保しましたが、それを見た私たちの誰も、この魚の名前すらわかりませんでした。
それがこちら。
ハチ という名の魚でした。
背びれに毒があります。
この魚を調べるにあたり「毒魚」「背びれ 毒 魚」で検索をかけましたが、かなりマイナーな魚のようで、5,6件のホームページを覗いてやっと1件に名前だけ出てくるといった具合でした。
マイナーではあれど、私の持っている「東京湾の魚類」という2011年初版の本にはちゃんと載っていたので、近年の温暖化で東京湾に紛れ込んできたというわけでもないようです。
単に、最大で15cmほどと小さいうえに群れないのでまとまった漁獲がなく、商用にならないので認知度が低いようです。
このハチですが、名の由来が「この魚に刺されると蜂(昆虫)に刺されたように痛いから」だそうで、この魚のハチにあてられた漢字も「蜂」だそうです。
今から百数十年前に名付けられたそうですが、なんともはや、おそろしく短絡的ですね。
それに漢字まで同じにしてしまったら、「蜂」と目にした時に昆虫か魚か区別がつかなくなってしまいます。
アホな名付けをするもんだなあ、と思っていましたところ、衝撃的なニュースを見つけました。
「2022年6月、アメリカの裁判所が、蜂(昆虫)を魚と認める」というものです。
細かい事情は書くと長くなるので「蜂 魚」で各自検索してご覧いただくとして、
「蜂(昆虫)は魚である」と、アメリカの裁判所が法的に認めたのです。
なんということでしょう。
アメリカが蜂は魚であると認める100年以上も前に、日本人は、ある種の魚は蜂であるとし、名付けていたのです。
おそるべき先見の明であるといえます。
ハチという名を馬鹿にしていた己の不明を恥じるばかりであります。
※関連させたのはただの冗談ですが、ハチ(魚)の命名と由来、アメリカにおける蜂(昆虫)は魚との判例はどちらも事実です。