2021.9.11 ワカシの成長

イナダが湾奥にまで入ってきました。
イナダはブリの幼魚で、40cmから60cmほどの大きさのものを指します。
だいたい40cm未満はワカシ、60cm以上はワラサになります。

画像の下は45cmなのでイナダ、画像上は66cmあるのでワラサです。

私達の漁場で獲れるのはイナダまでの大きさがメインで、それ以上のものはかなり少ないです。
納豆はサイズ比較用です。油揚げに詰めて焼くのは私はひきわり派です。

冒頭でイナダが湾奥に入ってきたと述べましたが、もしかしたらそれは間違いかもしれません。

どういうことかというと、実は先月の始めから小さいワカシの群れが湾奥に入ってきていたのですが、このワカシが育ってイナダになったのか、それとも別にイナダの群れが新たに入ってきたのか、私にはわからないのです。
昔から「イナダ(ワカシ)はひとしお毎に大きくなる」と言われています。
「ひとしお」とは潮位が大潮から小潮まで一巡する期間のことで、二週間ほどです。

先月からいたワカシの群れは、トン単位で網に入ることもありましたが、全て逃がしていました。
サイズは計測していないのですが、30~35cmほどだったように思います。

ワカシにはほとんど需要がありませんが、イナダになれば売れるようになり、漁獲対象になります。
ワカシが獲れても逃がすと、しばらくするとイナダが獲れたことが過去に何度もあります。
その逆の、イナダが獲れた後にワカシが回遊してくるということは、私は今まで経験がありません。
ワカシの後にイナダあり、イナダの後にワカシなし。

それゆえ私は、獲れたイナダは過去に逃がしたワカシが育ったものと、今までは思い疑っていませんでした。
ワカシってほんとに成長が早いんだなー、としか思っていませんでした。

しかし最近、冷静に考えてみると、いくらなんでもそんなに早く育つかね?と疑問を感じるようになりました。

農林水産省のブリの成長関連の記述によれば、ブリは卵からかえって1年で約30cm、2年で約47cm、3年で約61cmに育つそうです。
30cmになった後は、1年で約15cm育つのですね。

今回の例では8月初めに30~35cmだったと思しきものが、1か月ほどで45cmに育ったということになります。
1か月で10~15cm大きくなった計算。
いくら東京湾が餌が豊富とはいえ、そんなに一気に育つかなあ?

しかしそうは思ったところで、どうやって検証すればよいのかわかりません。
結局、ワカシが育ったのか、イナダの群れが入ってきたのかは謎のままです。

刑事ドラマとかでよく、「あの小物は泳がせておけ。もっと大きな獲物が釣れるかもしれん」
なんて定番のセリフがありますよね。
東京湾のイナダの場合、泳がせておくと大物になる前に湾から出ていっちゃうので、そのままサヨナラです。