2018.10.29 もやい結び

もやい結び 英名ボーラインノット。

数多あるロープの結び方の中でも代表的なものの一つで、「キング オブ ノット」、「結びの王」との別称を冠されるほど実用的な結びです。
ロープワークに縁のない人でも一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
え?知らない?
そんな人はこの機会に是非とも覚えておくといいでしょう。
覚えておいて損は絶対にありません。

もやい結びの特徴は、
「大きな力が加わっても」
・作った輪の大きさが変わらない
・ほどけづらい
・簡単にほどける
といったところです。
ほどけづらい けど ほどきやすい、と矛盾してますが、これは「自分の意図したとおりに」ということです。
結びの中には大きな力がかかると結び目が滑って勝手にほどけてしまうものがあるし、逆に締まってほどけなくなってしまうものもあります。
「早く楽に結べて」「頑丈なうえに」「解くのも簡単」という、良いことづくめのわがままな要望に対する最適解に、かなり近いのがもやい結びです。

実例をあげますと。
先日、漁の最中に網船の一隻にトラブルがあり、自力航行が不能になってしまいました。そこでもう一隻の網船でロープで引っ張り、曳航した際にもやい結びを使いました。
これが引っ張っているときの写真です。

船首にある「ボウズ」と呼ばれる係船用の突起に、緩衝材として古タイヤをかませ、そこに綱をもやい結びで結んであります。
抵抗の少ない水上とはいえ、5トン以上ある重量の船を二時間ほど引っ張り帰港。
パッと見た感じではタイヤが今にもちぎれそうに見えるかもしれませんが、これは内部に頑丈な丸いゴムが幾重にも重ねられているサカアミ船長作の頑健スペシャルタイヤで、切れる心配はありません。
ロープの結び目というものは、濡れると通常よりずっと固く締まります。それに加えてこの日は少々風が吹いており、船はけっこう揺れたため、ロープはたわんでは突っ張ることを繰り返し、結び目には何度も強い力がかかりました。

さて前振りが長くなりましたが、帰港してこのもやい結びをほどいた際には、何も道具を使わず素手で、しかもほんの一瞬でほどけました。
いい加減な結びでは絶対にこのようにはいきません。
キングオブノットの面目躍如といったところです。

で、もやい結びの結び方ですが。
自分で調べて覚えてください。
「もやい結び」で検索すれば画像も動画もいくらでも出てきますから。ほんとに大量に。
ひと昔前ならこういう技術は本を買うか教室でお金を払うか、または人に頭を下げて教えてもらうなど、なにがしかの労力や対価を支払わねば手に入れられないものでした。
しかしいまや、片手にスマホさえもっていればどこでもなんでも、しかもほぼ無料で情報は手に入る。楽になったもんです。
けどまあ教科書がいくらたくさんあったところで、覚えるのは本人次第。
こういう結び方や網仕事の技術など、他人がやっているのを眺めているとけっこう簡単そうに見えて、自分でもすぐにできるような気になっちゃうもんなんですよね。
だけど実際に自分でロープを手にすると、「あれ?」「あらら?違うな、こうでもないし、ああでもないし、おかしいな??」
という風になってしまう人が殆どです。
私の知る範囲では、目で見ただけで理解して即座に実践できるのは十数人に一人くらいの割合でしかいません。
当然ながら私もできない男ですので、反復練習したり新しい結びを覚えるため、ロープを部屋においてあります。ロープワークの本もたくさん持っています。
新人達の手本となるべく、私は十数年の年季があっても勉強し続けていく姿勢を保ち続けているのです!

うん。ちゃんとロープおいてあります。
しばらく触ってないからホコリかぶっちゃってるけど、やる気はあります。ロープワークの本も、ちょろっと読んだだけで放置しちゃってるけど、、、新しい結び、覚えます!ちゃんとやるつもりだから!
明日、明日から本気だすから!