イシダイが4匹、網に入りました。
仕事の合間に急いで写真を撮ったので全長は測れませんでしたが、この魚が入っている小判型のカゴの下辺の長さが40センチなので、上の写真のイシダイは40センチ少々の大きさです。
一番大きかったこれはたぶん、60センチ近くあるでしょう。重さが3・4キロでした。
イシダイは子供の頃は縞模様がはっきりしてますが、老成すると胴体の縞は消えてクチバシの周囲だけが黒くなります。
イシダイは岩礁や根に住む魚で、「磯の王者」などと呼ばれることもあります。釣り場に行くのに船が必要だったり、釣り餌にアワビ・ウニ・イセエビを使うのが普通だったり、そしてそこまでしてもなかなか釣れなかったりするので、釣り師には「幻の魚」といわれることもあるそうです。
基本的には巻き網漁の網に入る魚ではありません。まあしかしなにかの拍子でちょっと沖に出ることもあるようで、ごくたまに獲れます。感覚で言うと一年に数回獲れる程度です。
それが今回、一回の網に4匹入りました。
かなり珍しいことです。
オキエに理由を聞いてみたところ、「根のあたりの水が悪いから浮いてきたんだべ」とのことでした。
「水が悪い」とは漁師がよく使う言葉です。文字通りに捉えるとなんだか、水が汚いとか汚染されているというように思われてしまうかもしれませんが、そうではありません。
魚は通常、その魚にとって心地の良い温度や、塩分・酸素濃度の海水域で生息している訳です。その魚の好む状態の水を良い水、逆の状態の水を悪い水と、魚の視点からの海水の評価を言っているのです。
水の状態の良否は、それこそ魚によってマチマチです。
だからスズキ漁が芳しくなく、「水が悪くてスズキが居ないなあ」という時でも、ボラは大喜びで跳ねまわっている、なんてこともあります。
先述の通り、イシダイは釣れず、網に入らず、生育が遅いので養殖も盛んではない、なかなかレアな魚です。
こんな魚が4匹もまとまって獲れたのは景気の良い話です。今年はこれから湾内にも活気がでてくる前触れと思いたいです。