整備期間を終え五月一日に一か月振りに漁に出て、スズキやコハダを獲りました。
クロダイが少々混じりでいたので一尾もらってかえりました。
捌いている途中、中骨に身がいくらか残ってしまったのでそれをそぎ取って何気なく口に入れたところ、
あまりの甘さに思わず「あまっ!!」と叫んでしまいました。
大げさに思われるでしょうが、砂糖でもついていたのかというほどに甘く感じました。
強烈な甘みを持っているのに脂っこさは全く感じず、噛みしめていると甘みの後から旨味が出てきます。もちろん魚臭さは皆無です。
この時のクロダイの味は、私の人生における魚関係のおいしさランキングトップ3に入るほどの味でした。
さてでは、ここでクロダイの旬はいつかと調べますと。
ネットで検索すると「クロダイの旬は秋~春で冬が最も美味」と出てきます。
「春から夏が産卵期なので、産卵に備え身に脂を蓄える時期が一番おいしい」という理屈がついてきます。
要するに夏は四季の中でクロダイがおいしくない時期ということになります。
しかし今回私が食べた、人生で三本の指に入るおいしさのクロダイが漁獲されたのは五月一日。
暦の上では五月一日はまだ晩春で、初夏は五日からとなっていますが、体感的にはもう夏みたいなもんですよね。
この後は連休に入ったので、次に出漁した五月八日にまたクロダイを貰って帰りました。
五月一日のクロダイを食べたのが仲間内では私だけなので、皆の評価を聞きたかったのです。
5人に食べてもらった結果、元料理人を含む4人がおいしいと言いました。
ただ一人、味に一番厳しい親方だけは「そこまで言うほどでもない」と、つれない評価でした。
まあ確かに8日のクロダイは、おいしくはあれど1日のものには全然及ばない味でした。
(個体差でいうと1日のは卵巣が半分ほど発達、8日のは放卵直前くらいの発達具合でした)
結局のところ何が言いたいかというと、
魚の旬というものは全体としての目安にはなるものの、個体差による時期の開きはかなり大きい。
よって魚の目利きは重要だし難しい。
という、至極当たり前の話でした。
まあでも今回の件を踏まえてひとつ付け加えるならば、ネットや本の情報で「旬ではなくまずい」とされている時期でも、個体によっては旬の真っただ中でおいしいものもいる、ということですね。
うーむ。魚の目利き、私にはできるようになる気がしません。