2016・4・1 フグ
ふぐ。
漢字だと河豚と書きます。
私はフグは海の魚と思っていましたが、世界には淡水に住むフグもいるんですね。
しかし、魚なのになんで豚なんて当て字をされちゃうんでしょう?
ネットで見ると「釣ったときにブーブーと豚みたいに鳴くかららしい」とか「体を膨らました姿が豚みたいだかららしい」と書かれています。
漁師暦15年のわたくし。フグは数千匹触ってきました。確かに声というか音は出しますが、それが豚に似ているかと問われると、いまいち同意しかねます。
私は豚の鳴き声を生で聞いたことはないのですが、やはり「ブーブー」や「ぶひぶひ」が一般的な認識だと思います。
実際にフグをつかんだときの音は「キュウッ!」とか、たまに「ヴッ!」という程度もので、私にはどうも豚の鳴き声と結びつきません。
まあ膨らんだ姿は豚みたいと言われれば納得できるし、鳴き声もなんとなく似ているといえば似ているかも、、、という感じだし、こうなるともう、合わせ技一本!お前の正体は豚だ!川に住む豚なんだな!というかんじで「河豚」となったんでしょうかね。
しかし「河」と「豚」でフグなんて、知らなければ絶対に読めないですよね。もし私がこの読み方を知らなかったとして、
『河豚←この生物は何か?』と問われたら。
(川に住んでて、、太っていて、、漢字の読みはカワブタ、、カワヴタ、、ヴタ、、ヴァ!?
わかった!)
「かば!!」
と力強く答えるでしょう。
ばかです。
投稿者「daiheimaru」のアーカイブ
2016.3.19 一間
2016.3.19 一間
世間一般と違う漁師の言葉。
前回は「時化」のことを書きました。
海の状況に関わらず沖に出ないことを漁師は時化と言う。
これはまあ、理解しやすいかと思います。
違う使い方のもう一つが「一間」。いっけんです。
漁師は網を測る単位に未だに寸・尺・間を使っています。
むかし使われていた尺貫法では1間=6尺=60寸と定められています。
1寸は約3センチなので1尺は30センチ、一間は180センチとなります。タタミ1枚の長さ。目にする機会も多いですし、長さの感覚がイメージしやすいですよね。
しかし漁師の世界ではなぜか、一間は5尺、150センチなのです。
私が知っている千葉県の船は皆そうですし、色々な漁船に乗っていたことのあるベテランに聞いても同じです。
うちが網を取り寄せている関西の魚網会社でも1間は5尺です。
なので、日本全国ではどうなのかは知りませんが、1間=5尺というのは漁師界に広く定着していると思われます。
なぜなのか。博識なベテランに理由を聞いたことがあります。
「さあなあ。。昔っからそうだからなあ。。」で終わりました。
網だけが特別とは考えにくいから、船の長さなども含め漁師及び海に携わる人々にとっては1間=5尺で統一していたと考えるのが自然です。
今はメートル法の普及でこんな尺貫法の単位など知らなくてもなんの問題もありませんが、一昔前はどうだったんでしょうね。
江戸時代の、家も船も全て木造なくらいの時期の材木屋にて。
宮大工「5間の木をくれ(9m欲しい)」
船大工「5間の木をくれ(7.5m欲しい)」
なんてことになる訳です。混乱必至です。
「起きて半畳寝て一畳」という言い回しがあります。
江戸時代半ばには使われた記録があるようですが、その時代の男性の平均身長は150台半ばと推測されています。
すると5尺のタタミじゃはみでちゃう。6尺のタタミならすっぽり収まります。となるとやはり陸の1間=6尺が正しいのか。。。
それとも。昔は陸も1間=5尺だったけど、都市部で肉食が広まって平均身長が高くなり、それにつれて尺を大きくした。しかし漁師は魚しか食べずたいして身長が伸びなかったから尺もそのままだったとか。。。
結局、私にはわかりません。今後誰かに聞かれたとしたら、
「さあなあ。。昔っからそうだからなあ。。」と答えます。
2016.3.15 時化
時化が続いています。
ここ一週間、沖に出ていません。
「時化(しけ)」というと普通の方は海が荒れている状態をイメージすると思います。
台風時期にテレビレポーターがよく、土砂降りのなかで片手でヘルメットを押さえながら片手でマイクを持ち、「現在○○岬に来ております!横殴りの雨と風で立っているのも困難な状況です!うおー!」と叫んでる背後で、荒波がザッパーンと打ち付けているような状態。
辞書で調べても「海が荒れる・海が荒れて魚が獲れない」という意味です。
しかし漁師の場合はそれに加え、沖に出ないことも時化といいます。
風は全くなく海はべた凪ぎ、日差しも暖かく穏やかな陽気の日でも、なんらかの理由で出漁しない場合は「今日は時化だ」といいます。
海の状態が「荒波ザッパーン!」だろうと「さざなみホワホワ~ン」だろうと、沖に出ない限りはどちらも「きょうはしけだぁ」です。
普通の人の「時化」という感覚とはちょっと違うかと思います。
一般常識と違う言葉とえばもう一つ、言葉というか単位ですが、
「一間」があります。これはまた次回に書こうと思います。
2016.3.5 出漁
今期の漁が始まりました。
初漁の成果は大セイゴがまずまず獲れました。
夜の出港なので寒いです。
ゴム合羽の下に暖かい服を重ね着するのでモコモコになり、
動きづらくて嫌になります。
そして網を張って体を動かすと暑くなって汗をかきますが、次の魚群を探すためにちょっと間があくと、途端に体も冷えるし汗で濡れた服が冷たいしで、これまた嫌になります。
テレビで北国の漁師が雪の中で働いてるのを見ると、(強いなあ)とつくづく思います。
まあ同じ人間だから北国の人達だって寒いに違いないでしょうが、
そこは気合で乗り切っているんでしょうね。
それが仕事であれば耐えるしかないですものね。
しかし私としては、早く暖かくなってほしいです。
私が根性なしという話だけではなく、船橋の巻き網に潤いを与えてくれる魚は初夏から晩秋くらいに多く獲れるのです。
今の時期は出港しても燃料代分の稼ぎにもならない日もあるくらいです。
とにかく早く暖かくなってほしいですが、異常気象で暖かくなるのは
人にも魚にもよろしくないですから、しばらく辛抱するしかないですね。
2016.2.21 船橋朝市
昨日は船橋港で朝市がありました。
規模は小さいですが毎月第3土曜日に開催し船橋産の海産物や野菜を売り、軽食のお店もいくつか出店しています。
催しの一環として「お魚さばきかた教室」が開かれます。
昔、とあるホテルで和食の料理長をしていた人が、丸のままの魚の捌きかたを一から教えるというものです。
午前9時から10時まで、10時から11時までの2部あり、毎回各部に10人ほど参加者がいます。
料理長一人では全員を見きれないので、私と、以前「獲れ立て情報」を書いていた山本が毎回お手伝いしています。
進行の流れは、まず料理長(マタイさんという名前です)がウロコを取ってから内臓を外すところまで手本を見せ、それから各自に1匹ずつ用意された魚を自分でさばいてもらいます。全員が内臓を外し終わったらマタイさんが切り身にするまでの手本を見せ、皆さんにもそこまでやってもらいます。
手馴れた人がやっているのを見てると簡単そうだけど、いざ実践となって包丁を持つと途端に勝手がわからなくなっちゃうもんです。
そこで先生と私らお手伝いの3人で教えて回るんですが、魚をさばくのは初めての方が多いのでなかなか手が足りません。
一人にちょっと時間をかけちゃうとすぐに、他の方から「先生!先生ぇーっ!」と助けを求める声が聞こえてきます。
そちらに行って教えているとまた別の方から「先生!先生ぇーーっ!」と、、、
先生稼業も楽じゃねぇぜ。
本当は一人ひとりに付きっ切りで教えたいのですが時間の制約でそうもいかず、毎回、教え切れなかったことを悔いています。
こんな感じで今まで数百人の方を見てきて一つ気付いたのが、男性と女性の違いです。
男性の場合、わからなくても自分なりにガシガシ進めていき、こちらが少しアドバイスすると「ふむふむ!ほう!なるほどなるほど!」と言って更にガシガシ進んでいきます。三枚におろすのに失敗しても「ああ!やっちゃった。これじゃ刺身にはできないな!。わはは!!」と明るく前向きなのに対し、
女性はわからないとフリーズ。包丁持ったまま固まります。私らが他の人に教えている状況だと、呼ぶのも遠慮してしまうみたいです。
失敗すると、「ああ、、、すいません、、、ごめんなさい」と詫びてきます。授業料と魚代としてお金を頂いてるんだし、謝られたりするとこっちが恐縮しちゃいます。
まあ元気で活発な女性も多いですが、とにかく私の経験上では男性は教える手間が少なくてすみます。
そんな訳で私はなるべく重点的に女性の方に気を配るようにしています。
けして、下心で女性ばかりに教えるわけではありません。
女性の手を取って包丁の使い方を教えるのも、ケガをされては困るから仕方なくやっているのです。
若い子と年配の方が居たら若い子のほうにいくのも、料理経験が少ないだろうと考えてのうえです。
けして、下心ではありません。ありませんったらありません。
2016.2.14 タクシー
先日、5年に一度の船舶免許の更新に行きました。
会場のある駅に8時に着きました。初めて行く会場で、案内状には駅から徒歩10分と書いてあるのですが
地図で確認してもよくわからず、遅刻するのは嫌なのでタクシーを使いました。
さすがに早いものでワンメーターで着いちゃいました。
730円です。
お釣りを100円玉で貰おうと思って1030円を差し出したところ、運転手さんが私に向かって、
「朝6時半から待ってたんだけどね、なかなか来なくてさ」
と言いました。
道中で会話はしていないのに突然言われたもので意味がわからず、
「何がですか?」と聞き返しましたが、返事は無く無言でお釣りの300円を渡され、その後も
何か話す様子はないのでタクシーから降りました。
そこでやっと察したのですが、運転手さんはチップを期待したんですね。
朝早くから場所取りしてたのにやっと来た客はたったワンメーター。駅に戻っても順番待ちの
最後尾だから次の客はいつとれるかわからない。
朝からハズレの客にあたっちまった。いくらかでも多くもらわないとやってらんねえ。
といった気分だったんでしょうね。
それからしばらく頭の中がモヤモヤしてしまいました。
ちゃんと規定の料金を払ったのだから何も迷うことはないと堂々とすべきか。
それともいい歳した大人なんだしちょっとした気遣いでチップを渡すべきだったか。
鬼平や秋山小兵衛なら
「少ないが、これで温かいものでも食べておくれ」
なんて言って小粒銀なんかをスッと差し出すんでしょうが、、、
まあ別に正解なんてないと思いますが、世間的にはどうするのが普通なんでしょうね。
2016.1.23
はじめして。乗組員の鳥海と申します。
今までこの大平丸HPを担当していた山本が退社したため、代わりにブログの更新を引き継ぐことになりました。
東京湾の漁の模様や魚のこと、漁師の仕事や日常などを
書いていこうと思います。
【大平丸】2015年12月25日 獲れたてメール最終
皆さんこんにちは。
昨晩は出港しました。
メインはスズキ。
卵を放出したような魚も多数見受けられました。2月くらいまでは産卵期は続きます。
他にもコショウダイ、ホウボウが混じっていました。
本日で今年の漁は終わりです。
そして私は本日でお世話になった大平丸を退職いたします。
今まで皆さんありがとうございました。
7年間大平丸に乗り気づき感動したのは
東京湾は可能性に満ちあふれているということ。
本当にたくさんの生き物がいます。
そしてこの海は我々湾岸の人々が影響していて環境を作っています。
その可能性を多くの人が知りませんし、環境に関わっていることも知りません。
目の前の海を活かし生きる事は身近な環境の環に入ることだと思います。
その土地と生きることで身近な環境を愛でて、よりよくしようとする気持ちも湧くのではないでしょうか。
来年からは獲れたてメールは終了しブログのみになります。
よろしくお願い致します。
私は独立して船橋で一人小舟でやっていきます。
では皆さんよいお年を!!!
このメールはログアウトいたしますので返信ができなくなります。
ご用の方はこちらまで⬇
ecoumi@gmail .com
乗組員 山本浩司
【大平丸】2015年12月20日
皆さんこんにちは。
昨日出港しました。
スズキがまとまってとれました。
混じりでサワラがとれました。
なかなかいいサイズでした☆
冬のサワラも結構脂にのっていいですよ。
春の産卵に備えているんで。
というか東京湾のサワラは常時脂にのってる気がしますが。
乗組員 山本浩司
【大平丸】2015年12月10日
皆様こんばんは。
おとといの晩は出港しました。
スズキがまとまって入りました。
そしてマルソウダの群れもとらえました真っ赤な身は黒ずんでもいますがとれたての刺身はくせは全くなくとっても美味しいんですよ~☆
是非機会がありましたら食べてみてください!
新鮮なやつを!
乗組員 山本浩司