今まで2月は出漁せず、船の整備と網の補修を行う時期でしたが、今年はそれを4月にずらすことになりました。
先月の記事で、コノシロがおらず獲れるのはナカズミ(コハダ < ナカズミ < コノシロ)だと書きましたが、今月の出漁では量は少ないもののコノシロが獲れました。
そろそろ抱卵する時期なので今後は脂が増えるし、卵や白子を持ち始めれば更に重量は増していくでしょう。
久し振りの大きいサイズなので塩焼きにしました。
普通の魚に比べてコノシロは全身に細い骨が張り巡らされているので、細かく包丁をいれて切断します。
こうすれば骨はたいして気になりません。
まあ正直に言うと、「小骨をあまり気にしない人にはたいして気にならないレベル」なだけであり、小骨を気にする人には許せない食感であり、舌触りなことでしょう。
身の味もコノシロ独特のおいしさはありますが、邪魔な小骨の存在を凌駕するとは言い難い程度の味です。
要するにコノシロは、魚好き以外にはハードルが高いです。
以上が日本におけるコノシロの評価だと私は思っていますが、これが韓国では扱いが全く違うようです。
ネットに書いてあったのですが、韓国におけるコノシロは日本でのサンマに近いとのことです。
最近の不漁の話はさておき、日本の秋の味覚といえばサンマの塩焼きが外せませんが、韓国では「秋と言えばコノシロ!」となるらしいです。
そして韓国ではコノシロは、塩焼きのほかに「せごし」にするそうです。
せごしとは、頭と内臓を取った魚を三枚にも二枚にもおろさず、そのまま薄めの輪切りにして生で食べる方法で、日本ではアユでやるのが有名です。
以前、一緒に働いていた仲間の山本君が韓国旅行に行った際、食べたと言っていました。
味はともかく食感はどうだったのか聞いたところ、「自分には無理でした」と言っていました。
「船橋のさかなくん」の異名を持つ彼をして、無理と言わしめたコノシロのせごし、私も挑戦しようとは思いますが、厳しそうです。
しかしこれはおもしろいことだと思います。
こういう嗜好は幼少期から形づくられるものだと思うので、小さい頃から骨のある魚をそのまま食べるのが当然の環境であれば、慣れてしまうのでしょうね。
骨ごと食べられるということは、味でも栄養面でもメリットが多く、うらやましいことです。
皆さんも一度、鮮度の良いコノシロが手に入ったならば、せごしを試してみてはいかがでしょうか。
皮肉っぽいですがそのような意図はないことを明言したうえで言いますと、「韓国で人気の料理」という前提が頭にあれば、案外すんなりと受け入れられる人もいるかもしれません。