八月の記事に、海の様子が過去にイワシが大漁だった時と似ているから、秋口にイワシがきてくれると嬉しい、と書きました。
しかし現時点でイワシの群れは来ていません。
そして私の経験では、今この時点でイワシの回遊してくる気配がなければ、今年はもう来ないのだと諦めるしかありません。
イワシに限らずサバやアジなど、「稼ぎになる魚」が11月以降に大漁で活気が出た経験は私にはないからです。
しかしここ数年、そういった自分の経験があてにならないと思わされることがちょくちょくあります。
特に今年はかなり驚くべき事が起こりました。
太刀魚やサワラ、イナダが船橋周辺で獲れるのです。
船橋港は東京湾の北端、一番奥にあります。
船が離岸してから15分ほど、港内から出てまだ陸地がすぐそこに見える場所で、1メートル級のサワラや太刀魚が獲れるのです。量こそ少ないものの網を張る度に獲れるので、小さいながらも群れで湾奥まで来ていることは疑いようがありません。
写真は幕張の88センチ、6.5キロのブリです。
これらの魚は例年であれば、港を出てから南下すること一時間以上、それなりの広さと水深のある場所でやっと姿を現すのが普通です。
それが今年は出港してすぐ、船橋~幕張あたりの水深の浅い場所で網に入るのです。
まあたいした量ではないので儲けにはなりませんが、単価の高い魚なので獲れてくれるのはありがたいです。
しかし私としては嬉しさより、こんな場所にいるはずのない魚が獲れるいぶかしさが上回り、なんとなく落ち着きません。
でも私の16年間の経験内でたまたまなかっただけで、もしかしたら過去には普通に獲れていたのかもしれないと思い、船橋漁師歴60年以上の社長に聞いてみました。
結果、社長曰く、
「ジャミサバ(サバの幼魚)やイナダ(ブリの幼魚)は獲れることはあるが、サワラや太刀魚の成魚がこんなところまで来るのは初めてだよ」とのことで、社長も大いに驚いていました。
もっとも今回の私の驚きはあまり一般の方には伝わらないことかもしれません。要するに、今までと違う場所で魚が獲れたというだけの話ですから。
でもまあ、お決まりだけど言わせてください。
やっぱり海はわからねえなぁ。