2016.6.25 ギマ

2016.6.25 ギマ
ギマ という名の魚がいます。
魚屋やスーパーに流通することはほぼないので、殆どの方はご存じないでしょう。
こんな魚です。

2008/06/02 09:31

2008/06/02 09:30

背中に1本、お腹に2本、トゲが生えています。このトゲは普段は体に沿えて寝かして泳いでいるのですが、敵に襲われて興奮するとこのように三方向に展開されます。
ひとたびこの状態になったトゲは渾身の力でロックされてしまい、もはや人の力ではたためません。
そしてこのトゲ、非常に硬いです。
靴底のゴムなど簡単に貫きます。そしてヤスリのようにざらついているので、刺さるとすんなりとは抜けません。
またこの魚は表皮も紙ヤスリのようにざらついているのに、尋常じゃない量の粘液を出すので胴体はヌルヌルして掴みづらいです。

私が東京湾で漁師になったのは15年前ですが、その当時は一年に数匹しか網に入らず、ベテラン漁師達はこの魚の名前すら知りませんでした。それが年を追うごとに増えてきて、今では多くのギマが東京湾に住み着いてしまいました。
この魚、漁師にとって非常に迷惑なのです。トゲのせいで網がグチャグチャに絡まってしまうし、網を揚げる機械のゴムタイヤがパンクしてしまうのです。
それゆえ網に入ったら取り除かねばなりません。
まあ、数匹ならたいした手間ではないのですが、、、
まとまった群れが網に入ってしまうと、、、
こうなります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ちょっとわかりづらいかもしれませんが、白いのは全てギマで、ことごとくトゲで網に絡まっています。
このギマを、一匹づつ、一匹残らず手作業で網から外さなければなりません。
ちなみにこの写真は全体のほんの一部なので、実際のギマの量はこの数十倍です。
この写真の時は全てのギマを取り除くのに2時間以上かかりました。
この時間のロスはとても痛いですが、かといってギマが残ったままでは次の網に支障をきたすので、とにかく早く外すしかありません。

全く持って無益な時間です。
早く外して次の網を張らなきゃ、という焦燥感。
無益な手間に対する疲労感。
ヌルヌルの不快感。
外しても外してもまだいる、先のみえない絶望感。
全てが合わさり、この魚に対する多大な嫌悪感が生じます。
みな、この魚が大嫌いです。見るのも嫌です。
ましてや食う気にはとてもなりません。
かといって海に捨てる訳にはいかないので、外したギマは運搬船に積んで港に持ち帰ります。
しかしこの魚は売れないので、肥料の業者がもっていきます。もちろん、お金になりません。
時間と手間を費やして全く益なし。
ギマさえいなければ普通に網を張って他の魚を狙えていたので、マイナスとすらいえます。

お願い、ギマさん。東京湾から出て行って。。。
ほんとにそう思います。

そもそもこのギマ、なぜ売れないのか?食べられないの?
次回、そのことについて書こうと思います。