今月はスズキ漁とコハダ漁が好調だったうえ、相場が良かったこともあり、久し振りに良いボーナスが期待できそうです。
私が大平丸に入った二十数年前は、夏はスズキ漁、秋はサバ漁が好調で、年に数回は月給が倍くらいになる月があるのが普通でした。
それがいつしかスズキもそれほどは獲れなくなり、サバも回遊が殆どなくなってしまい、大きなボーナスにはだいぶご無沙汰でした。
今月のボーナスはコハダの恩恵によるところが大きいですが、そろそろコハダのシーズンは終わりです。
これからは何が獲れるのかはわかりませんが、このまま良い漁が継続できれば嬉しいところです。
さて、前回の記事で書きましたが、今はタカ(沿岸沿いの浅い場所)で働くことが多いです。
タカではクロダイがよく獲れますが、その中に、姿はクロダイにそっくりなのに色がちょっと白っぽい魚が混じります。
それがキビレという魚です。
私達はキビレと呼んでいますが、標準和名はキチヌと言います。
クロダイは標準和名がクロダイで別称がチヌなのに、キビレは和名にチヌが使われているのがややこしいですね。
このキビレですが昔は滅多に見かけなかったのに、最近はちょくちょく網に入るようになりました。
どうやらもともとは西に生息していたけれど、最近の気候の変化で東京湾にも進出してきたようです。
今、全国各地でクロダイによる海苔や貝の食害が報告され、クロダイは駆除対象魚という嫌われ者になってしまっていますが、このキビレも食性はクロダイとほぼ同じらしく、食害に拍車がかかってしまったら困りものですね。
まあ私にできることは食べて駆除に貢献、というところなので、おいしく頂こうと思います。
捌く際に気付いたのですが、キビレは骨が硬く感じました。
私は大きな魚を捌く際に、全てのヒレを前もってハサミで切り落とします。
ハサミといっても切断力の高い万能ハサミですが、キビレの尻ビレは硬すぎて切れませんでした。
全長は同じなのに、クロダイのシリビレは簡単に切れたのにキビレの尻ビレはゴツ過ぎて切れませんでした。
また、肛門からあご下まで包丁を入れて切り開く際、カマの部分が恐ろしく固く、切るのに難儀しました。
自惚れではありませんが、魚を捌き慣れている私が出刃包丁を使っても苦労したのだから、普通の方が薄い万能包丁などで捌こうとするのは危ないかもしれません。
旬はクロダイが秋から春、キビレは春から初夏とのことです。
クロダイは産卵後らしく痩せていますが、しかし身の味はよく、相場も安い魚なので、魚好きの仲間はよく親方にもらって食べています。
仲間内ではいま、クロダイの天ぷらがブームです。
うまそうではありますが、このク〇暑いなかで揚げ物をする元気は私にはありませんや。
キビレの味ですが、正直に申し上げて私にはクロダイとの違いがわかりませんでした。
どちらもおいしい。
語彙力がなくてスミマセン。
ちなみに今年の2月に獲れたクロダイがこちら
丸々と太っています。
上の写真の痩せたクロダイとはまるで別物です。
魚の旬と味について、いずれ記事にしたいと思います。