新年早々、穏やかでないタイトルをつけてしまいましたが、別に嫌なことがあったわけではありません。
嫌な事どころか逆に、今年は出漁二回にしてマダイ漁が好成績で、幸先が良いスタートをきっております。
では何がイラッとするかと言いますと。
まずマダイ漁のポイントなのですが、我々が普段漁をしている湾奥よりだいぶ南下した場所にあります。
東京湾では南に下がれば下がるほど外洋に近くなるせいか、湾奥より獲れる魚種が多くなります。
南に下がった場所で漁をすると、(我々には)珍しい魚がたくさん獲れるので面白いです。
そして今回獲れた珍しい魚がこちら。
「イラ」
スズキ目 ベラ科 イラ と、ちゃんとイラというのが和名です。
なんともカラフルで南国系に思える魚ですが、新潟あたりでも獲れるようです。
四角い頭も特徴的で、アマダイやブダイに似ています。
それでこのイラという名の由来が、
「捕まえようとすると逆に噛みついてくるから、イライラさせられる」
または「噛みついてくるくらいイライラしている魚」
という説が一般的らしいのです。
とにかく「イラッとする(している)」から、イラ。
たしかに、私がこの魚を活魚水槽に入れようと掴んだ時、軍手を嚙まれました。
釣りなどで生きているイラを触る場合は気を付けてください。
私達にとって珍しいだけでなく、あまり魚屋でも見かけないので味が気になるところです。
旬は晩秋から初夏らしく、いまはちょうど良い時期みたいなので、とりあえず刺身と塩焼きにしました。
身は柔らかく、加熱したらけっこう崩れてしまいました。
刺身は冷蔵庫で4日寝かせたのですが、たいして旨味は感じられず、塩焼きのほうが味がはっきりしておいしかったです。
今回私は切り身に塩を振ってすぐに焼いたのですが、次は塩を振って寝かせて水分をしっかりと抜けば、身は崩れず味もさらに凝縮しておいしくなると思いました。
刺身もクセはまったく感じなかったので、昆布締めなどで旨味を足せば化ける気がします。
扱いを知っていれば、かなりおいしく食べられる魚だと思います。
しかし、イラの名の由来。
ほんとなんですかね?イラッとするからイラだなんて。
そんな感じで名前をつけちゃうなら、
獲れたら嬉しくてニヤニヤしちゃうニヤとか、
獲れたら危なくてハラハラしちゃうハラとか、
獲れたら何となくムラムラしちゃうムラとか、
畳語(じょうご 同一の言葉を重ねてひとつの単語にしたもの)の数だけ魚の名が存在しちゃいそうなもんですが、現状ではそうはなっていません。
まあ普通に考えて、命名する人はそんな短絡的な名を和名にしようとは思わないでしょうね。
そう考えるとこの、「感情」を名に冠したイラって、面白いと思います。