2022.12.30 ほうぼう

今年の漁は26日に終了し、来年は5日から出漁予定となっています。
今年の冬は、ここ数年の漁の定番であるコノシロは狙いませんでした。
来年は何が獲れるかはわかりませんが、良い漁ができることを期待しております。

今年の最後の出漁の時に、大きなホウボウが獲れました。
(上がホウボウ)

この魚は東京湾に普通に生息していますが、群れないうえに底生魚なので、巻き網漁ではたまにしか取れません。

特徴はなんといっても、大きく美しい胸ビレです。

撮影の都合で私は下方向に引っ張ってしまいましたが、海中ではこの胸ビレは水平方向に広げています。

緑地の扇のヘリを水色で縁取り、中に水玉を散らすというおしゃれなヒレですが、これはなんの意味があるのでしょうね。

クジャクのように、オスが派手な色彩でメスにアピールするのかな?


と一瞬考えたけど、調べたらホウボウのヒレは雌雄どちらも派手でした。

気になるのでネットで調べたところ、胸ビレに関しては、それを使って海底を這いまわる、という記述が殆どでした。
この写真では非常にわかりづらいですが、胸ビレの付け根にヒレの一部が変化した足のようなものがあり、それを使って海底をテクテク歩くのです。
「ほうぼう 歩く」で検索すると、葛西臨海水族園が撮影したかわいい映像が見られます。

しかしその他に、上方からの捕食者を威嚇するという記述も発見できました。

確かに、この大きくカラフルな胸ビレを海中で左右同時にパッと開いたら、何か大きな生物が両目を開いたように見え、敵を撃退できるかもしれません。

水深の深い海中での光の透過率を考えたとき、赤い胴体は見えづらく胸ビレの青さは際立つという理屈が成り立つので、この配色には合理性があります。

私としてはホウボウの胸ビレのカラーリングは威嚇目的と結論付けたいところでした。

しかし。
しかしですね。

じつはホウボウにはそっくりさんが居ます。
カナガシラという魚で、見た目も生息場所も生態も似ており、今回もホウボウと同じ網で数尾、漁獲されました。

(上 下 どちらもカナガシラ)

そのカナガシラの胸ビレには、模様は何にもないのです。

画像の胸ビレは水揚げの時に傷ついて破れてしまっていますが、通常はホウボウのように扇状です。

う~ん。
ホウボウもカナガシラも、どちらも巻き網では獲り辛い魚だからあまり漁獲量を気にしたことがありませんが、どちらかが極端に少ないという話は聞いたことがありません。

胸ビレが派手だろうと地味だろうと生息数に大差ないとなると、模様の威嚇目的説に説得力がなくなってしまいます。

まあ結局のところなんで胸ビレが綺麗なのか、本当に知りたい方はホウボウに聞いてもらうしかないですね。

ホウボウ語が話せないなら、さかなクンに聞くのが最善策です。