今月半ば程まではイナダの漁獲が好調でしたが、最近はだいぶ減ってしまいました。
魚群探知機の反応を見るとイナダの群れはまだ居るのですが、獲りづらい場所のものが多くなりました。
漁の成否には潮流の速さや水深が大きくかかわり、条件がうまくないと、目の前に魚が居ても獲れるとは限らないのです。
まあそもそも湾内に居なければどうしようもないので、居てくれるだけでまだ希望が持てるのでありがたくはあります。
イナダ(ブリ)のような回遊魚は、殆ど同じ大きさの仲間で群れを構成します。
おもしろいもので、ワカシ(40cm未満)、イナダ(約40~60cm)、ワラサ(60~80cm)、ブリ(80cm以上)という呼称に準じた大きさの仲間で群れます。
例えば、イナダとワカシの割合が半々というような群れは、私は見たことがありません。
また、イナダが1万尾獲れた時その中にワラサが100尾ほど混じることはありますが、ブリが混じることはありません。
魚社会にも群れのルールがあるのでしょう。
しかし今回、おきて破りの大物が現れました。
イナダの群れに1尾だけ、全長110cm、重量なんと17,5kgもある超弩級のブリが混じってきたのです。
こういう大きな魚の写真を撮るとき、カメラに対して魚を突き出したくなるものです。
しかしそうすると遠近感が狂ってサイズがわかりづらくなるので、私は撮影の時には魚体を体に近づけて持ってもらいます。
今回魚を持ってもらったのはパワー溢れる若者なのですが、
「重たいっす!」と言っていました。
掴みどころがないうえに優しく持たなければならないから、確かにきつかったでしょうね。
ペットボトルを余裕で上回る体高があります。
もしかしたらブリの最大記録では?と思い調べてみたら、日本では115cm、22,1kgというのが釣りでの公式記録だそうです。
全長で5cm、重量で5kg弱及びませんでした。
まあ最大記録に及ばずとはいえ、それでも今回のブリは感嘆に値する大きさです。
写真では迫力が伝えられないのがもどかしいです。
ブリが大きすぎて周りのイナダが小さく見えます。
人で例えたら、少年野球チームの中にエンゼルスの大谷さんが居る感じですかね。
ちなみにこれほどのブリならお値段のほうもさぞかし、と思われるでしょうが、そうはなりませんでした。
このブリが入るサイズの発砲スチロールがなく、個別に出荷ということができなかったのです。
なので他のイナダとともに給食屋さんにまとめて出荷され、お値段もイナダと同じ単価で計算されました。
具体的な数字を書くのははばかられますが、福沢さんどころか樋口さんすらお呼びでないほどでした。
そんなんなら私が買いたかったくらいですが、まあ、この大きくて脂ののったおいしそうなブリを給食で食べることができた人がいると思えば、それで良しですね。