2022.5.14 イシモチ 耳石

一か月間の整備期間を終えて今月から出漁を開始しました。
我々のメインターゲットであるスズキの相場はまだ低いものの、コハダがなかなか良い値段で売れており、ありがたいです。
ただしコハダは一日ごとの需要が限られており、市場の需要以上の量を獲ると相場は一気に下がってしまいます。
なのでコハダが網に多く入っても、必要な分を確保したら後は逃がします。
一昔前は、「網に入ったものは安くたっていいから全部持って帰るんだ!」という風潮がありましたが、今は「何でも持って帰ればいいってもんじゃない」という考え方になっており、資源保護の観点からもよい変化を遂げております。

ここ最近はイシモチが網によく入ります。

網に入った最大と最小を並べてみました。
イシモチは大きくてもおいしいので、大サイズのグラム単価は小サイズの三倍もします。
小サイズはおいしくないのかと言えばそんなことは全くありません。
身の量が少ないだけで大サイズと変わらぬ味です。

この小サイズの食べ方ですが、普通に塩焼きや煮付けがおいしいのはわかっています。
そこで私は今回、以前コハダでやったお魚せんべいを試そうと考えました。
(↑コハダのお魚せんべい)

カリカリに焼きあがったコハダの頭のおいしさが忘れられず、イシモチの頭はどんな味がするのか知りたくなったのです。

それでまず腹開きにして頭を分割しようとしたら、包丁が「ガリッ」と不穏な音をたてました。
何事かと思ったら、白くて非常に硬い石のようなものが出てきました。

(これは大サイズイシモチのものですが、白い石の横幅は1cmあります)

これは耳石(じせき)といい、人間を含め殆どの生物が持っているものらしいですが、中でも特に、イシモチは大きな耳石を持つようです。
そもそも写真の魚の正式名称はシログチなのに、なぜイシモチと呼ばれるのかといえば、この石を持っているから、というのが由来だそうです。
ちなみに巷間では、色々な魚の耳石を収集する「耳石ハンター」なる趣味を持つ人がいるようです。

さて、この小イシモチの頭に話を戻しますと、結局私は食べませんでした。
この耳石のあった周辺の骨もやけに固く、焼いても食べられなさそうと思ったためです。
いやほんと、仮に小さなイシモチを丸焼きにして、勢いよく頭からかぶりついたりしたら、、、
歯、折れますよ。