10月に書いた記事の太刀魚の歯について、ちょっと説明不足な点があったので書こうと思います。
一番目立つ、上アゴ先端の牙のような前歯。
これは鎌(かま)のような形状をしていますが、鋭利で切れるのは先端のみです。
内側、外側のカーブ部は薄くなってはいるものの、ほとんど切れません。
以前、魚が網に穴を開けることの説明で、太刀魚が網にかみついたままぶらさがる絵をかきました。
口を閉じても網を切断できず、ひっかかってぶらさがってしまうのは、このような歯の構造が原因です。
噛みついても牙が深く刺さりこそすれ、肉を大きく切り裂くことはありません。
腕などをかまれると牙が突き刺さって抜けず、肉が切られることもないので、そのままぶらさげる状態になります。
このような場合、噛みついているヤツを外すには口をこじ開けるしかないのですが、それは片手ではできません。
私たちは常に周りに仲間がいるので誰かが噛まれてもすぐに助けられますが、一人で釣りをしている時などに大きなヤツに噛まれたら、外すのには相当難儀することでしょう。
他には、前歯以外の歯はどうなっているのかというと、生えている位置によって微妙に形が違います。
上顎は酷使されるのか歯並びはまちまちですが、下顎の歯はきれいに並んでおり、比較がしやすいです。
横から見ると、下あごはなだらかな山の形に歯が生えており、その山頂にあたる部分の長い歯はカエシがあり、他の短い歯はカエシがほぼ無い三角形をしています。
この山型の歯並びにどのような効果があるのかはわかりませんが、長めに成長する歯にはカエシができるようだ、といえます。
上顎の歯並びではなぜか、奥のほうで尖った先端が向かい合うような並び方をしています。
この並び方の意味が私にはさっぱりわかりません。
魚の歯なんて普段は全く気にもとめずに捨ててしまう部分ですが、ふと手にとって見つめると、思ってもみなかった発見や不思議がでてくるものですね。