2021.3.27 子持ちコノシロの成長

コノシロが産卵に向けて徐々に成長しています。
巷間では、魚は卵を持つと栄養が全てそちらに回るため、身がまずくなる、と言われます。
今回は子持ちの魚の味と価値について、私が思うところを書きます。

1月に漁獲したコノシロとカタボシイワシです。
(今回の記事にカタボシイワシは関係ありません)


そしてこちらが先日、3月26日に漁獲したコノシロです。
1月に比べ、体高がはるかに増しています。


上は3月のコノシロを捌いた画像で、卵と白子がだいぶ成長しています。時期的には産卵まで半ば程の育ち具合かと思います。
3月のコノシロを食べた感想ですが、卵に栄養が取られ身の味がなくなったとは思えず、脂も以前との変化は感じませんでした。
つまり抱卵前と変わらずにおいしい、という感想です。

以前から思うのは、「卵を持つとそちらに栄養が取られてしまうから身の味が落ちる」という説は、事実ではあるけれど大雑把すぎる認識だということです。
抱卵初期から産卵までは、詳しくは知りませんが一か月からそれ以上かかると思います。
身にエネルギーが最大限に蓄えられている抱卵初期の状態と、卵に持てるエネルギーの大部分を注いだ産卵直前の状態を、ひとくくりに「子持ちの魚」としてまとめて同列に扱うのは少々乱暴かと思います。
卵の成長とともに身の味が落ちるのは事実でしょうが、それがはっきりと知覚できるほどになるのはいつ頃なのか?
確定的なことは何も言えませんが、とりあえず私の感覚では、昨日漁獲したコノシロ(抱卵 中期くらい?)は以前と変わらぬ味でした。

子持ちの魚の価値に関してですが、
例えば高級な和食で白身の刺身をだす場合には、身の味を最大限の状態にすべく子持ちの魚は論外でしょう。
逆に定食屋で定番の子持ち鰈の煮付けなんかは、卵が充分に成長したものを使いますが、身もちゃんといただきますよね。「身はまずいから食わねえ!」なんて人は聞いたことありません。
つまるところ価値は魚種と料理目的によって評価は全く変わるので、一概には言えません。

「子持ちはおいしくない」は一般にも浸透し、それによって魚価が左右されるほどの言説ですが、それに縛られてしまってはもったいない、と私は思います。

以上、コノシロがまだ放卵していないために味の検証はまだ途中ですが、今後も継続して賞味し、いずれ結果を書きます。

最後に。
イクラとかハタハタみたいな特殊タイプ以外の、オーソドックスな魚卵についてなんですけど。黄色っぽい極小の粒が細長い膜に包まれているやつ。
あれって鯛もスズキもサワラもイナダもアジもコノシロも、卵はどれも全く同じ味よね。
それとも、わかる人には違いがわかるのかなあ。