2020.6.29 赤い海とアヤ

アカクラゲがすごいです。
まあ、もうここ数年、発生量が大幅に増えているのはわかっているので驚きはしませんが、やはり困りものです。

網の中が真っ赤です。

網から魚をすくうためにクレーンで大きなタモを使いますが、入るのはアカクラゲがほとんどです。


この大量のアカクラゲの中から、ビチビチはねるスズキを急いで拾って活魚水槽に入れねばなりません。
毎度のことですが大変です。
ここひと月ほどは出漁する度にそんな漁模様だったのですが、先日、大雨が降った次の日に出漁したとき、海の様子が一変していました。

アカクラゲがほとんどいなかったうえに、サバがなかなかの量、獲れたのです。

魚を網から船に揚げる作業は、スズキに比べるとサバはかなり楽です。
スズキの場合はオオダマから運搬船の甲板に一度おろし、クラゲや混じりをよけながら人力で一匹ずつ拾わねばなりませんが、サバの場合はカメという大きな入れ物に一気に入れてしまえるからです。

楽といっても、氷の量、魚と氷と水の撹拌、さらに氷水の温度をさらに下げる塩の使用など、難しい判断箇所はたくさんあるのですが、それでもスズキと比べるとサバは楽なのです。

そしておもしろかったのが、この日、船にお客さんが乗っていたことです。趣味のカメラマンのようでした。
これが「アヤ」です。

アヤとは以前に書きましたが、縁起担ぎみたいな概念に近いものです。

船に知らない人が乗ってきたときに、その日の漁の様子が良ければその人はアヤがいいと喜ばれ、不漁だったらアヤが悪いと嫌われてしまいます。
今回のお客さんはかなりアヤがいい、ということになります。

「アヤ」なんて私からすると非科学的で迷信にしか思えない概念なのですが、しかし、話をしていると現役で腕のいい漁師でも結構本気でアヤを気にする人がいます。

しかしやはり、今回の例みたいに海の様子が一変するような状況を実際に経験し、それが毎回とはいわずとも客が乗った2、3回に1回の頻度で起こると、なにかしら超自然的な力というか、そういうオカルト的なもの信じる人の気持ちもわからんでもない、という気分になります。

歳をとるってこういうことかも。