2019.4.15 さより

サヨリが旬です。
サヨリは姿や色合いが美しく、味もよいためケチのつけどころがなく、「海の貴婦人」と称されることもあります。
相場がとても高いので獲れると嬉しい魚です。
サヨリは基本的に海の表層、それも海面直下を泳ぐので、ソナーや魚群探知機では探知できません。
それゆえサヨリを狙う時は「あてばり」という手法を使います。
「あてばり」とは機械を使わず、狙う魚の好みそうな場所や過去に実績のあった場所などで網を張るという、要は「漁師の勘」に頼った手法です。
または肉眼で海面にサヨリの姿を探し、見つければ網を張るという、どちらにしても昔ながらのやり方で漁獲します。

サヨリは元々の相場が良いうえに大きいほど値段が高くなり、上の大きいものは下の倍ほどの単価になります。
私達が出荷する際には、「サヨリ」「大サヨリ」「特大サヨリ」「カンヌキ」と分けています。
カンヌキとは最大サイズのサヨリの別称です。
大きくて重くて単価が高く、スーパーなどでは見かけたことがありません。

カンヌキという言葉ですが、知らない人の為に解説いたします。
ネットで「カンヌキ」で画像検索したところ真っ先に出てきたのが、このような小さな金具でした。

 

全長10センチ未満です

この金具では「サヨリのカンヌキ」の意味は説明できません。
「かんぬき」とは、昔の家屋が木造の頃、城や大きな屋敷の門戸の施錠に使ったぶっとい木材のことです。

私は絵心がないので縮尺が変ですが、この扉は高さが人の背丈以上あると考えてください。

ちなみに小さくて細いサイズのサヨリを「エンピツ」と呼んだりもします。
エンピツとカンヌキ、極端な対比ではありますが、超特大サイズのサヨリが獲れた時のありがたみや喜びを表すのに、カンヌキはぴったりの例えだと思います。

そして「海の貴婦人」と「かんぬき」ですが、同じ魚を指すとは思えないほど印象が異なります。
漁師や釣り人など、色々なサイズのサヨリを見たことがある人が、大物が獲れた時に太さを強調して「かんぬき」と呼び、サヨリの平均サイズを知らない人は、スマートな全体像を見て「海の貴婦人」と名付けたのだと思います。