投稿者「daiheimaru」のアーカイブ

2026.7.31 メイタガレイ

今月は時化が少なくスズキは大漁とはいかずともそこそこの量が獲れ、よい漁ができた月となりました。
今回はメイタガレイについて書きます。

6月半ばに書いた「いろいろなカレイ」という記事の中で、正体がわからないものがいました。

↓↓正体不明↓↓

その後の漁で獲れたカレイと照らし合わせた結果、メイタガレイでほぼ間違いないと思います。
このメイタガレイは私たちの漁で獲れることは滅多にないので、私は今回調べるまでこの魚のことを知りませんでした。
名前の由来はなんでも、両目の間にトゲがあり、そこを掴むと刺さって痛いから「目痛カレイ」と名付けられた、という説もあるそうです。
右がメイタガレイ、左はマコガレイ
このカレイは皮が硬いのが特徴だそうで、捌いてみたら実際、なんの抵抗もなくツルリと皮を手で剥ぐことができました。
ヒレの部分の薄い膜も面白いようにきれいに取れました。
二尾あったので刺身、塩焼き、煮付け、から揚げとフルコースを作りました。
まず刺身を食べたところ、あまりのおいしさに驚きました。
白身魚の旨味がとても濃かったのです。
私が今まで食べた白身魚の中でも1,2を争うといえるほどの強い旨味が口いっぱいに広がりました。
今回食べた魚は漁獲した日に頭と内臓を取って、キッチンペーパーでくるんで4日間冷蔵庫に入れていたのを捌いたものでした。
4日間置いたことで熟成して旨味が強くなったのだろう、と思う向きもあるかもしれませんが、それだけにしては強すぎるほどの旨味でした。

これは熟成していない獲れたての味をぜひ検証したいものですが、先ほど書いたようにこのメイタガレイは我々の網にはそうそう入らないのがもどかしいところです。
唐揚げにした中骨はパリパリ、身はホクホクでおいしく、
煮付けは味よく身離れよくパクパクと頂けました。
刺身が際立っておいしかったものの火を通したものは普通のカレイと同じおいしさでした。
ここが少し不思議なところで、刺身が特筆級においしかったのに火を通すと普通の味になってしまうことなんてあるんだろうか?と我ながら疑問に思います。

味に関しては次があれば試食の仲間を増やして検証したく思います。

この今が旬のメイタガレイ、スーパーなどでは見かけないでしょうが、釣り人なら是非とも狙う価値のあるおいしい魚と断言できます。

2026.7.17 ギマの味

スズキ漁が本番の夏ですが、漁獲は数トン獲れる日があれば数百キロしか獲れない日もあり、波が激しく素直に好調とは喜べない感じです。

今回はギマについて書きます。

私は10年前にギマを一度食べたとき、味が全くしなかったので興味を失い、それ以降はこの魚を相手にしませんでした。

しかし二週間ほど前に網に入った大きなギマが何となく気になったので持ち帰って食べたところ、甘くておいしかったのです。

そこでギマを再評価するべく、丁寧に鮮度よく持ち帰って調理することにしました。

味の比較をするために活締めと野締めを用意しました。

活締めと野締めの刺身と塩焼きを作りました。

まずは焼き立ての熱い塩焼きを食べたところ、淡泊ながらもおいしかったです。

これは刺身もおいしかろうと、まずは活締めをウキウキしつつ食べたところ、、、

味がしません。

うそでしょ?と思い二切れ、三切れと口に運び、真剣に噛みしめ、ワインのテイスティングの如く口の中で転がしまくって少しでも味を感じようと試みましたが、、、

無味。

ほんとに何の味もしません。

ただ、歯応えはとても良いです。
噛みしめるたびに柔らかく優しく歯をはじき返す弾力が心地よい。

味がないと書きましたが、醤油をつけているので醤油の味だけはちゃんとします。

無味の弾力性がある薄切れの物体に醤油をつけてひたすら噛みしめるという、なんとも不思議な体験をしました。

私ひとりの味覚ではあてにならないので翌日、仲間2人に試食してもらったところ、2人ともに「全く味がしない」との評価でした。

結論、今回のギマは味がしませんでした。

初めに食べた塩焼きがおいしいと感じたのは、もしや私が使った塩がアジジオだったせいで、旨味が足されていただけだったのかもしれません。

前回のギマは本当に甘くておいしかったのです。仲間1人にも食べてもらい、「甘くておいしい」と評価され、こんなにおいしいならギマを今後は売れるかも?と胸を躍らせながら今回の試食に臨んだのです。

邪魔なトゲをニッパーで切り、キッチンの排水溝を詰まらせるほどの大量のヌルを処理し、ヌルが身に付かないように周り中を丁寧に洗ってからやっと捌き始める。
そんな手間をかけた結果が「無味」です。

今回のギマの試食は残念な結果となりました。

しかしながらまだ思うところがあるので、またいずれギマについて書こうと思います。

 

2026.6.30 台風一過の海  ギマの刺身

台風7号と8号が1日で関東を通過しました。


1日に2つも台風が通過するなんて中々ないことだし被害が大きそうでこわかったですが、結果的に台風がそれほど強いものでもなく、関東周辺はそこまで大きな被害はなかったようですね。

台風通過後は通常、しばらくは出漁しません。


うねりが残っていたり、大雨で川から真水が流れ込んでくるせいで海の潮流が滅茶苦茶になったり漂流物がすごかったりと、まともに漁ができないからです。
しかし今回、親方は思うところあり出漁しました。

画面が小さいので分かりづらいとは思いますが、これが台風直後の海です。



漂流物だらけだし川から流れ込こんだ土砂で抹茶色です。


しかし上の漂流物の大半は竹のような軽い物体で、船にぶつかってもたいしたダメージはありません。

問題は下の写真です。
海面にちょっとした物が浮いているよう見えます。


拡大すると、直径40cm、長さ3mくらいの流木ということがわかります。



流木は水に浮きこそすれ重くて硬く、全速航行中にこんなものにぶつかると船体やプロペラに大きなダメージを受けます。

昼間なら船首の見張りが気付くでしょうが、月明かりのない夜にこんなものは発見できません。

台風直後の海はこんなものがそこら中にあるので、航行するだけでも危険なのです。

しかし今回は親方の考えが上手くあたり、トラブルもなく漁獲も好調で良い漁ができました。

話は全く変わりますが、大きなギマか網に入りました。

ギマは10年前に記事にしたことがありますが、強靭なトゲを持ちネトネトの粘液を出し売り物にもならない、我々の漁には害しかない魚です。

今回ふと手にしたギマが、身が太っていて何となく気になったので持ち帰り刺身にしたところ、なんとも甘くておいしかったので驚きました。

10年前に記事にした時にも食べたのですが、その時はなぜか全く味がしなかったのですが。

今回はこれくらいにして近々ギマについてまた書こうと思います。

2026.6.16 いろいろなカレイ

四月からは近場でコハダ狙いの漁をしていましたが、そろそろコハダの需要が下火になってきたので、漁場を少し南まで広げて他の魚種を探ることにしました。

東京湾は南に行けば行くほど網に入る魚種が増えます。

この日、一回の網で四種類のカレイ目(かれいもく)の魚が入りました。

1番はイシガレイ。
イシガレイは背中の部分に非常に硬い突起があり、この特徴さえ知っていれば間違いようがありません。
このイシはとても固く、下手をすると包丁の刃が欠けるので、捌くときには注意が必要です。

2番はマコガレイです。
私としては外見的に「The・カレイ」と呼びたくなる、標準的なカレイの形をしていると思います。
私が漁師になった25年前にはよく見かけましたが、ここ十年くらいは巻き網ではあまり見かけなくなりました。

3番はウシノシタです。
正式名称はクロウシノシタですが、フランス料理で「シタビラメのムニエル」として出されているのがこのウシノシタです。
シタビラメと呼称されてはいますが分類学ではカレイ目ウシノシタ科なので、カレイの仲間として扱っています。
とてもおいしい魚です。

さて最後の4番目ですが、正体不明です。

体表がやけに荒れていますが、これは網でこすれてしまったのか元からこうなのか、わからないのです。
体型はカレイの標準型に比べ菱形っぽさが強く、イシガレイでもマコガレイでもないと思います。

そこでこの4番の写真を切りぬいて画像検索してみました。

すると、「全体的に黒いのでカラスガレイです」
と判定されました。

なるほどと思いつつカラスガレイの写真を検索してみると、この4番とは似ても似つかぬ細長いカレイでした。

カラスガレイではないのは明らかなのでもう一度4番の写真で画像検索をかけてみると、今度は「これはナメタガレイです」と判定されました。

そこでナメタガレイの写真を調べてみると、これまた4番とは体型が全然違うカレイでした。

同じ画像で同じアプリで検索したのに、一回目と二回目で全然違う結果が出ました。

じゃあもう一度検索したらどうなるのかと試したところ、

「これはクロガシラカレイです」
と言われました。

どないなっとんねん。

まあ、ピンボケ気味でハッキリしない写真だからしょうがないですね。
次に4番のカレイが獲れたら、その時は丁寧に写真を撮り、特徴も把握して何カレイか調べることにします。

 

2026.5.30 コハダとサッパ

暑くなってきて例年であればスズキ漁に活気が出始める時期なのですが、今のところスズキの売れ行きがよくありません。
常磐や日本海側などあちこちでスズキが多く揚がっているからのようです。

なので今はコハダ漁をしています。
ありがたいことにそこそこ獲れており、スズキが売れない代わりになってくれています。

コハダ漁をしているとサッパも網に混じってきます。

サッパというと岡山県の郷土料理の「ままかり」が有名ですが、東京湾にもけっこう生息しています。

先日、ある釣り公園のサイトを覗いていました。
そこには釣り人が自分の釣果を写真付きで載せるコーナーがあり、それを見ていたところ、
「コハダが大漁!!」というタイトルで大量のサッパが写っている写真がありました。

投稿したのは釣りの初心者なのか、コハダとサッパを間違えて覚えてしまっていたようです。

でもその間違いもわからなくはありません。

こうして並べてみれば違いはハッキリとわかります。
背中に点線が並んでおり、背びれの一部が長いのがコハダです。

しかし魚の模様って、小さい頃は大きなものと比べて不鮮明だったりします。

上の写真の上の魚を、瞬時にコハダかサッパかを言い当てるのは私には難しいです。
(正解はコハダです)

背中の模様と背びれの他の違いといえば、あとは顔つきです。

どの写真も上がコハダで下がサッパです。
コハダの口は下方向に開き、サッパの口は上方向に開きます。
この口の開き方の違いのせいで、アゴのラインがコハダとサッパで異なります。

とまあ、違いはあるのでじっくりみれば判別は難しくはありませんが、一番最初に間違って覚えちゃったらそれはもうどうしようもないですね。

2026.5.16 初漁の一番目

4月いっぱいの整備期間を終え、5月6日に1カ月ぶりの漁に出ました。

毎年の事ですがこの一カ月ぶりの出港の1番目の網を張る時、私はとても緊張します。

私達の使う全長750メートルの網(あみ)には、揚網(ようもう)作業の為に100本以上の綱(つな)がついています。その綱ツナは網アミの補修の際に全部取り外し、補修が終わってからまた取り付けます。

取り付けの際にこの綱ツナの取り付け位置や順番を間違えて絡まったりしてしまうと、網アミを張る時に大きなトラブルを起こし、網アミが切れてしまうおそれがあります。

逆網(サカアミ)の綱ツナの取り付けは私の仕事です。

1カ月かけて新品同様くらいにきれいに仕上げた網アミを私のミスでビリビリに破いてしまったら、もう当分の間立ち直れません。

取り付けにミスがあったかどうかは網を張るまでわからないので、1回目の網がトラブルなく揚がりきるまで、私はいつも落ち着きません。

まあ私が心配性なだけでそんなトラブルはそうそう起こらず、無事に初日の漁を終えました。

初日はスズキとコハダがほどほどに漁獲でき、その後も海の様子はそれほど悪くありません。
しかし例年に比べて魚の売れ行きがかんばしく無いうえ、更に中東情勢の悪化の影響もあり漁にはまだ活気が出てきません。

中東情勢の影響とは船の燃料費は言うに及ばず、我々の商売に必要不可欠な発泡スチロールの値段が3割以上もあがってしまったことです。

鮮魚を出荷、販売するうえで必需品の発泡スチロール、原料は石油です。
スズキにしろコハダにしろ他の魚にしろ、水揚げした魚は殆どの魚種を港で発泡スチロールに詰めてから市場に出荷します。

発砲スチロールの費用はこちら側(水産会社)持ちです。
つまり魚の卸値に含まれるわけですが、ただでさえ魚の売れ行きがよくないのに発泡スチロールの値上げ分を転嫁しようものなら、一層売れなくなってしまうでしょう。

天井まで高く積み上げられた大量の発泡スチロールですが、魚種と漁獲量次第では2回の漁で使い切ってしまいます。

必需品の値上がりは本当にどの業界にとっても死活問題ですし、早く落ち着いてほしいものです。

2026.4.30 整備期間終了

今月の整備期間で船の整備と網の補修が終わりました。

整備期間は船から網を全ておろし、船の整備と網の補修をそれぞれやります。

上の写真は二隻の船を後方から写しています。
左側のサカアミは網をおろし、右側のマアミは網を積んでいます。

2隻の網船から網を全部おろすのはかなりの手間がかかる為、この整備期間以外では滅多にありません。

なので船の整備も網の補修も、この時しかできないことをやれる良い機会なのです。

整備期間を終え5月からは我々にとっての新年度的な漁が始まりますが、今年はどんな漁になるか楽しみです。

この写真ではたいした量には見えませんが、右の真網に積んである網は全長350メートル、深さ100メートルに届く大きさの網です。

2026.4.19 綱(つな)の保護 「せる」効果

船にロープはつきものです。

使用箇所によっては頻繁に擦れる(こすれる)場合があります。

そのような箇所には擦れ防止の補強をします。

それが「せる」という作業です。

以前「走りモヤ」製作の記事中で紹介した例はロープに細いヒモを巻いて(せって)保護しました。

この時は保護する範囲が少しだったので紐を使いました。

しかし広範囲を保護する場合には細い紐でせっていくのには手間がかかるし、紐の使用量がかなりの量になってしまいます。

そこで目の細かいアミを使ってセルやり方があります。

上が普段私たちが使っている11節という網ですが、これでは目が大きすぎるので下の網を使います。
下の網は私たちの漁では使うことが無く、そして中古で網の目が縮んでしまっているので正確な目合い(網の目の大きさ)がわかりませんが、26節くらいかと思われます。

網を適当な大きさに切って二つ折りにし、それを保護対象に巻き付けます。

この保護の効果を写真に撮りました。

4年間使用し痛んで交換した走りモヤです。

せってある網を取り除きました。包丁の切っ先の左側がせってあった部分です。

全く無傷です。

こんなことなら走りモヤ全体をアミでせってしまえばかなり長持ちすると思われるでしょうが、そうもできないのです。

理由は、せった部分は曲げづらくなってしまうからです。

この走りモヤは網を張っている時には上のように丸めて船上に置くのですが、モヤ全体をせってしまうとこのような曲げ方はできなくなってしまいます。

船上は狭いので丸める以外に置き方はないので、モヤをせることは諦めるしかありません。
一つのアイディアとしてはこのモヤが擦れる船の部分に当て布をすればモヤへのダメージが減りますが、あまり現実的ではありません。

なにか安価で簡単な保護の仕方ってないもんですかね。

2026.3.31 今の時期のコノシロのパワー

三月の漁が終了しました。

四月は整備期間で、船の整備と修理、網全体の補修を一気に仕上げる為、沖には出ません。

五月からまた漁に出ますがその頃にはスズキ漁に切り替えるので、冬まではコノシロを狙うことはありません。

三月最後のコノシロ漁の一幕です。

今の時期のコノシロはかなりのパワーがあります。

私達は常に、網の中の魚の重量を気にしています。
魚を運搬船に積み込むために網を締めこみながら、手ごたえからどれだけのトン数のコノシロが入っているのかを予測します。

その予測が、去年の冬と今の時期ではかなりズレるのです。

冬の時期の予測はほぼ当たるのですが、今の時期、去年の冬と同じ感覚で網の中の魚の重量を計ろうとすると、実際の漁獲は予測の三分の二、下手すると半分しかないということが起こります。

網を締めこみながら「この重さなら20トンくらいは居るな」と思っていたら、実際に運搬船に積んだら12トンくらいしかなかった、ということがしばしば起こります。

冬場に比べてコノシロの量が少ないのに網が引き込まれるということは、コノシロ自体のパワーが増しているのでしょう。

産卵期が近くなってきて餌をたくさん食べ、体も大きくなることで個体ごとのパワーが上がっていると私は考えています。

しかしこの理屈が正しいならば釣りをする人の間で、コノシロに限らず「産卵期が近い魚はパワーが強いから引きが強くて楽しい」という話がありそうなものですが、旬によって魚の引きが変わるという話は私は聞いたことがありません。

まあ私が釣りにあまり詳しくないだけかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうね。

2026.3.19 アカクラゲ出現

アカクラゲが漁場に増えてきました。

先月までは全然いなかったのに、今はもう直径が15cmはある成体に近い大きさのものが網に入ってきます。

今の時期は夏に比べるとまだ毒を強く感じないので、我々への被害は大したことがありませんが、コノシロと一緒の網に入ってきてしまうのがやっかいです。

コノシロの群れの中のクラゲを手作業で取り除かねばならないからです。

時間も手間も、余計な苦労がかかります。

また運搬船にコノシロを積み込む際にクラゲが混じっていると、なぜか氷の効きが悪くなってしまうので、鮮度落ちが早くなってしまいます。

なのでクラゲが混じった魚を持っている場合は、普段より帰港を急がねばなりません。

クラゲはこのように鮮度を悪くする上に取り除く手間暇がかかり、我々にはなんのメリットもありません。

なにか、クラゲだけ退治してくれる特効薬みたいなものが開発されませんかねえ。

なんて妄想をすることがありますが、もし仮にそんなものができたとして、いざ使用して東京湾からクラゲが消え去ってしまってしまったら、それはそれで生態系のバランスが狂ってどこか予想もつかないところからしっぺ返しがきそうな気がします。