スズキ漁の網にソウダガツオが混じって獲れました。
この魚は基本的には東京湾には居ませんが、年に数回、数十尾程度の単位で網に混じってきます。
鮮度落ちに厳しい魚なので鮮魚として売られることはあまりなく、知名度は低めかもしれません。
ひとことでソウダガツオと言いましたが、じつは「マルソウダ」と「ヒラソウダ」という二種が居り、両種の外見はとても似ているので普通の方には区別が難しいと思います。
上の写真はマルソウダです。
マルソウダとヒラソウダは一緒の網に入ることも多いのですが、今回はマルソウダしか居なかった為、外見の比較と見分け方はいずれヒラソウダが獲れたときにします。
さてマルソウダですが、漁獲されたものはほぼ「ソウダ節」に加工されます。
この魚は肉に血合いの部分が多いのです。
三枚におろしたところですが、身が真っ赤です。
血合い部分は生食ではきつくとも、加工すると今度はそれが濃いうまみのコクに変化しておいしくなるようです。
このマルソウダの血合いの多さは食中毒の一因にもなります。
血合いにはヒスチジンという成分が含まれているのですが、漁獲後に適切な温度管理をしないとこれがヒスタミンという成分に変化してゆき、このヒスタミンを多く摂取してしまうとヒスタミン中毒になってしまうのです。
食中毒というと怖いですが、症状としては顔の紅潮、蕁麻疹、吐き気、下痢、などがありますが、重篤化は滅多にないようです。
そもそもヒスチジンはアジ・サバ・イワシ・マグロなどにも普通に含まれており、過剰に恐れる必要はないかと思います。
ヒスタミンは一度生成されてしまうと加熱では破壊できないので、鮮度管理のなっていない魚にはそもそも手を出すべからずということですね。
今回私は刺身で食べました。
血合いの色は濃くとも血の臭みは全くありませんでした。
味は普通のカツオと同じですがややあっさりしており、脂はそれほどなく初ガツオに近い感じです。
特筆すべきは食感で、なんとももっちりと舌にまとわりつくような感じで面白くここちよいです。
小料理屋のマスターによると生姜を効かせた煮付けもこたえられないそうです。
漁師か釣り人でなければ入手は難しいかもしれませんが、もし機会があれば是非あじわってもらいたいと思います。
ヒスタミンですが、多量に含まれている物を口に入れると舌がピリピリとするらしいです。
何の魚を食べている時でも、薬味もいれてないのにピリピリしたらヒスタミン中毒を警戒する、という知識を頭の片隅に置いておくといいかもしれませんね。