今年はコハダ漁が好調で、例年ならとっくにスズキ漁に移行している今の時期でも、まだコハダを狙っています。
このコハダの群れにサッパがごくわずかですが混じってきます。
サッパについては去年の2月に記事を書きましたが、その時は私たちの漁場には殆どいませんでした。去年の記事↓
しかし今年は、少ないとはいえ網を張ればいくらか獲れる程度には居ます。
回遊か発生かわかりませんが、魚の出現は全く読めないものです。
今年のサッパにはなかなか大きいものが居ます。
しかし今年は15~16cmと、サッパとしてはなかなかの大型が混じります。
偶然かもしれませんが、1cm大きくなる毎に約10グラム増えていくのが面白いですね。
今回、新鮮なものを30尾ほど先輩から頂いたので、調理しました。
最初は普通に酢締めにする、いわゆる「ままかり 酢漬け」にしようと思っていたのですが、ちょっとレシピを調べているうちに、いつの間にか酢漬けが頭からすっぽりと抜け落ちており、気付けば「サッパ焼き酢漬け」と「サッパのアヒージョ」が完成しておりました。
焼き酢漬けにした一番大きなサッパを食べたところ、中骨は溶け切っておらずに肉の中にあり、骨をかみ砕く感覚はありました。
まあでもそれは例えるならサバの缶詰の骨に近く、魚好きな人ならば気にならない程度です。
アヒージョの腹骨は全く気になりませんでした。
味の評価は、おいしいです。
おいしいといっても、御馳走ではなくお惣菜的な普通のおいしさですが。
ところで。このサッパの味についてですが。
このサッパを「ままかり」と呼び名産物としている地域があり、
そして「ままかり」の名の由来が、オカズにして食べるとあまりにおいしすぎて自家のご飯を食べつくしてしまい、隣家にご飯を借りに行かねばならないから、という説が代表的なのをご存知の方も多いでしょう。
これが私には不思議に思えるのです。
「飯借り」なんて、ご飯のオカズとしては最上級の呼称だと思います。
老若男女問わず1年を通して毎日必ず食べるご飯、毎日のことだから自分の食事量などわかりきっており、それに合わせてご飯を炊いている筈です。
それが足りなくなるだけならまだしも、さらに隣家に借りに行かせるほどの力を持ったオカズということです。
そんな「ままかり」というネーミングがなぜ、他に数多あるおいしい魚をさしおいて、サッパみたいな地味な魚につけられたのか?
別にサッパを貶めたい訳ではありません。
サッパはそれなりにおいしい。
しかし、しかしですよ、サッパ食べて感動して隣家にご飯を借りに行く人なら、他のどんな魚を食べても結局はご飯を借りに行くのではないか、と思えて仕方がないのです。
ここで私が考えたのが、「ままかり」とは「土用丑の日」みたいなものではないかということです。
「土用丑の日」とは江戸時代、夏場の売り上げ低迷を嘆いていたウナギ屋に、平賀源内がアイデアを与え売り上げ増加につなげ、現代にまで残っている販売促進戦略の見本のようなものです。
「ままかり」もこのように、あまり人気がなかったサッパを誰かが商品化しようとして名付けたら、意外やその名が実態以上に広まって人気を博した、という説はどうでしょうか。
商品名なんて先につけたもの勝ちですしね。