2021.3.13 ほうらん

4日に今期初の漁にでました。
3月に入ってすぐに、大事なポジションを担うメンバーがイレギュラーで辞めてしまい、少々厳しいスタートになりました。
来月には高校を卒業したての若者が二人来る予定ですが、彼らが戦力になるには時間が必要でしょう。
しばらくは慌ただしい操業になりそうですが、とにかく怪我のないようにやりたいと思います。

漁の模様は、コノシロとコハダがそれなりに獲れています。


出漁前に仕入れた情報では、コノシロはもう抱卵している(卵を持っている)から売り物にならない、と言っている人がいました。
売り物にならない理由は、卵を持っていると栄養が全てそちらにいき、身はおいしくなくなるから、というのが通説です。
私はこの説には疑問に思うことがあるのですが、それについてはまたの機会に書きます。
今月に入って実際に漁獲したコノシロは、卵も白子も持っておらず、しかも丸々としていました。

放卵(卵を産んだ)後ならば、痩せてもっと細くなるはずなので、これは抱卵前の魚ということになります。

ここで書いていてモヤモヤするのが、「ほうらん」という言葉です。
卵を抱える、いわゆる子持ちになる「抱卵」と、卵を産む、放つ「放卵」。
意味は真逆なのに発音は全く同じで、じつにややこしいです。

普通に会話している時に同音異義語が出てきても、会話の脈絡や発音の抑揚からどの言葉を使っているかの判断はだいたいできますが、この「ほうらん」はどちらの意味か把握できません。
放卵は水中に卵を放つという意味に限定されるようで、特に魚や水生動物に使う言葉のようです。
以前に書きましたが「荒天」「好天」も同じく、真逆の意味で発音が同じ、紛らわしい言葉ですね。

と、ここまでの文章を5日に下書きしておりました。
その時点でのコノシロは卵を持っていなかったのですが、11日に漁獲したコノシロは小さいながら卵を持ち始めていました。
どうやらこれから卵は大きくなっていくようです。

この11日のコノシロは刺身にして食べましたが、普通においしかったです。
これから卵の成長とともに身の味は大きく変化していくのか、漁獲したら毎回食べて検証しようと思います。