2018.8.30 アカエイ 毒針編

今回はエイの針と毒について書きます。
毒針は、平たい体から伸びているしなやかなムチのような尾っぽ、その真ん中あたりにあります。
この写真では半分剥げていますが、通常は黒い粘膜状のもので覆われています。そしてこの黒い粘膜に毒を作り出す組織があるようで、要はこれが毒です。ただこの毒、指で触っても痛くもないしシビレもしません。刺されて体内に入った時から効力を発するようです。

ではまず、針の形状を見ていきます。
写真の上方向が針の先端で、そちらから敵に突き刺さります。拡大してみるとこのように、両端に刺突方向とは逆向きに細かな刃が隙間なく並んでいます。
これは一見、針を刺した時に抜けにくくする為の「カエシ」のように見える為、カエシと解説している文を多く見かけますが、私は少し違うと思います。私は三回刺されたことがあり、刺された時の感覚を覚えています。
この形状は刺突時の抵抗を小さくしてより深く刺さるようにし、引き抜く際には周囲の筋肉組織をひっかけて外にえぐりだし、かつ細かな刃で傷口を荒らすという働きをするのです。
これは、鋭利な刃物でスパッと切った傷はすぐにくっついて治りが早いのに対し、ノコギリなどでギザギザに切れた傷はくっつきづらくなかなか治らないということを利用し、敵により大きなダメージを与える仕組みになっているわけです。
この針は鋭いうえに強靭です。以前、仲間が毒針を真上から踏んでしまったことがありますが、長靴の分厚いゴム底を貫いて足裏に深く刺さりました。
エイの毒針に対しては、服やウエットスーツは全く意味がありません。
唯一の救いは、こちらから手を出さない限りエイから襲ってくることはあり得ないことです。

それでは実際に刺されるとどうなるか。私の体験談です。
私がエイに刺された瞬間、、、
☆針がドスッと刺さる
☆グニグニと針をねじこんでくる
☆何かが針の先から体内に注入されるような感覚がある
☆左右に振りながら抜いていく
これらが一瞬で感じられます。

エイは毒液を注入するスタイルではないからこの感覚は理屈に合わないかもしれませんが、しかし私は実際に感じました。これは他の刺された仲間も同じ感覚があったと言っています。

まずこれが痛みの第一弾です。針に刺された肉体的痛みです。
だいたいの人がここで大きな声をあげるので、エイにやられたなと周りも気づきます。
この刺された痛みは一瞬のもので、それから数分くらいは、傷口は軽く麻痺した感じでたいした痛みはありません。
しかし10分も経つと毒が効いてきます。なんというか、神経を握りつぶされるような、表現しがたい重い痛みが襲ってきます。
もう、仕事なんかやってられないほどの耐え難い痛みです。

エイ毒の対処法は火傷しない程度の熱いお湯に患部を浸すこと。これで痛みはだいぶ和らぎます。しかし十分ほど漬けてもう痛みがなくなったからとお湯からあげると、途端にまた痛み出します。
私の場合、お湯から出しても耐えられるほどに痛みが治まるまでには、約二時間半から三時間ほどかかりました。
だいたいこれくらで毒の効力は消え、あとは刺し傷の痛みが残るくらいです。
(これはあくまで私の場合です。
刺された人の体調や耐性、刺された部位、深さ、刺したエイの大きさ等々、被害状況は全く異なるのですから、エイに刺されたらとにかく医師の手当てを受けるべきです。)

ところで、東京湾にはトビエイというのもいます。

アカエイに比べると網に入ってくる数は少ないのですが、
コイツは毒針を通常で2本、まれに3本も持っています。

一本でも十分に強力な毒針を三本も装備するなんて、コイツはいったい何と戦っているんだろう。。。