2017.11.30 コノシロ漁

現在、コノシロ漁をやっております。
海の様子は前回書いた時からたいして変わっておらず、近場でタチウオやサワラが獲れはするのですが、それらはいかんせん量が少なすぎて商売になりません。
コノシロは単価は非常に安いですが今くらいの時期にはまとまって獲れるので、その安さを補う量を確保することでなんとか商売になります。具体的な数量は書けませんが一回の出漁で数十トン獲ります。
これがなかなかキツイ仕事です。
夏場のスズキ漁の場合、一回の網に入る魚の量はせいぜい数百キロ程度で、網数を一日に十数回張ることで量を獲ります。
それに比べてコノシロ漁は一回網を張るだけですが、その一回の網の中に数十トン入ってしまいます。

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直径150メートルくらいの円形に張った網を写真のようになるまで小さく絞り込み、魚をタモですくえる状態にするのが網船の役目です。ある程度機械は使うものの最終的には人力なので、網をつかんで船に引っ張りあげる作業で前腕はパンパンになります。
そして大量の魚を運ぶ運搬船ですが、魚の重みで操船が普段よりずっと難しくなります。急な増減速や転舵をすると、積んでいる魚が遠心力や慣性で移動し重心のバランスが崩れ、ヘタをすると船が転覆する恐れがあります。そのうえ東京湾は大型のタンカーや客船、その他にも大小様々な貨物船などの交通が多く、大きな引き波が前後左右から不意に襲ってくるので、帰港するまで気を抜く暇がありません。
遠い漁場からだと魚を積んでから港に着くまで3時間くらいかかるし、日が沈んで辺りが真っ暗な中で航行する時もあります。
運搬船もほんとうに大変です。

このようなコノシロ漁を何回か続けた結果、11月としては例年を大きく上回る漁獲高になり、親方は慰労の飲み会を開いてくれました。
さて、明日からもう12月です。例年だと12月は稼ぎになる魚は殆どおらず、消化試合のような月です。
でも今年は色々と例年と違います。
コノシロはまだ獲れるか、また需要は続くか(需要がなくなれば単価は暴落し、獲る意味がなくなる)、それとも他の魚が獲れるか(その可能性はほとんどない)、もしくは獲れずに今年の漁は月の半ばくらいで終了になるか。どうなることやら。