投稿者「daiheimaru」のアーカイブ

2020.7.13 時化続き

七月になってから強風が続き、2週間出漁していません。
ここ最近、海の荒れる日が昔に比べ多くなっています。

去年の10月には台風とその余波の影響で、実に3週間連続で時化たことがありました。

こんなに時化ばかりで会社はやっていけるのか、と疑問に思われるかもしれませんが、私には内情は全くわかりませんが、今までちゃんと存続してきたのだから、なんとかなっていたのだろうと思います。

スズキを獲り、年によって魚種に変化はあるものの回遊魚を獲り、混じりの魚もしっかりと獲り、と、それを一年を通してトータルでならせば、ちゃんと採算はとれているのでしょう。
去年の10月以降を例に挙げれば、11月から翌年にかけてコノシロが前例のないほど獲れ、時化や不漁をいくらか補ってくれました。

ただやはり、私たちの漁獲のなかで一番の稼ぎ頭はスズキであり、トータル水揚げの中で大きな割合を占めています。
そのスズキの相場が、今年は全く振るいません。
もちろんコロナのせいで売れないのが理由です。

これは非常に由々しき事態であるといえます。

まあ、もうわかりきっているし愚痴ってもしょうがないし、なんとかスズキを売るうまいアイデアを出すしかありません。
思ってはいますが、なかなか浮かびません。
まあね、コロナなんて関係なく、昔から私よりはるかに頭の良い人たちがずっと考え続けてきた結果が今現在のやり方なわけだし、そんな簡単に良いアイデアが浮かんだら苦労はないですな。

というわけで思考から逃避してとりあえず目の前のできる仕事をやっておこうと、漁に使う道具の手入れをし、いたんでいたワイヤーを直しました。

途中からですが、ワイヤーの端に輪を作る作業です
ワイヤーは6本の鋼線と1本の繊維綱からできており、それをばらしてから編み込みます
編み込みは完了し、残すは6本の鋼線の端の処理 
端をワイヤー本体の中に入れ込み、これで完成
だいぶ使い込んだワイヤーなので固くなっており、あまりきれいにできてません
拡大なんかして見ちゃイヤですよ!

ちなみにワイヤーの編み込みは国家検定がありますが、このやり方は昔のベテランに教わったもので国家検定のやり方とは違います。
充分に実用に値するし、このやり方は網にひっかからないので私たちには適しています。
またいずれワイヤーについては書こうと思います。

2020.6.29 赤い海とアヤ

アカクラゲがすごいです。
まあ、もうここ数年、発生量が大幅に増えているのはわかっているので驚きはしませんが、やはり困りものです。

網の中が真っ赤です。

網から魚をすくうためにクレーンで大きなタモを使いますが、入るのはアカクラゲがほとんどです。


この大量のアカクラゲの中から、ビチビチはねるスズキを急いで拾って活魚水槽に入れねばなりません。
毎度のことですが大変です。
ここひと月ほどは出漁する度にそんな漁模様だったのですが、先日、大雨が降った次の日に出漁したとき、海の様子が一変していました。

アカクラゲがほとんどいなかったうえに、サバがなかなかの量、獲れたのです。

魚を網から船に揚げる作業は、スズキに比べるとサバはかなり楽です。
スズキの場合はオオダマから運搬船の甲板に一度おろし、クラゲや混じりをよけながら人力で一匹ずつ拾わねばなりませんが、サバの場合はカメという大きな入れ物に一気に入れてしまえるからです。

楽といっても、氷の量、魚と氷と水の撹拌、さらに氷水の温度をさらに下げる塩の使用など、難しい判断箇所はたくさんあるのですが、それでもスズキと比べるとサバは楽なのです。

そしておもしろかったのが、この日、船にお客さんが乗っていたことです。趣味のカメラマンのようでした。
これが「アヤ」です。

アヤとは以前に書きましたが、縁起担ぎみたいな概念に近いものです。

船に知らない人が乗ってきたときに、その日の漁の様子が良ければその人はアヤがいいと喜ばれ、不漁だったらアヤが悪いと嫌われてしまいます。
今回のお客さんはかなりアヤがいい、ということになります。

「アヤ」なんて私からすると非科学的で迷信にしか思えない概念なのですが、しかし、話をしていると現役で腕のいい漁師でも結構本気でアヤを気にする人がいます。

しかしやはり、今回の例みたいに海の様子が一変するような状況を実際に経験し、それが毎回とはいわずとも客が乗った2、3回に1回の頻度で起こると、なにかしら超自然的な力というか、そういうオカルト的なもの信じる人の気持ちもわからんでもない、という気分になります。

歳をとるってこういうことかも。

2020.6.15 東京湾アラート

アカクラゲの季節です。
どこで網を張っても必ずアカクラゲが入ります。
網の中は真っ赤です。

私たちがアカクラゲから受ける被害については過去に書いていますので、そちらをご覧ください。

今の時期はフェイスシールドが必需品です。

以前は自作したりネットで注文していましたが、コロナ対策に有効と認知されたことで近所のホームセンターなどでも売られるようになりました。
大量生産の恩恵を受けて安く入手できるようになればありがたいです。

そういえば東京のほうでは、夜に橋を赤くライトアップするショーが行われていたらしいですね。
え、ショーではない?
アラートですって?
アラートで橋を赤くするって、なんの意味があるの?
赤は危険っぽい色だから?

そんなこと言ったら、完成時から真っ赤っ赤な東京タワーさんの立場はどうなるの?
ねえ、東京タワーさんの立場は!?

まあ冗談はさておき。

アカクラゲの毒は痛いけど、まあ対処のしようはあります。
今の私達には、コロナに起因する経済の低迷がまさに死活問題です。
一刻も早い終息を望むばかりです。

2020.5.31 でかい太刀魚

大きな太刀魚(タチウオ)が網に入りました。

悔やまれることに魚体の採寸・計量をしなかったので具体的な数値を提示できないのですが、私が今までに見たなかでも最大のサイズです。

太刀魚は大きいほど単価が高くなるので、このサイズだと通常なら1尾で10000円以上します。

通常とは、コロナ前のことです。
今回獲れた太刀魚は、コロナ前に比べて半分の値にしかなりませんでした。
しかし半値ならまだマシなほうで、私たちのメインターゲットのスズキは半値どころではない値下がりをしています。

世間からの評価は市場価格に反映されますが、特に今の世情ではそれが顕著に表れます。
手ごろな価格の大衆魚は普通に売れていますが、お出かけ向きの高価格帯の魚は需要が低迷し、大幅に値下げしてやっと売れる状況です。

魚価の回復を願うばかりですが、収束の兆しが見えたかに思えたコロナの数値が、最近は微増の傾向にあるようだし、まだ明るい展望が開けたとは言い難いと思います。

ここはやはりですね、アフターコロナのニューワールドスタンダードのマーケットにおけるシーバスのニーズをクリアにキャッチするというイシューについて、我々フィッシャーマンがワンチームとなりイニシアティブをとってイノベーションを起こすべくコミットするスキームをサジェストするものでございます。

何を言っているかわからないですって?
大丈夫。
私もわかってない。

2020.5.17 魚が売れない

魚が売れません。
例年だとスズキの相場があがり始め、夏本番に向けてエンジンがかかってくる時期なのですが、今年はとにかくスズキが売れません。売れても非常に安いです。

市場には自粛で行き場を失った高級魚があふれており、ただでさえマイナー気味なスズキはその中でかすんでしまっているようです。

高級魚はだぶついて市場価値が落ちている反面、アジ、サバ、イワシといった、いわゆる大衆魚は通常通り売れているようです。

イワシといえば二十数年前、東京湾にアクアラインができる前までは、これからの梅雨時期にかけてたいへん脂ののったイワシが豊漁だったらしいです。

今、会社の経営は日々悪化していると会長と社長に言われました。
神頼みはしてもしょうがないけど、イワシが回遊してきてくれないかと天に祈るような気分です。

明るい見通しが全くないので、せめて癒しになるような写真をのせます。

猫を枕にする猫。
この2匹は親子で、手前の枕にされているのが息子、気持ちよさそうに寝ているのがお母さんです。

2020.4.28 コノシロの酢締め

今月はまだ2回しか出漁していません。 
事情についてはコロナ禍の影響であると前回書きました。
それ以降、特に状況に変化はありません。

一週間まえに出漁した日ですが、3回網を張り、コノシロが少し入った網がありました。2~3トンほどいたと思います。
しかしその網には同時にミズクラゲとアカクラゲもけっこう入っており、結局船にあげることなく逃がしました。
理由は親方には聞いていませんが、選別の手間に対する利益があまりに少ないからだと思います。
小さい群れでも数多くそこら中に居るのであれば、網の回数を多くしてコノシロを溜めていくという手がありますが、その日はさんざんあちこちを探し回ってやっとそれだけの量だったので、その後に獲れる見込みがありませんでした。
中途半端な量のコノシロを持ち帰ると、輸送の手間などで逆にマイナスになってしまいます。

その日は最終的に、水揚げはゼロで漁を終えました。

しかし網に出口を作って魚を逃がしている時に、運搬船の船長が、コノシロを少しみんなのオカズ用にと獲ってくれました。
帰り際に欲しい者たちで分けたのですが、、、
60尾ありましたが、50尾も残ってしましました。
コハダだとみんなけっこう持って帰るのですが、コノシロだと
「う~~ん、、、俺はいいや」と敬遠するのです。
やはり骨がごついから、というのがその理由です。

今回のコノシロ  頭を落としても22cm
前々回の記事にしたコハダ・ナカズミ 頭つきで15~18cm

それで私が残りを全部もらったのですが、さばいてみたら白子や卵巣が発達中でした。どうやら産卵に向けて栄養を蓄え始めた時期のようで、しかしまだ栄養は身にまわっているという、一番おいしい時期の魚でした。
刺身で食べたときに、コノシロってこんなにおいしかったっけ?と思ったほどでした。

酢締めも作りました。
実は私、コノシロで酢締めを作るのは初めてです。
さすがにこんな大きな魚の骨は溶けないだろうと、思い込んでいたのでやらなかったのですが、結果は見事に成功でした。
ちゃんと骨は溶けて全く口にあたりませんでした。
ただし時間を計ったところ、骨を溶かすには1時間近く酢に漬ける必要があったため、コハダやシンコのような繊細な酢加減はできません。
それでも完成品は充分においしかったです。
今後は私、自信をもって皆様にコノシロの酢締めをお勧めしていこうと思います。

2020.4.18 自粛

今月に入ってから一回しか出漁していません。
春の嵐といった感じの時化の日が多かったこともありますが、ナギの日でも出ませんでした。
コロナ禍のせいで魚の需要が少ないうえに安いのです。
特に船橋の売りであるスズキが例年に比べ非常に安く、スズキがメインの底引き網漁船は皆で揃って一か月ほどの出漁見合わせを決めたほどです。

私たち巻き網船団には底引き漁船の自粛決定は関係ないので、出ようと思えば好きに出漁できます。
しかし、出漁はできるけどスズキは獲っても意味がないのは前述のとおりなので、狙うのはコノシロになります。
そのコノシロは冬をピークにどんどん漁獲が減ってきているのは前回、前々回あたりの記事で書きました。

要するに獲る魚がいないのです。どうすればいいのやら。

などと私ごときが書いていますが、本当に頭を悩ませているのは親方ですよね。
魚が獲れなければ一銭の稼ぎにもならないのに、乗組員には給料を出してくれていますので。
しかしこの状況ではそれもいつまで続くのかわかりません。

私たちができることはあまりありませんが、
「魚が東京湾から逃げ出すわけではないのだから、景気が戻ったら自粛した分を取り戻す気持ちで頑張ろう!」
と考え、体力を落とさず、体調を万全にすることが大事だと思います。
腕立て伏せにスクワット、タタミ1畳あればトレーニングはいつでも可能。読書もよし。
余った時間を知力と体力に変えて、事態しゅうそくに備えましょう。

2020.3.30 コノシロ終了?

コノシロがだいぶ少なくなりました。
いるにはいるのですが、群れが小さく一回の網で獲れる量が減ったうえ群れ自体も多くない。

思えば去年の11月半ばから獲れはじめ、12月、1月とコノシロとしては良い漁獲をあげることができたので、私としては充分ありがたい気持ちです。
季節が変わって海の様子も変化してきて、コノシロの群れを狙った網の中に、コハダやナカズミが混じるようになりました。

コハダ・ナカズミとはコノシロの成長前の呼び名です。
同じ網に入ったコハダ・ナカズミ・コノシロは、用途によって売り先と価格が大幅に違うので選別をします。

コノシロの中から皆で小さいコハダを拾っています。
この日のコハダ1キロ当たりの相場は、コノシロの30倍でした。

コハダは高く売れるのでありがたいのですが、需要はそれほど多くありません。
この写真を撮った日はコハダが多く入り、鮮魚として高価格を保って出荷できる量を超えていました。
こういう場合、超過分のコハダは加工屋にいきます。

ここで価値の逆転がおこり、コハダはコノシロよりも安くなります。
1尾の魚としてみればコハダよりコノシロのほうがお肉がずっと多いのだから、うなずける話だと思います。

こんな時は親方のお許しが出るので、もらって帰って酢締めにします。

50尾近くさばいて、塩を振ってしばらく置き、洗って酢に漬けて、とやっていくと、2時間以上かかっちゃいます。
手間はかかりますが酢締めはほんとうにおいしいです。やはりこんなことを考えつく昔の人はすごいとしみじみ思います。

問題はひとつ。作るのに時間がかかるけど、食うと一瞬でなくなっちゃうんだよね。

とまあ、とりあえず私たちは今のところ通常とたいして変わらず仕事をできていますが、これからしばらく先はどうなっちゃうんでしょう。
アメリカとイタリアの例をみるに日本においても今後、コロナの脅威は増す一方だと私は思います。

来月、再来月あたりも、能天気な記事を書きたいものです。

2020.3.18 コノシロ漁に群がる鳥

2月の整備期間が終わった後はしばらく強風で時化が続き、前回から数えると6週間ぶりくらいに出漁しました。
ありがたいことにコノシロが獲れたうえ、ありがたいことにそのコノシロはちゃんと売れました。

今月になっていきなり鳥が増えました。
これは網を張った直後の写真です。
カワウとウミネコが大量に寄ってきました。

この写真だとたいして多くは思えないかもしれませんが、実際に間近で見るとなかなかの数です。
不思議なのは、先月は鳥がこんなに集まることは全くなかったのに、今月になったら急に増えたことです。
まあ正確に言うと鳥の数自体は以前から多くいるのですが、網にこれだけ寄ってくるのが珍しいのです。

私は鳥のことは全然知らないので、もしかしてそろそろ繁殖期で餌をたくさん食べようとしているのか?というくらいしか考えつきません。
ちなみにこの鵜(う)ですが、けっこうかわいい顔をしています。

これは去年、なぜか陸で一羽だけウロウロしていた鵜の子供?
です。たぶん迷子にでもなっていたのかもしれません。
なんかかわいいから皆で魚をあげたのですが、サンマ1尾とイワシ4尾をペロリと丸飲みしました。
普通に生活しているぶんには鵜と接触する機会はまずないでしょうが、クチバシはけっこう硬くてとがっているので、触るときはご注意ください。

2020.2.29 網仕事

2月は出漁せず、船の整備と網の補修を行っていました。

ひとくちに網の補修といっても様々な作業がありますが、今回はキアミのセバについて書きます。
キアミとは新品の網のことで、セバとは網と網を縫い合わせることを言います。

なんだか細長いものが何本も地面においてありますが、これがキアミです。
キアミとは漢字で書くと生網だと思います。
親方が網会社に注文します。このキアミは長さが15メートル×3メートルあります。


私たちが漁に使う網は、長さ750×深さ100メートルくらいですが、これは小さな網をたくさん組み合わせることで出来ています。

網は使っていれば必ず切れたり穴が開いたりします。
網全体を構成するユニットを細分化すればするほど、修理の際に交換するユニットが少なくてすみます。

網を構成する穴を「目」といいます。
網の目は狙う魚の大きさによって千差万別で様々なサイズがありますが、私たちがメインに使う網は11節というもので、目のサイズは3センチです。

この網と網をつなぎ合わせるセバでは、1目に2回、網針で糸を通します。
2回手を動かして3センチずつ進む、これを繰り返して数十メートル仕上げます。
見た目も内容も、実に地味な作業です。

このような地味な作業を1日8時間、延々と繰り返すのが網仕事です。
何千回と網針を動かしますが、目をたがえることは許されません。
集中を持続させるのがなかなかつかれる作業です。

しかしずっと集中して手先を細かく使うので、脳の健康に良さそうな気がします。
漁師には老いてなおかくしゃくとした人が多い気がしますが、この網仕事が一役かっているのではないか、と私は考えています。